5月2013

中国の環境汚染問題解決への遠い道

生活

 今年の3月のはじめに2回にわたり、本コラムで中国の環境汚染についてふれた。その趣旨は、中国の環境汚染問題を解決困難にしているのは、第一に環境に対する思考習慣や行動習慣が、阻害要因になるだろうと事例も挙げてみた。第二に、仮に問題解決が可能としても、大きな権限を持つ共産党の幹部や高級官僚らは、業界団体の代表もかねており、解決は容易ではないのではという見立てを披露させていただいた。

 

中国の都市部は、もともときれいな水が豊富に有るわけではない。

北京オリンピックの折、周辺から北京市への人口集中が進み、さらに多くの

宿泊施設の需要を満たすために、水資源が決して豊かでない周辺省の取水や

割り当てを削ってまでも送水を行った。それでも、水が需要を満たすところまで至らなかった。

 

北京は、ここまで人口が集中する以前、また近郊に工場が林立する以前は、運河が豊かに水をたたえていたものだ。水が、もともと北京市に豊かにあったのではなく、時の為政者が多くの人民の労力と月日をかけて、運河を切り開いたものだった。

歴史に学ぶものであれば、運河を大切に使うであろうし、水も大切にすると思うのだが。しかしながら、1990年代前半には北京市内の運河は、毒々しい色に変わり、悪臭を放つ巨大な水溜りに成り下がっていたように思う。

運河は、ゴミ捨て場同然になっていた。有毒なものを廃棄すれば、やがて地中に染みこみ、粘土質の層にたどり着くと、今度は水平方向に広がってゆくに違いない。

 

仮に取り締まろうとしても、環境保全意識が育っていない中国では、法律自体が整備されておらず、行過ぎた地下水の汲み上げや汚水の不法廃棄を取り締まる実効性の挙がる方法が無いに等しい。

現実、日本でもいまだ過ちに対する清算ができていないカドニウム汚染

による公害病も中国では発生している。

北京市に限らず都市部は、本来、貴重な飲料水となるべききれいな地下水を

経済活動優先の政策もあり、汲み上げる一方で制限もせず、地盤沈下や有害廃液の河川への垂れ流しや地下排水をほとんど取り締まることなく行ってきた。

経済は、誇れるほどに発展しているが、このままでは大気汚染、土壌汚染、水質汚染が施しようもなくなり、未来世代に深刻な影響を与えるに違いない。