11月2012

多くの人々を豊かに。社会を支える負担のこと。

生活

 これまで数次にわたり、北京市財政局日本調査団のヒアリング調査に協力をさせていただいた。これまでも北京市からの訪日調査団では、警察、検察、投資、工商、労働教育工作(社会更正)などの分野でお手伝いをさせていただいてきた。ここのところ、意見交換などを通じて感じることは、社会の変革に関する指導者らの強い関心である。中国は、中国共産党による一党独裁国家という言われ方で日本国民は紹介を受けてきた。確かに中央集権の強い国家に違いないが、改革開放経済により省や自治区が自主的な開発を進め相対的に力をつけている。中央政府も計画達成を遂げつつ、広大な西部内陸の開発を進めねば14億とも言われる人民の暮らしは行き詰まらせてしまう。為政者の決意も相当なものである。

 

中国は土地の私有財産を認めていない。したがって、土地の所有者に課税される固定資産税が存在しない。持てるものは、実際に住まう家以外に利殖に走り、マンションなどを買い占めてゆく。中国の富裕層は、上位2%で全体の80%(諸説あるが)の富を占有しているといわれている。世界全体で見ると、上位20%の人々が全体の80%を占有しているといわれているから、富の集中はかなりのものである。世界中から押し寄せた投機資金は、富裕層の投資や土地の価格高騰を目論んだ地域開発に集中し、悲惨な格差を生んだ。

「房隷」ということばがある。結婚した若い夫婦が、それぞれの両親からマンションを購入する頭金を借り入れ、残金を年収の8倍とか10倍とかいうローンを組み、まるでマンションの奴隷のようだという比喩のことである。日本でもバブル期に、利殖の手段に使われたマンションが高騰したため、年収の5倍以内に標準的な価格を抑えようという政策が打ち出された時のことまで思い出してしまう。

所有権がなく、利用権でしかないのに日本のバブル期のような「億ション」

が、沿海部の大都市に雨後の筍のようにあちらこちらに出没。中国のバブルは、日本どころでなく、世界中から投機マネーが押し寄せ、法律で規制をしても役人の汚職やモラルの欠如などもあり一向に抑制できなかった。世界をひと呑みするような巨大な龍が、矛盾を抱えた暗黒の海でもだえ苦しんでいるようだ。

中国には、前出のとおり本来、資産税がない。土地所有が認められず、したがって固定資産税制度導入は難しい。資産利用税のような新税を北京市や直轄

市限定で導入することを当局も真剣に考えているようだ。貧困にあえぐ夥しい数の人々、巨万の富を握るわずかばかりの人々、医療費が払えずに亡くなってゆく夥しい数の人々、日本で優雅なホテルライフを送りながら高額の人間ドックに入る人々。

豊かになれるものから先に豊かになれと改革開放経済は生まれた。

豊かになれた人に続いて、豊かになれた人々はどのくらいまでに達するのだろうか。どのくらいの多くの人々に幸福をもたらしたのだろうか。