5月2013

中国植樹事情

生活

 中国の水不足や砂漠化、黄砂問題を取り上げてきたので、対策としての「植樹問題」についてふれてみたい。1990年代後半、北京市郊外に迫った砂漠化問題は、大きく日本でも取り上げられていた。中国で植樹をしたいという団体も多かったので、中国のカウンターパートを選び協定を結び、数次にわたって植樹活動のお世話をしたことがある。

 

植樹活動は、常識的に考えて水の調達が難しい、地味の悪い道路交通事情も

悪い土地がほとんどである。日本から植樹活動者を募っても、観光行事と日程を調整することは困難であり、植樹に目的を絞った渡航者に参加いただくこととなる。普通の観光旅行ではないことに、意義を喜んで見出す人も意外と多い。

他方、受け入れ側にすると、土地にあった苗の購入やアテンド業務、植樹後の管理業務を委託されることもあり、苦労に似合った恩恵もあるようだ。実際は、それ以上に植樹を行うということで、中国側のカウンターパートも中国の行政からの補助が受けられることが大きな利点になったようだ。

 

小生は、北京市県下の延慶県や昌平区、天津市との境にある通州区で植樹活動を行った経験があるが、いずれの地域も砂つぶが微粒で、深くほっても乾燥した土の層ばかりで、保水力も弱く日本の土壌とかなり異なる印象を持ったものだ。給水車をしたてた大掛かりな隊を編成して、数次にわたって植樹を行ってきたが、思いのほか成果(発育が悪く、国民運動にも繋がらない)が挙がらないことを不思議に思っていた。

 

最近、中国の植樹活動について少しづつ情報も得られるようになってきたが、

中国において植樹活動自体が難しい事業であるということがわかってきた。

まず、本当に植樹が必要な地域の調査やそれにもとづいた植樹実績の統計資料が、発表されているものと実情がかなり乖離しているという。中国らしいといえば、それまでであるが。統計情報が水増しされていて、実態が把握できないと適時適切な施策を講じられまい。また、植樹用の苗をつくるために、自然の植生を刈り掃うことで自然破壊に繋がっている事例があるとも言われる。そのために、森林荒漠という現象も起きているという。永く生きながらえてきた原生植物にも被害が及んでいるという。人口林は、あくまでも補助的につくるべきものであって、多種多様な植生が共存できる環境をつくる必要があるということである。古い開墾の歴史によって、植樹の先進地である欧州では、植樹は回復林という位置づけであくまでも補充的な人口林のことだという。

樹木を植えるは百年の計と中国の先哲は言ったが、思うより難事業である。