5月2013

中国の財政赤字問題

生活

 中国の経済問題といえば、圧倒的な輸出力を背景にした「貿易黒字」、「米国

国債買入」、「人民元の実質為替管理」等が話題の中心であった。貿易統計についても、年年歳歳増加することが普通のこととして中国に関する発表を見てきたと多くの人が自覚してきたことだろう。

 

さて、最近の中国から発表される各種統計の数字に信憑性がないなどと俄かに騒がしいが、正確な統計が発表されないまでも傾向を押さえることは可能だろう。

 

先に国務院総理を退任した温家宝の報告によると、2008年から2012年までの5年間にGDP(国内総生産)は、26兆6千億人民元から51兆9千億人民元にまで増えたということである。

世界第2位の経済大国に躍進した中国ではあるが、他方、マイナスの顕著な

問題点として、金融システムが十分でなく、不動産などの分野で無計画な投資が続き、不良債権を増やし続けていることがある。また、内需拡大策や経済安定化策には早い時期から取り組んではいるが、社会的矛盾が強くなり格差を生み、他方、官僚による腐敗が発生しやすい分野が存在するという。高度経済成長がもたらす副作用は、根深く、そして強いものだということだろう。

 

さて、達成が困難となりつつある高い経済成長率(2012年の目標は、対前年GDP比7.5%増)ではあるが、人件費の高騰などによる消費者物価上昇率を3.5%前後に、都市部の失業率を4.6%以内に抑制しようとしていると。不動産価格や人件費が高騰する以上、インフレーション圧力は強くなる。

現在、財政赤字は1兆2千人民元規模ということである。うち、地方債は

3千500億人民元規模である(不動産開発に無計画に投資された地方債も多額に上る)。財政赤字のGDP比から言っても2%以内であり安全圏にあると。今後、営業税から付加価値税への税制切り替えによって、財源の切り替えが試みられる。

 

中国は、財政赤字(国の借金自体)が、先進国と比較してほかの新興国同様に少ない。その実、社会保障分野の支出が少なく、いまだ民生分野への財政支出が十分とはいえそうにない。国有企業への優先的な認可や融資制度等、いまだ民間企業の市場参入を阻むものも大きい。民間企業の育成や産業構造の転換を図らねば、世界の潮流であるFTA戦略で、生き残ってゆける企業をはぐくむ

優勝劣敗の社会を実現することもかなわないことだろう。