7月2012

民も官も有機志向

生活

 最近中国でも健康志向が目立ち、有機野菜、無着色など、食品メーカーも日進月歩で上質な食材を製造している。民間のみならず、Exileや倉木麻衣、その他韓流スター等のコンサート共演で有名な国際オリンピック競技場、通称「鳥の巣」内にあるレストラン「Yuan Ding Yuan」でも有機野菜を用いている。国民を支える多くの高官がこのレストランを利用することから、政府内でも有機野菜の重要性を示していることがわかる。

 全ての食材はレストラン理事長であり、中国有機野菜の父と言われる朱健理事長が所有する土地での自家栽培である。野菜そのものも美味と評判高いが、その新鮮な野菜を熟したスープ・タレが全ての料理を引き立たせている。健康と味、両方摂れる「Yuan Ding Yuan」だが、国家所有の代表である場所内部に設置されているため、入るのには敷居が高く、色々な条件があるとのこと。

 しかし朱理事長は言う、「日本とはビジネス的な付き合いも長く、友人も沢山いる。これからもより多くの友好の場として活用できるよう考えていきたい」



宮尾 卓志

男の条件! 結婚するなら、家か車

生活

 結婚する男の条件というか、半ば義務化されているのが、マイホームあるいは自家用車の購入である。マイホームは理解できるが、自家用車は結婚条件としていささか理解し難い部分もあるのではないだろうか。しかし、これは中国文化で欠かせないポイントになっている「面子」の中心に触れている。自動車はその最たるものの一つである。

小企業を営んでいる知人の家賃は毎月3万円ほどなのだが、500万円ほどのアウディを乗り回している。日本では真っ先に車を売り、それを経費にまわせとの罵声が浴びせられるかもしれないが、そのことで文句を言う社員は少ない。中国では面子に対して意識、いや遺伝子レベルから違う捉え方をする。高級車を見せびらかすというよりは、その車が自分自身そのものだと解釈するのである。だから、先方に接待する時も良い車で迎えに上がることは、私の核に触れてくださいというくらいの感覚だ。

日本のビジネスで人を紹介してもらう時、大概は先方の年収、規模、人脈といった実務範囲の把握が大事になっているが、中国では何の車に乗っているかといった情報がかなり早く段階でやり取りされる。大事なクライアントとの対面時では、自分に自家用車が無いか、所有していても高級車ではない場合、わざわざ友達、あるいは専門のレンタカーに連絡をとり、借りるのである。商談が進めば進むほど財布も寂しくなっていくが、重要なのは商談そのものより、自分の面子を相手に感じてもらえたかなのである。結婚でも同様の理論が働き、マイホームや自家用車の所有は、その結婚がいかに自身にとって重要で幸せなものかを誇示できる唯物である。これは見栄ではなく、義務だというのだから、中国の面子に対する凄まじさが並々ならぬことが分かる。

中国中央政府に友人がいたら聞いてみていただきたい。国を動かす原動力は何か?と。きっとその答えは面子が何なのかを教えてくれるはずである。



北京男人

現代転職事情

ビジネス

 物価の上昇に伴い、ブルーカラーも給料を増やすために必死である。しかし現状では会社側もすぐの昇給は難しく、それに我慢が続かない従業員も多い。ある中国人事務の一番の仕事は「求職サイトを徘徊すること」だと豪語している。同僚や上司にばれないよう、誰かの足音が聞こえたらワンタッチで仕事用画面に切り替わるよう工夫に一切の油断は無い。無論帰宅前にはその日の履歴を完全に消去することも怠らない。

私が北京にいる時、友人から、彼の知り合いの転職先を紹介してほしいという相談がきた。友人からの頼みということもあり、断れなかった私は、まず彼の適性を見て合った法人を紹介するつもりでいた。当日、友人と一緒にスターバックスに訪れた彼は、今どき珍しいさわやかな好青年だった。スーツにもしわが無く、ネクタイの結びも綺麗だった。挨拶も「こんなすごい方とお会いできて光栄です!」と流暢な日本語でハキハキとしている。友人からどういう風に紹介されたのか疑問に感じたが、ともかくそれはさて置き、どういった会社で働いていて、これからどういった会社に入りたいのかを質問した。

彼は自信満々で「日本向けアプリケーションの開発を行っていました。それを活かし今度は日系のIT会社でシステム開発をしたいです」と答えた。丁度IT会社を営む社長から業務拡大の相談を受けていたので、実に分かりやすく説明する彼に好感を抱いた私だが、紹介してもすぐ辞められては困るので一応転職理由を聞いてみた。相変わらず彼の説明は的確でわかりやすい。しかし興奮してしまったのか、最後に「転職先に恥をかかせるようなことはしません!なぜなら今の会社で入社初日からずっと準備してきました!」と言い放った。80後(1980年以降に生まれた人、現代中国人と言われ、団塊の世代との価値観のギャップが激しい)の典型的なケースである。やむなく私はその相談を見送らせてもらったが、彼は何が悪いのか分からないといった感じだった。

総論としてだが、現在の転職事情を見ると、実際転職を決断する前には、上司に昇給願いを連日のようにだしている場合が多い。実力主義を面々と出せるといった点は米国のスタイルと似ているかもしれない。転職面接に望む姿勢においても日本とは若干ことなる。転職希望先の面接担当から以前の職場を何故辞めたのかを問われると、給料が安かったから、と堂々と言う。何故当社を選んだのかという担当の質問へは勿論給料が高いからだと即答。その上、転職先が決まると速やかに辞職を提出し、その日の内に消え去ってしまう。そういったことにならないよう、今、会社は人事に一番の力を注いでいるが、その人事部の人間もいつ辞めるかわからない。

日系企業と日本語堪能で優秀な人材のマッチングはそうそう簡単にはいかないだろう。



北京男人

地下鉄で大音量通話! 迷惑がってる人は…

生活

地下鉄でも携帯の電波が通っていることは中国に限ったことではない、アジアで言えば韓国もそうである。逆に先進国である日本がなぜ、という疑問がでてもいいだろう。ただ、ここで違うのは、その携帯通話マナーの文化だろう。日本ではJR等電波が入っている状況下で着信があっても、他人の迷惑を考えず10分も伸び伸びと話している人を見かけることはほぼ無い。

逆に中国では地下鉄での通話を咎める者は皆無に等しい。あまりにうるさい声で通話していると、さすがに隣の乗車客も怪訝な顔を見せるが、やはりその仏頂面にも着信があると、今までの表情は何だったのかと思えるほどの笑顔で話しはじめるのである。これは地下鉄内や携帯電話に限ったことで無い。飛行機の中だろうが大声で友人と話す。中国語なので話していることはさっぱりだが、サウンドボリュームを考えればやはり日本語でも聞くに堪えないものだろう。

私も先日北京行きの機内で、斜め左前に選挙演説者と応援に駆けつけた党の先輩たちのような中年3人組みが大きな声で話している。話すというか、魂の叫びか、最早それはロックの域に近いものだった。「チキンorビーフ?」の時でも、それを待っている間、おれはチキンだ!いやビーフだ!等と本当にどっちでも良いような会話を響き渡せる。果ては決められないから両方と言ってみたり、一人はチキン二つを要求していた。

私の隣に座っていた中国人は大人しそうな方で、離陸時から一緒になって「うるさいですね」と微笑みあっていた。が、チキン二つを食べ終えた後も一向におさまらない会話に、いよいよ嫌気が差したのか、隣の方が立ち上がり、彼らのところに歩み寄った。彼は小さな声で静かにしてくれと伝えたのであろう、3人組は一斉に静かになった。がしかし、静かな声のまま何やら話し合っているようだ。そして終いには注意に行った彼も洗脳されてしまったのか、今度は4人で騒がしくなった。祭り……機内祭りだといったら伝わるだろうか。

戻ってきた彼は一言、「思ってより悪い人たちじゃなかった、むしろ好人(good person)」だと言って静かに眠りについた。ここでも中華思想をまた一つ学んだ。騒音を気にするなら騒音になれ。

 

北京男人

日本より進んでいる!? 中国の電動自転車普及

生活

自転車大国中国。教科書でも習う中国関係のページでは必ずといって良いほど大量の自転車に乗った群衆の写真が貼り付けられていた記憶がある。しかし今や自転車は過去のもの、ペダルを漕がずにスイスイ走る電動自転車を使用する時代。保育園の送り迎えに二人乗りで使用する主婦はもちろん、果ては70をゆうに越えているであろう老人まで時速20km以上ほどのスピードで髭をなびかせており、その姿やまるで自転車が己の同体に取り付いているように感じる。

私も試しに近所のおばさんに懇願して乗せてもらったが、かなり運転は楽だ。というより、発進時の音も出ず「すっ」と5mくらい走ってしまうので慣れないと周囲の人間や木などに迷惑をかけてしまうかもしれない。必要も無さそうなペダルに足を乗せているのが滑稽に感じ、一度エンジンを切って漕いでみた。が、尋常なく進まない。3回転くらいしても2mほどしか進んでいない。人ごみ溢れる東京で漕いでいたらきっとあざ笑うかのように先を越されるだろう。終いにはおばさんから「サドル壊れやすいから…」とペダルにドクターストップがかかり使用を禁じられた。ペダルは本当に必要ではなかった。というより、リスクだ。

それから聞いた話だが、バッテリーが切れた時のため、或いは法律上免許が必要なバイクや自動車と区分けするためペダルがついてあるとのこと。いずれにしても日本と違い、免許が必要無いので、普及率は著しい。家に着いたらバイクからおよそ10kgのバッテリーを部屋に持ち帰り8時間ほど充電すれば数日また利用できる。かなり便利なアイテムだが、マーケットの激化により、今や時速40kmを超えるバイク、ではなく自転車も市販されるようになっている。これが自動車の時速水準まで高まってしまうまでに何かしらの措置を取りたい。

 

北京男人

銀箱に包まれた謎のタクバイとは

生活

 タクバイとは、バイク版タクシーである。年中バイクレースが行われているかのような光景が目に入るベトナムではもはや定番だが、中国のタクバイの趣向は少々特徴に面白さが感じられる。先日私が体験した話を元にご紹介したい。まずバイクは真ん中から後ろまで大きな銀箱に包まれており、銀箱の最後部に設置されてあるドアから入る。貯金箱の中に入ったような感覚に陥り戸惑いながらも、前方の椅子と見受けられるものを発見。腰を掛けようと、背を後ろにし座る。が、ドアが開いたままになっていることに気づき、「このまま出発しないでくれ」と願いながら慌てて外に出直し、今度はきっちりドアを閉める。鍵を閉め(かけ忘れて転び落ちても無論お客の自己責任)、運転手に「好(OK)」と言えばほどなく発進。

「ガラガラ……コトンコトン…」20kmほどの時速を考えれば、さほど遠い目的地には向いていないなと思いながら、目線のところに設置された小窓を通し景色を見ようとする。しかし後ろを向いているのでどんどん景色が離れていき、ドナドナを歌いたい衝動にかられながらも、どこか中国ならではの情緒が味わえる喜びに浸っている自分もいる。無事、この先は曲がれないという理由で目的地のかなり前に降ろされた私は、言われるままに10元を渡し、自動車型タクシーと変わりない金額に多少の後味の悪さを覚えながらタクバイ初経験を終えた。

あとから知ったことだが、この銀箱タクバイの増加とタクシーと変わらない価格の現状は、中国タクシー事情に大きく起因している。例えば北京、高速道路の増加など交通整備はかなり発展したが、それにも増して地方、果ては国外から集まる人々による都市部の圧倒的数が、渋滞問題に終止符を打たない。富裕化に連なった自家用車保有の増加も著しく、今では政府もナンバープレート取得を抽選としている。よって、空車のタクシーがなかなか無い。ひどい時には30分待つこともある。10数年前はワンメーター1元だったタクシーも今や倍となる2元の上、3元の税金が加算されるまでとなっており、今後も料金は高くなっていく見通しである。しかし、前述同様に富裕化によって、タクシー利用は減らない。運転手の本意ではない方角だと容赦なく断られるまでとなった。今や主導権は乗車客ではなく完全にタクシー側にある。そんな隙間をぬったタクバイは、ある意味国民の救世主のような存在だと言えるかもしれない。少なくとも、一度はタクバイにより助かったという出来事ができるかもしれない。



北京男人

中国の伝統 「座月子」とは

生活

 中国伝統の一つである「座月子」。無論、戯劇のシーンにでてきそうな月に座るという意味では無い。基本的には出産を終えた女性が、一ヶ月間安静に暮らす慣わしのことをいうが、日本では考えられないような決まりも多い。

例えば外出は勿論、階段の昇り降り、炊事、窓の開け閉め、夏場のエアコン、冷水の摂取、入浴、または入浴してないことによる痒みから体をかく事などが一切禁じられ、なかば修行僧に近い生活を余儀なくされる。一ヶ月間シャンプーもできない状況を考えると、中国人男性と結婚した日本人女性は耐えがたい期間かもしれないが、周りはいたって真剣である。

また、母乳がたくさん出るため、毎日栄養スープを中心に飲む等合理的なところも見受けられる。昔は、座月子を正常に終えるため、親族が食事や子供を含めた身の回りの世話を手伝いにくる。産後女性の監視も怠らない。

だが今、富裕層女性をターゲットにした「月子センター」なるビジネスがメジャー化している。医師、看護師、漢方医、栄養士も完備しており、徹底に淀みがない。安価なものでも2万元(約24万円)、中には33万元(約396万円)するものもある。産後女性の親が面倒を見るという昔ながらの「座月子」の風習がだんだんと失われてしまうだろう。確かに親子では距離感が近い分、当人のストレスはそっちのけで規則をお経のように覚えさせられるが、終わったあとの喜びも一入ではないだろうか。

パン姐

現代型華僑の実情

ビジネス

薄井 義之

「中瑞岳華会計師事務所」

今年になって、公定歩合、貸出金利、そして預金金利がそれぞれ引き下げられ不動産価格も落ち込み、株価も急激に値下がりが目立って来ている。この状況に敏感なのは政府のみならず、中国人富裕層の反応も顕著だ。

彼らがまず考える手段としては「国外脱出」である。富裕層の移住先として人気の高い米国の場合、海外からの富裕層をターゲットにした制度もあり、50万ドル以上投資すれば移民申請が可能となる。最近では中国人が各国からの申請者全体の7割以上を占めていると云われている。株価・不動産価格の低迷に歯止めが効かない背景には、富裕層の移住に伴う「とてつもない資金」の海外流出にある。国にとっては大きな損失だ。

海外メディアによると、特に薄熙来事件以降、移民ブームは更に拍車がかかり、中国国内の移民申請者が大幅に増えている。すなわち、目下の経済の不安に加え、中国首脳部の最大のスキャンダルと云われる薄熙来事件などの政治不安が複雑に絡み合い、それが富裕層へ大きな影響を与えている。

元来、中国には最早伝統とさえいえる「華僑」の歴史があり、驚くことではないかもしれないが、現代富裕層の移民と、かつての華僑の移民の間にはかなりのかい離がある。当時の「華僑」の大半は貧困層であり、やむを得ず故郷を捨てて海外へ流れ出て行った民だが、現在の移民層は富と共に海外へ流れている。

国内の事情に明るい富裕層の人々が情勢の悪化を敏感に察知し、船が沈まない前に、或いは沈もうとしている船から一斉に脱出しようとしている様に見受けられるが、これは穿った推測だろうか。

景勝地の入場料値上げ問題 話題に

ビジネス

薄井 義之
「中瑞岳華会計師事務所」

景勝地入場料は3年間値上げすることが出来ないという規制が、中国国家発展改革委員会によって定められていたのだが、それが今年解除される。国内20か所以上の景勝地で入場料の値上げラッシュとなる見通しであり、しかもその値上げ幅は20~60%以上と予想されている。(一部では既に値上げが実施されている)

既に値上げされた中で、高額入場料のトップはチベットの景勝地で、一人690元(1元=13円換算:8,970円)。また、入場料200元(2600円)以上の景勝地が全体の1割を占めており、太極拳発祥の地としても知られる湖北省武当山、四川省九寨溝220元(2860円)、安徽省黄山230元(2990円)、映画アバターのモデルになった景勝地とも言われる湖南省張家界は245元(3185円)。これら入場料の値上げについて利用者からは新たな税金の導入に等しいとの声が上がっている。

入場料の使い道の多くは自然保護のためだと説明されているが、日本でいう特別会計(使途が定まっている会計)の性格を有し、徴収者にとっては有力な財源になっていると判断しても差し支えない。

観光資源は富裕層などの限られた人のためにあらず、本来は国民全体、ひいては人類の遺産である。各地域の行政サイドにおいて「打ち出の小槌」となってしまうのではと危惧される。もともとここ数年の間に、いたるところで必要性が疑問視される施設の建設が行われており、四川省成都市、「杜甫草堂」の観光地では500万元(6500万円)もする5つ星トイレの設置で物議をかもしている。急速な経済成長から付随する差別化への理解も示すが、入場料にいたっても、一般の人が気軽に行ける料金設定が世界の名所の在り方として望ましいのではないだろうか。