4月2013

中国は、いかに社会の安定を図るのか

生活

 先にふれた水質汚染、PM2.5に代表される大気汚染、土壌汚染から食物汚染

まで社会不安を駆り立てるものが大きくなりつつある。世界でもっとも富裕層の人口が多い中国だが、すでにこの層からは資産の海外移転とともに海外移住がさかんに行われているという。中国に住み続ける以外に、選択肢のない多くの大方の人民に、暮らしの安心、安全、安寧をいかに習体制が示せるかは、国家体制維持にもつながる大きな宿題である。

 

中国の環境が劣悪になった背景には、これまでの取り上げてきたが、経済発展を急ぐあまりに実効性のない当局の規制や党や官僚組織の体質的な問題もあることは否定できない。ただこれまでと異なり、ものいわぬ人民も中国版SNSやメデイアを盛んに使い、経済と生活の安定をはからなければ、体制に大きく挑みかねないような動きさえしている。

李首相は、インフレを抑えて経済成長を図り、住宅高騰に不満を抱える層や

政府系企業集団に偏る金融優遇、政府系企業集団に偏る産業育成、そして最も不満が大きいと思われる所得格差の不均衡是正で、眼に見えた成果を挙げなければならない。

 

経済の安定目的で、雇用と経済浮揚のために仮に効果的な財政出動を行うとすれば、不動産バブルに再び火がつき、抑えられなくなると思われる。また、現在、中国が抱える不良債権の多くは、地方政府がインフラ整備や不動産開発を争って展開してきた結果でもあり、経済政策は小さく規模では、効果が現れにくいが、反面、大きな規模で行うと副作用も大きくジレンマが生じる。

 

経済政策によっては、中国に存在する百万ドル以上の資産を持つと推計される300万人と日給にして日本円で100円程度の1億6000万人の格差はさらに拡がるとおもわれる。また、都市部に住まう住民の年間可処分所得とされる日本円にして30万円程度の層の暮らしを大きく変えてしまう可能性がある。

所得による階層の固定は、戸籍制度に基づくが、収入を求めて農村から流入する民工の大きな人口は、1億5000万人を超え、国際的な生産価格競争をささえ貢献してきた労働力である。この層は、戸籍制度に基づく医療や教育の公共サービスを受けることができずにいる。中国のほとんどの地方は、第三世界の貧民諸国と変わらない厳しい状況に追いやられている。この層に対するてこ入れ政策は、中国の社会の安定のために急務であろう。