11月2012

先が読めない

生活

 終身雇用制度ということばは、長く耳にしなくなった。というより、雇用自体の確保が、かなり厳しいからに他ならない。業績を回復させてきた企業は、コストカットを繰り返し、渇いた雑巾を絞りだすように利益を上げてきた。利益を残せた最大の要因が大幅な解雇では、明るい顔を見せられるはずもない。巨大企業のサムスンやLGを擁し、洋々と世界に打って出ているような印象の韓国。しかし実態は、アジア通貨危機の際に行過ぎるほどの解雇を行い、非正規雇用者だらけの社会になり、格差社会になっている。日本とは比較にならない学歴社会の韓国。安定した職に就くには、超難関大学を卒業するしかないとまで聞く。

世界の工場から一大消費国になった中国。加熱する景気で人件費は暴騰し、

東南アジア諸国に工場移転するような企業が目立ってきた。ローテックなものからハイテックまで、本来、現場で蓄積すべき技術は多いのだが。

中国は、高度経済成長の中、大学の定員を2倍に増やした。結果、多くの新卒者が就職できないでいる。意外に思われるかもしれないが、中国の学費は所得に比してかなり高額である。感覚としては、日本人が欧米の有名私立大学に進学するような感じだろうか。日本でも、親の所得格差が子の学力格差といわれてきたが、中国や韓国においては日本の比ではなさそうである。生まれてきた階層から這い上がるのは容易ではない。韓国は、もともと貴族中心の国だった。中国も戦乱の時代も多くあったが、長く王侯貴族や官僚の支配する朝廷の国だった。共産主義国になっても、紅い皇帝や官僚らが代わって支配していた。

 

いまや、経済や文化や情報分野において、すでに国境は意味を持たなくなった。欧州の小国ギリシャの経済破綻が、かくも大きく欧州経済の根底を揺さぶるとは思えなかった。さらに経済の大きな極である北東アジアをかくも揺さぶるのかと驚いた。アメリカ発で押し付けられたグローバルスタンダードは、多くの国でバスに乗り遅れまいという心理から無理やりだったにせよ短期間で定着した。しかし、金科玉条のごとくに浸透したグローバルスタンダードが、世界に平和と安寧をもたらしたとは、正直いい難い。

 

昨年も震撼させた新型インフルエンザは、フェーズ6に警戒態勢が長くされてきた。風疹やマイコプラズマ肺炎などの感染症も流行し、感染症対策も本格的に空気感染対策に乗り出す必要も出てきそうだ。鳥インフルエンザもいつ発生してもおかしくない状況。先が見えない世界にあって、安全安心な暮らしには、個人や家庭で備えておかねばならないことも実に多い。

富や栄華も実は、危うい仕組みの上に載っているものに過ぎないように思う。