11月2012

社会正義を考える

生活

 近年では、トヨタ社の大リコール問題が例になるが、米国は、事あるごとに国を挙げて行過ぎた政治ショーを展開しているように思えないでもない。自動車は、アメリカを象徴する産業であり、全米の労働者団体の最大の器を抱えており、過去、日本叩きに利用されてきた。ただ、命にかかわる問題でもあり議論を盛んにすべきことでもある。米国は、過去において事あるごとに利害が衝突する問題が起きると、世論をあげて日本を異端と決めつけたキャンペーンなども行ってきた。必死に貯めたドルをどれだけ吐き出したかわからない。

また、中国に眼を転じても国交正常化以降、外交の節目で日本の歴史認識問題などを大きく取り上げ、中国国内世論などを利用し反日感情を喚起してきた経緯もある。都合の悪いことは、すべて反日行動につなげられているようである。簡単に評価はできないが、米中二大超大国は、日本を良く研究して戦略に生かしていることは確かである。

 

ところで、超二大国家は日本を異端扱いしているとしたが、「お互い様」という感じのすることがある。「死刑制度」のことである。

欧州を中心に死刑廃止国は世界中に広がっており、世界的な死刑廃止圧力が増し、米・中・日3か国の死刑制度の維持は否応なしに目立ってしまう。米中2か国は、「死刑制度」の維持が凶悪犯罪の抑止力になっているとして、容易に廃止に向かう気配がない。日本では、民主党政権に移り、法務大臣に死刑廃止論者の法曹出身者が就任したこともあったが、「死刑制度」の維持を多くの国民は調査でも支持しており、法務大臣は世論を注視し、「死刑制度」に関する勉強会の運営にも力を入れている。これは、治安に対する不安の現れだろう。加えて、殺人事件の時効廃止も大方の世論が支持することとなり、遠くない時期に現実に法改正となりそうである。

 

ところで、そもそも論でいうと死刑制度廃止論は、「人を殺すことを禁じている国家が、人の命を奪うという刑罰を用いるのはおかしい」とする単純明快な理屈からきている。そして、この論理の理解できない日本国民は、ほとんどいないようである。にもかかわらず、「死刑」制度廃止を望まない多くの国民がいるのは、改革半ばの裁判制度、量刑判例、更正制度、矯正指導等において不十分と考えているからではなかろうか。つまり、制度やその適用において社会正義が、十分に実現していないと思われているのではないかと。

他方、受刑者には社会更正を促さねばならないのも事実であり、出所後の不安解消に生活保護があっても、官民協働で社会更正が進むように住居や就職を支援しなければ、図らずも再犯の道に追い込むことになりかねない。

明治維新は、国家予算の半分を義務教育に割くという英断があり、日本の先進性を後押しした。しかし、OECD加盟国で教育予算の比率は最下位となってしまった。今や法治国日本の法務省の予算金額は、中央省庁で最下位である。

そして、社会更正のための予算金額は、少ない法務省予算のうちから3%。保護司さんの無報酬で活動する献身的な支援があるとはいえ、今一度、社会の一員として官民協働で、国や地域の社会正義の実現を考えてみる必要がある。