5月2013

日本発のバイオエタノール抽出技術

生活

 これまで、本コラムで世界の食料事情のことを書いた。地球環境対策にバイオエタノールの生産で応えようとする使命がある一方、その反対側で、穀物など世界の食料自給率が低下することへの心配を隠さない国際機関。そして、この先10年くらいで、穀物類を中心に最低20%~50%が、価格高騰する予測を立てて微笑む穀物メジャーや生産強国。

これまでにも触れたが、基本的にわが国の食糧自給率は、「カロリーベースで40%程度」と紹介してきた。カローリーベースということだから、肉や魚、卵、穀物類を計算からはずしてみると、いよいよ頼りない自給率である。

その自給率が、農林水産省の発表で5年前に40%を割り込んだと発表され大きな不安を駆り立てたことがあった。この時の発表は、記録的なコメの不作で、海外からの輸入にもたよった1993年度の食料自給率37%に次ぐものだと

いうことだった。自給率計算が、カロリーベースであるから、熱量の高いサトウキビの生産やイモ類、果物類の生産が、日照時間不足から減少し、自給率を下げたと専門筋はこの時のことを解説している。

農林水産省は、2015年度の目標に食料自給率を45%にすると掲げてきて

いるが、達成はいかがなものだろうか。バイオエタノール用作物の耕作拡大や途上国の人口爆発により、今後、食料は輸入しにくくなることは明らかである。農林水産省の掲げる自給率向上のための施策は、業務用に大量消費される野菜作りの支援などを核に据えており、家庭の食卓に並べられる前後のことは力を入れているとは思えない。

 

さて、先ごろアサヒビールの研究所で、同一のサトウキビから2倍以上のバイオエタノールを抽出する技術を開発したと発表があった。この技術があれば、

単純に同一耕作面積から倍のバイオエタノールが得られることになるし、サトウキビ畑を食料生産用に転用し、食料自給率向上に役立てることも可能だろう。

資源にも恵まれず、平地が少なく急峻。さらに耕作に適する土地が少なく、人口密度が高い日本ならではの国際的にも貢献できる技術である。

 

ところで、カロリーベースで計算するとたいした数字にはなら無いが、緑黄野菜の中には、簡単に家庭で作れるものがある。たとえば、かいわれ大根や葉大根、ほうれん草、豆類などである。これらは、ビタミン、ミネラル類が思いのほか含まれており、お子さんでも遊び感覚でつくれるものである。たとえば、スポンジの上でも簡単に発芽し、プランターでも用意に作れる食料である。「地産池消」や「食育」を語る場合には、家庭内地産池消費型の実践も紹介していただきたいものである。

この問題の責任者である農林水産省は、「食料自給率向上に特効薬はない」と断言している。言われなくてもわかりきったことである。食事を本来の「日本型食生活」に戻す手助けに「食事バランスガイド」や「毎食の自給率計算ソフト」の開発や普及に力を入れているらしい。それにしても、日本型食事の要であるコメの消費の減少傾向に歯止めがかからない。

 

他方、アメリカ生まれのファーストフードチェーンは、日本の「食育」活動資金を熱心に提供している。カロリーを砂糖のどっさり入った炭酸飲料やラードたっぷりのフライや脂質の多いハンバーガー、ホットドッグで補えというのだろうか。フードマイレージ(食料輸送のエネルギー消費)に負担もかなり大きいわが国は、味覚の経済侵略を受けて、脳内まで植民地化されていそうだ。