10月2012

公共の利益と大義

生活

 東日本大震災復興事業や原発稼動問題をメデイアが、3.11以降、取り上げない日はないように思う。原発の安全性はいうまでもないが。極度な節電を

しない限り、「公共の利益」というフィルターを通して、相互利益の調整作業を

進めるしかない。だが、言うは易し、行うは難しである。

昨年、「公共の利益と大儀」を考えさせる事案が生じた。

以下、概況を説明したい。東京都八王子市が、八王子簡易裁判所を建て替えるために、国が出した建築確認申請について、高齢者や身体障害者が利用できるエレベーターが無い事を理由に、計画を変更しない限り申請を認めない方針を決めたというものであった。

 

建築確認申請は、司法機関でも法律に則り行わねばならず、例外など認められない。簡易裁判所の言い分としては、建物は2階建てであり、国としては、「エレベーターが無くとも、バリアフリー新法や都条例に違反しない」との見解を取っている。他方、八王子市は、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインを推進する立場から、「国の建物は、自治体や民間の手本になるので影響が大きい」として、後に引くような態度ではない。

国土交通省建築指導課によれば、バリアフリー新法は2階建て建物にエレベーター設置義務を課していないが、地方自治体による上乗せ規制を認めており、

都条例では2階建てでも対象になる。ただ、「不特定多数が利用する」などの条件があるが、簡易裁判所側の窓口である最高裁経理局の見解は、「不特定多数の人は利用しない。車イスの人が来ても、1階部分で対応できる。法的な問題は無い」としている。

この問題は、「法律的には問題ない」と最高裁判所側が明確に見解を示しているので、両者が態度を硬化させると解決がいよいよ難しくなる。

裁判員制度は、実施後さまざまな問題を提示してきているが、開かれた司法の実現や国民感情を反映した判決の実現と言う点では、大きな成果があったように思える。

この問題は、法治国家として法的に問題が無ければ、積極的に権利を認めよという具合に考えるべきなのか?あるいは、主権者たる市民に行政サービスはどのように行われるべきなのか?大いに議論を戦わせる意味があると思われる。

 

かような問題こそ、予算査定のあり方を議論するのに良質な材料になると思われる。「不特定多数」が公共の利益の判定を行う「ものさし」だとすれば、何をもって「不特定多数」とするのかである。法律に抵触しなければ、真に良しとするのだろうか。さらに、外交ともなれば、公共の利益の大儀はいかがせん。