5月2013

貧困を克服し、平和構築する力。

生活

 マイクロファイナンスという言葉をご存知だろうか。発展途上国などで、主として女性の能力開発や自立支援のために、無担保ながら連帯保証制度で100ドル程度の融資を行う制度である。

このマイクロファイナンスの元祖というべきものが、グラミンバンクというバングラディシュに生まれた銀行である。この銀行が、もたらした多用な価値観は社会を変革させるところまで至っている。(グラミンとは村落の意味)

 

さて、この銀行の創始者ムハマド・ユヌス氏は、もともと国際機関に勤めた経験のある有能なエコノミストにしてバンカーでもあった。氏は、仕事を通じて経済開発の意味や手法を長く学んだ。氏が、ほかの同僚たちと違ったのは、善良な農民を自らのリスクを犯しても窮状から救い出したいと思う強い気持ちだった。

最初の融資は、33年前42世帯に対する27ドル。返済は払えるようになってからかまわないというものである。融資は、貧しい農村の女性らの願いに応えたいという気持ちだった。それが発展し、グラミン(村落)バンクになった。3年前、ムハマド・ユヌス氏個人ならびにグラミンバンクは、ノーベル平和賞を受賞した。平和は、繁栄がもたらす果実でもある。

今、世界に蔓延する憎むべきテロ集団やソマリアの海賊らの蛮行の背景には、無力感漂う貧困がある。紛争地域に平和構築を成そうとするとき、地域の経済振興策や住民らに対する職業訓練などの自立支援が必要になる。貧困こそは、万国共通の敵という言い方もできるかもしれない。

ところで、人に備わった潜在的な能力の開花には、体系的な訓練が必要である。ありていに言って、教育が必要である。人は、文字や言葉を通じて、物事を学び、知能を高め、能力を開花させる。もし、貧しき人々らに教育が施されなければ、苦境から脱する機会を永久に奪ってしまうことになりかねない。

グラミンバンクは、農村の女性らの暮らしを向上させただけでなく、ソーシャルエンタープライズ、社会企業家と呼ばれる事業家を生み出す土壌として発展してきた。もとはといえば、貧困から農村女性を救いたいという願いからだったが、確実に世界の一角を変えつつある。たった27ドルの42世帯の人への可能性を信じてやまない、信頼を基本とする融資が、世界を変えてきた。

 

そして今度は、アジア女子大学という貧しい女性らが学べる大学が、バングラディシュに周辺国からも学生を集めているという。人を育てるのに、国財も時間も惜しまず投下した、わが日本国の先達らがなつかしくてたまらない。