8月2012

「さまざまなアジア。構造的な反日感情には」

生活

 「アジア」は、経済、人口、政治、福祉、社会制度など実に多様である。ひとつのキーワードにまとめた言い方が非常に難しい。「ひとつのアジア」ではなく「ひとつづつのアジア」という賢人の意見もある。

ところで、北東アジアは先進国、新興工業国、中進国、そして発展途上国が隣接する世界的にも珍しい地域である。中国は、ここで自ら盟主となり東アジア共同体を構築したいと鼻息が荒い。だが、中国の思惑と乖離し、ことは簡単ではない。たぶん、中国の描く共同体とはEUやNAFTA 、ASEANをイメージしてのことだろう。例として、経済統合を先行させて成功したEUをとっても、通貨・為替・法律(憲法)と課題をこなしはしたが、随分と産みの苦しみを味わっている。それでいて、この通貨危機によってもたらされた負の財産は、

統合に似合うものだったかどうか。後世の歴史的評価に待たねばなるまい。

融和政策とて、人種や宗教など、歴史に深く根ざした問題に時間をかけて解決を試みても容易ではない。それでもEUには、今も統合への共通の価値観、目的や強い意志が見て取れる。



他方、朝鮮半島の統一の意思は明確だが、東西ドイツ統一の時のような強い意思はあるのだろうか。下世話な話だが、かつて「世界で2番目」の経済大国を日本と競う国が、一挙に「欧州で9番目」の経済の国になった。それでも統一は正しかったと現在のドイツからうかがえる。半島の統一は、新興工業国と発展途上国の統一である。多少、欧米型とは違うが民主主義国家と共産主義独裁国家の統一でもある。体制が、異なっても儒教を尊ぶ民族意識があるのであれば、血が統一に導こうとするだろう。今後、6カ国協議に変化なければ、統一時に日本の間近に核保有国が忽然とあらわれてしまう。日本の国是や安全保障に大きく影響を与えることだろう。国際問題の根底には貧困の問題が大きく横たわる。食料も外貨も無い。肥沃な農地やきれいな水の確保も困難。北の経済開発は、峠越えが厳しい。その昔、漢江の奇跡と呼ばれた南の躍進があった。併合時代に日本が工業投資を行ったのは北であった。南は、農業地帯に過ぎなかった。その後、韓国国民の勤勉と貯蓄と開発努力で奇跡は起きた。新興工業国や中国の躍進も日本というモデルがあればこそと主張する海外の学者もいる。しかし、近隣に感謝されることもない。

中国の反日感情は、政治的で構造的なものである。容易に崩せるものでもない。民間の交流こそが、真の国際理解を深める力になる。訪日した中国の人たちが、「軍国主義色のない日本」や「平和を愛する日本」の姿をみて安心していると聞く。