11月2012

消費税論議

生活

 近年の国政選挙では、税制に対する基本的な考えを候補者は問われる。「直間比率の是正」から始まる建前の説明で済むうちは良い。だが、「子ども手当て」に代表されるような国民の期待の大きい政策の財源については、適当な説明が許されない。景気浮揚や国外からの投資促進や日本国内からの産業資本の国外回避を阻止するために、「法人税の税率引き下げ」を公約に言い出す議員も多い。果たして、その効果はいかほどだろうか。実は、法人税率引き下げは、思うより効果がない可能性が高い。なぜならば、法人税を納付している事業所は、好景気でも法人全体の50%に届かない程度であり、不景気の時は、一気にその比率が下がる。この失われた20年で、法人税を一貫して支払い続けてこられた法人数は、大企業や超優良企業のほんの一握りである。

法人税は、所得税と同じで、事業によって獲得された「純財産の増加(正味財産の増加)」部分に課税される。乾いた雑巾を絞るような節約や智慧を絞って開発した商品を生み出しても、優良な輸出企業とて、「円為替の大幅な高騰」や「レアメタルや原油の高騰」、「穀物の高騰」などで黒字など簡単に吹き飛ばしてしまいかねない。

 

財源の安定獲保が至上命題だとすれば、誰にも漏れなく課税できる「消費税のような間接税」で財源を確保できることが徴収上技術的にも望ましい。ただ、この論議に関しては、社会的な弱者への配慮が欠かせない。消費税の先進地域である欧州では、税率25%程度は、すでにポピュラーになりつつある。高税率に慣らされているというよりは、「必需品には、免税や税が薄く」、いわゆる贅沢品には高税率が課せられており、再分配に対する理解やそのために必要な仕組みや人材登用に理解が浸透していると思われる。たとえば、我々日本人が欧州の観光地に旅行に出かければ、旅行自体が贅沢な買い物をしているとみなされるので、高い消費税負担を御願いされるということを認識すべきである。他方、高齢者やハンデイキャップを持つ人、乳幼児や未修学児童などに対しては、彼らの必需品に対して課税面や税収入の再分配による恩恵が明確である。

日本でも、移行時には混乱があるかもしれないが、一律に課税するという考えを改めて、実情に応じた課税システムを検討すべきではなかろうか。日本の技術力をすれば格別に問題はないだろう。

 

さて、日本における「税の滞納で一番多いのは、実は消費税」である。相続税や固定資産税は、課税標準が明確で遅延はあっても徴収に漏れがない。国会は、税率の議論の前に、本来、納税者からの預かり金を資金繰りに回している実態を精査し、金融政策で解決できる問題か否かも見極める必要があるだろう。