4月2013

日中韓の国際金融トリレンマ

生活

 日中韓によるFTA交渉は、いずれにせよ締結させねば、EUと北米に遅れをとり、縮む世界市場の分捕り合戦で歩の悪い戦いを強いられることになるだろう。大同小異はあろうとも、FTA交渉を成功裏に導きたいところである。

 

さて、FTA交渉で鋭く主張がぶつかりそうなものは、明らかに食料など経済的な価値以上に安全保障にかかわってきそうな分野や雇用問題につながりそうな分野だろうと想像がつく。

さらに掘り下げようとすると国際金融のトリレンマにぶつかってしまう。

国際金融のトリレンマとは、貿易取引、資本取引、金融取引分野でそれぞれ目標を達成しようとしても、同時期に2つの目標が達成できても、3つの目標を

同時に達成することが困難であるとされる問題である。

 

日本は、自由な国際資本移動を保証するグループに属し、金融政策を運営し、

1970年代以降、為替の変動相場を導入し、為替の安定を放棄した。そのため、為替相場の急激な乱高下によって、大きなダメージを受けたりもした。

「自由な国際資本の移動」と「国内の金融政策」の目標は達成できても、「為替相場」の目標は達成できないということである。

 

通貨危機を体験した韓国の場合、日本と同様に「自由な国際資本の移動」と

「国内金融政策」の目標達成に力を入れていた。しかしながら、IMF(国際通貨基金)主導による金融支援によって、安部内閣と日銀で実施中の「インフレ・ターゲット」を導入したのだが、韓国はもともと外国資本に大きく依存していたため、資本の逆流にかなり苦しんだ。したがって、現在は資本規制を行い、

「国内金融政策」と「為替相場」の目標を達成する方向に転換している。

 

さて中国であるが、貿易により外貨を獲得し、多額の米国国債を頻繁に購入

してきたのは、人民元の急激な対外貨相場が、上らないようにすることに重きがなされているのは事実である。国家主導による為替コントロールについては、

批判が大きいところである。貿易立国として強国を目指す中国であるので、全く「自由な国際資本の移動」を保証したり、景気が加熱してホットマネーが急激に流入し、投機熱が不動産の高騰を招き、住居を求める多くの人民の不満に中国首脳も応えたいところである。かような理由から、「国内の金融政策」を完全にコントロールしたいところではあるが、「為替相場」目標管理を重視すれば、現在、取り組むべき優先順位を「自由な資本移動」に置くか、「国内金融政策」に置くべきか、経済大国中国もジレンマに陥るのである。