5月2013

円安になっても、日本に製造拠点は戻ってくるか

生活

 成長著しい東南アジア市場には、チャイナリスクに備えてプラスワン戦略の下、中国からの製造拠点移転や新たに国内から進出を図る企業群が控える。

チャイナリスクだけに理由が集中するわけでもない。そもそも東日本大震災やタイの水害によってアジアだけによらず、世界規模にまで負の連鎖が及んだ。

その時に、経済人はあらためて、国際水平分業の大きさやそのサプライチェーンの大きさに気づかされたことだろう。

中国への進出を見るまでもなく日本企業は、大手企業や系列企業や下請け企業までもが一団を形成して進出してきた。日本の製造業は、中小零細企業にいたるまで独自の技術やノウハウを持っている。それらを現地の企業に技術移転することまで含めて進出は検討されている。現地化まで含めると十年の単位が必要になるかも知れない。

アジアの市場では、高品質・高付加価値の商材を別にすれば、ほとんど域内

生産・域内消費に落ち着いている。未だ日本の多くの経済人が、所得が伸びれば日本の高品質商材が市場に支持されると思い込んでいるようだが、大きな誤解に違いない。アジア市場の多くの人々は、日本の高品質商材を過剰品質の商材と考える傾向があり、市場のニーズとの間に大きな乖離が見られる。

 

円安によって、投資への余剰が生まれる日本企業は、進出実績のある国々への投資を増やし、それらの国々からの輸入も増やすことになるだろう。

1997年のアジア通貨危機以前は、日本の高品質商材をアジアの高所得者向けに輸出し、実績を伸ばしていた時代である。その本質は、日本の製造業者らが価値感を押し付けていたような時代である。よく言っても高品質商材の使い方、用い方を提案をしていた時代である。マーケテイング用語でいうところの「プロダクトアウト」一辺倒の時代だったはずである。

アジア市場では、日系列企業が進出し製造されている日本由来の商材の仕様が大きくことなっていることが多い。経済が発展し、所得が増えても日本の市場と同じニーズが必ずしも生まれないのである。

日本は、過去を振り返ると超円高時代をよくぞ耐えたものである。そして、東日本大震災後のGDPの大幅な後退の時期にも。この先、日本の復興は進むだろうが、生産年齢人口の大幅な減少による規模の経済の追求は困難である。また、エネルギー事情や外国為替市場の動向しだいで、現在は日本国内で製造し低コストで輸出できているものでも、いつ何時流れが変わる可能性がある。「マーケットイン」に学ぶならば、市場にあわせた製造手段ごと進出すべきである。円安によって競争条件が有利になっても、その先を見極めるべきである。日本にではなく、日本製の製造拠点が世界に増えるということであろう。