9月2012

スモールティーチャー、スモールドクター

生活

 小生の郷里の先輩夫妻が、アジア最貧国のひとつとされているラオスにJICA(国際協力機構)から医師として派遣されていたことがあった。派遣期間は、2年間だったが、やりのこしたことがあるとNGOをたちあげて、日本と現地を行き来しながら支援を続けた。

最貧国というぐらいなので、保健衛生環境がもともと良くない。良くしようとしても、貧しさから優先しなければならないこともある。ずいぶんと歯がゆい思いをしたようだった。たとえば、読み書き。もともと社会主義国家なので、制度としての教育はあるが、貧しければ学ぶことより稼ぐことを優先せざるを得ない人がいるのが現実。他方、人は文字や言葉を使って考える動物である。学ぶ機会を奪うことは、能力開発の機会を奪うことになる。必要な人に、必要なものが不足。夫妻は、保健衛生の向上などのために「スモールティーチャー」「スモールドクター」制度を積極的に取り入れた。NGOもまたそれを支援した。

 

そもそも、この「スモール~」という制度はどのようなものかといえば、幼児を積極的に先生役、医師役として使うというもの。ラオスには、「鉤虫」というものがいて、当時、かなりの健康被害をもたらしていた。「鉤虫」は、トイレあたりの土に潜んでいる。そこをラオスの人々は、裸足であるいて皮膚を食い破られて侵入されることが多い。保険衛生向上の使命を帯びた小さな先生らに、「トイレに行くときは、履物を履いてゆくように」と徹底的に反復すると家庭にあって、父母や祖父母らにしつこく注意をしてくれる。子どもらは、純粋なので行動をほめてあげれば、たいていの人が根負けするまで注意してくれる。

かわいい子らの懸命な話も大人には無視できない。ラオスでは、驚くほど短期間で「鉤虫」による被害が激減した。さらに、文字がわからない人にはサインシステム(万国共通認識可能な絵文字)を使って、保健衛生にかかわる知識の普及啓蒙に努めた。それも小さな知識人に頼ることにした。スモールドクターらは、習いたての保険知識とサインシステムを使って、徹底的に活動してくれる。手始めは、「手洗い」や「石鹸の使い方」。大人が、適当なことをすると手厳しいのだが、怒るわけにも行かない。

小さな先生を使うという作戦は、以外に効果がありそう。日本の地域振興や環境対策にも導入できないものだろうか。

その後、ラオスで大きな副産物が生まれた。それは、バナナのこと。保健衛生上、トイレの改修が進んだ。簡易な浄化槽はつくるが、「栄養分」を土にしみこませることにした。理由は、挿し木をしてバナナ畑を作っておくと、どんどん「栄養分」を吸い込んで発育がよく、おいしいのだとか。トイレバナナの栄養分が、集落の健康に役立っているとか。リサイクルによる黄金の副産物の話。