2月2013

リーダーには熱く希望を語ってほしい

生活

 かつてないほどの苦境に、わが国は身をおいてきた。総理大臣はこの冬、経済の再生に一刻も猶予がゆるされないと認識し、昨年末の就任以来、政策を打ち出してきている。批判も多いが、方針を明確に示そうとする態度には好感はもてる。

ニューヨークのソニー米国本社屋が、売却されると新聞発表があった。ソニーの復活への強い意志も伺えるが、今しばらくは、苦境に耐えねばならないかもしれない。ところで、4年前の年末の産経新聞のコラムに、数あるソニー神話のことが書いてあった。読み進むうちに、当事者の深い思いに触れ、考えこんでしまった。そこには、ソニーの苦闘の歴史が書いてあった。

昭和21年の暮れ、ソニーの前身、東京通信工業を創業したばかりの井深大は、ただ先立つ物がない。常務の盛田昭夫とともに、「銭形平次物捕物控」で売れっ子作家になっていた野村胡堂のやしきを訪れた。日経新聞「私の履歴書」によると、数ヶ月前に出資をあおいだばかりとあって、2人はなかなか言い出せない。中略~井深をかわいがっていた胡堂は、「うん」とうなずいただけで、必要な資金を貸したという。世界のSONYが、銭形平次に救われた話である。~SONYは、09年に1万人をゆうに超える人員整理をおこなった。そして、今回はグローバル企業として象徴的な米国本社屋の売却である。経営首脳陣らは、井深大や盛田昭夫、野村胡堂の思いを汲んでことにあたってもらえたのだろうかと思うばかりだ。

 

ところで、片山修氏(経営評論家)の著書「人を動かすリーダーの言葉」を振り返る東京新聞の記事を同じように歳末に読んだ。忙しい最中に読んだが、読むうちに体が固まってしまった。そこには、以下のようなことが書いてあった。今で言われる「失われた20年」の前半1995年から11年間に、いわゆる「失われた10年」の間に見識を問われた経営者たちのことばの記録である。トヨタ自動車 奥田碩会長<今、流行の「リストラすれば企業の競争力があがると」という主張には、二つの需要なポイントが欠落しているといえます。

その一つは、「人間尊重」。すなわち、あらゆる経済活動の中心にあるのは人間だという素朴な信念です。>

キャノン 御手洗冨士夫社長<初代社長に就任した御手洗毅は、従業員が安心して暮らせる会社を作りたいという思いで経営しました。今日まで、この理念をずっと通してきましたが、なんの不都合もありません。>

シャープの町田勝彦社長<人をやめさせない、何としても雇用を守ってみせるという強い意思を、経営の歯止めとして明確にしておくことです。安易な人員削減に流れてしまったら、経営に甘くなってしまう>

人間を真ん中において、ひとつの大きな家族のように生きてきた日本人。

その誇らしくも、暖かい思いを決して忘れないでいたいものだ。そして、そう言って経営者の丸まった背中に熱い声援を送り続けたい。日本再生は道半ばである。