5月2013

中国の大気汚染や土壌汚染より水質汚染は深刻

生活

 1980年代に始まった改革開放経済に驀進中の中国を訪れたことのある方なら、PM2.5で深刻な大気汚染の北京市を見ても、「30年も前からスモッグはひどかった」と感想を口にするかもしれない。当時の中国の大都市は、石炭やコークスも燃やす匂いが経ちこめ、それらの煤が芯になって、水蒸気を集め、四六時中スモッグが発生していたものだ。

北京市や上海市などの都市部近郊でも、暖房や調理用燃料に石炭やコークスを安価で手に入りやすいので未だに使っている。地方の省都では、現実にエネルギー資源のほとんどが石炭やコークスでまかなわれているのでははなかろうか。

さて、1990年代に入り日本に輸入する農産物の一大供給基地が遼寧省や

山東省に展開した。日系資本の商社や食品メーカーによる契約栽培農場や系列の農場が設けられていった。他方、現地の農家から農産物を買い付けられたりしたようだが、ここで現地農家の農産品に対する農薬や化学肥料の施肥問題が指摘されるようになった。

農薬や化学肥料は、適時適切に施肥すれば、残留農薬がほとんど残らないと

いわれる。残る理由は、結果、管理がずさんだということだろうが、農業自体の問題以外にも理由は多くありようだ。

さて、結果として収穫量を追い求めてはみたが、土壌汚染を広範囲に起こしてしまった。さらに、大規模農業を追い求めるあまりに、米国の大型穀物農場と同じように、行き過ぎた地下水の汲み上げによって塩害をこれまた広範囲に引き起こしてしまった。失った環境がもとに戻らず、広大な中国といえども大きな損失を蒙った。これら、農業生産に直接関係する土壌汚染に加え、農地周辺の工場が排出した有害物質によって汚染された土壌は、想像もつかないほどに広大なものになるだろう。

大気汚染と土壌汚染は、直接の健康被害をもたらすが、大気汚染ひとつをとってみても、どのような統計手法によるかはわかわぬが、中国全体の年間死者の15%程度(123万人あまり)であるとする報道もある(21世紀世界報道)。PM2.5が超微細な粒子であるので、高機能マスクがなければ、健康被害は免れないだろう。土壌汚染の場合、大気汚染のような広がりは考えられにくい。したがって、被害を防げる有効な手段もあるやしれない。ただ、水に関しては、大気汚染以上に深刻ではなかろうか。中国は、水資源が少なく、地下水への依存度が高い。それでいて、貴重な地下水を湯水のごとく工場が使い、地下に汚水を垂れ流し広範な汚染が、安全で安心な水を飲める中国人は全人口の3%程度ではないかと言われているようだ。経済発展第一義としても、これではあまりにも負担が大きすぎる。飲料水の確保も困難になるやしれない。