12月2012

税金の支払能力問題。所得、そして納付能力

生活

 今年も年の瀬が、そこまでやってきている。年を越す事業資金のことで頭を

悩ます事業者も、年を越せても松の内があければ、所得税の申告に備え少しづつ帳票や帳簿の整理を行うことなる。備えはじめが、2月半ばになってしまうと申告書の受付が始まり、慌しく追い立てられる感じがして誰しも落ちつかない気分になることだろう。さて、前出の申告とは、所得税という国税の申告・納付なのだが、税を支払う根拠は地方税とて国税と同じである。今回は、税の算定の根拠や支払い能力について言及してみたい。

 

「税」という言葉を耳にすると役所の人間さえ、眉間にしわが寄りそうになるようだ。その理由は、大体において以下のように大別できるのではないだろうか。第一に「税」は、負担の「公平感」が保たれるべきである。しかしながら、そのことに不満を持つ人間が多く、徴収側の気苦労が絶えない。第二に「税」の計算は、間接税等を別にすれば税額の算出を容易に理解できないものが多い。したがって、耳になれない難しいことばだらけの法令や条例に倣って行わねばならない。徴収側もこれが仕事とはいえ意外と苦痛である。第三に、善意の人間もしばしば自発的な納付意志に反し、現実の税の支払いに窮し、滞納を引き起こす場合があり、徴収側も対応に苦慮することが多い。いかがだろうか?

「税」の問題を語るときに、しばしば「担税力」という言葉が用いられる。読んで字の如しで、本来、納税者が「税」を納める力があるという根拠を示す言葉である。



自治体に馴染みのある税の中に「固定資産税」がある。「固定資産税」は、所有者に対して「担税力」を根拠に支払いを迫るものである。「税」は、原則現金またはこれに準ずるもので納付しなければならない。準ずるとは、小切手や郵便小為替などのように直ぐに現金化できるものである。それ以外の物となるとやむなく差し押さえに近い形で入手した銘柄の良い約束手形や現金化可能な物品、どうしようもなければ、当局の許可を得て物納という手もあるにはある。 しかし物納の前に、現金の借り入れとういう手段も検討を促されるので、安易に物納をということにはならない。

 

古来、為政者は民を治めるために租税を徴収してきた。洋の東西、善政悪政を問わず税の問題は、存在し続けてきた。税は、体制を支えるために、あるいは民の暮らしの安寧に不可欠なものであった。しかし、前出の例のように善意

の者であっても、納税困難に陥る。「担税力」の根拠とは一体どんなものなのだろうか。先ほどの「固定資産税」に話を戻したい。「固定資産税」とは、結局、

「保有税」である。毎年、税務当局が発表する「路線価」に基づき、「課税標準」

となる「土地評価額」を法令に基づき計算する。税務課は、「課税標準」に従い

一定率が掛けられた「固定資産税」の納付書を所有権者に送ることになる。



さて、納付書を送られた者が、土地の有効利用をしていて、地代や家賃の範囲で維持管理費や借入金返済を賄い、それでも余裕があったとしよう。この所有者なら「担税力」が十分にありそうである。

他方、同じような面積と評価額をもった者がいたとする。

借入金の金利がかさみ、地代や家賃を蓄えや支払い原資にまわせないとする。彼は、本来、それらの土地を所有するのだから「担税力」があるのだが、「課税適状」であっても「納税適状」にないということである。



近代会計において信用経済、交通機関の発達や巨額の固定資産税増加によって、それ以前の現金主義による会計と異なり、計算上は、利益が十分に計上されても現金の支払能力が無い場合がある。このことは、税務上でも顕著に表面化してくる問題である。

 

法人の場合と個人(自然人)の場合は、それぞれ「所得の事情」が違うので注意が必要である。法人の所得は、「均質」である。どうゆうことかといえば、基本的には事業によって得た「所得」は、ほとんど「納税適状」を生み出す「現金」やそれに準ずるもので充たされている。これに対し個人(自然人)の場合は、所得にも、「給与」、「事業」、「不動産」、「農業」、「山林」、などいくつにも発生形態がある。それらは、勤労所得から不労所得まであり、さらに「納税適状」にあるものから、困難なものまで様々である。したがって、理屈の上からは、同じ所得金額の者が一方は容易に納税できて、他方は滞納に陥るという状況が日常的に生まれている。

また、経済的な価値の高い固定資産を所有していても、上手に活用できなければ、土地から所得を生み出すことが困難と成る。固定資産税が、年率1.4%だとする、そして課税標準が10年変わらないとする。土地が収益を生み出す

良好な物件だとしても、金融機関から低利な融資を受けたとしても、10年間では、課税標準の14%は現金で納税しなければならない。さらに所得税は別に支払いが必要である。法人であれば、納税や維持管理、修理費用その他の支出見込みを織り込んだ財務管理を行っているが、個人の場合、代々の資産家や事業家でなければ、財務管理的な手法を経済生活に取り入れていないことが大方だと思われる。財務管理や税務会計を真正面に望む時、“「入」をはかって、「出」を制す“の大切さを思わずにはいられない。