6月2013

実態が良くわからないことが問題。シャドーバンキング問題

生活

 2013年6月下旬時点で、世界的な経済への悪影響が懸念される関心事は、

大きく二つある。まず、ひとつめは米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策の変更にともなう規模縮小に対する懸念である。

金融緩和の規模が縮小されれば、たとえば1997年のアジア通貨危機の時のように、短期借入を外資に依存している国は、資金の引き上げや、外国為替市場での通貨売り浴びせ、証券市場での売り浴びせ等によって再び通貨危機に

陥る可能性がある。

特に韓国は、1997年当時から体質改善が図られたわけでもなく、金融支援との取引によって、金融機関や基幹産業の大多数の資本を外資(主として米国)に握られており、通貨危機に陥ると救済スキームが難易度が高まるのではないのかと小職は懸念している。ましては、日韓スワップ協定も両国政府が韓国経済の見通しを安定をしているとする理由により、協定の更新することもないようであるが、いったん通貨安に韓国ウォンが陥れば、経済のファンダメンタルズが脆弱な韓国は危機に陥ると思われて仕方がない。

 

さて、ふたつめが中国のシャドーバンキング問題である。

この問題のやっかいな点は、実態がよくわからない点である。中国国務院の

発表する統計の数字も信憑性がいまひとつなく、どの程度信用してよいか定かでないが、シャドーバンキングについては、規模の大きさや深刻さにおいて、実態がよくわからないという衝撃の大きさは図りしれない。十分に世界大恐慌の引き金にもなり得ると思われる。

 

上海の株式指数は、リーマンショク後現在に至るまで回復傾向を見せず、最高時点の3分の1程度(最高時6092.06、現在約2070前後)である。

リーマンショック後、いち早く経済回復した中国の印象は、今も世界の人々の中に残っていると思われるが、「四兆人民元」の財政出動を行った衝撃は大きかった。先進国には、ただの1カ国も財政出動できる態勢もなかったのである。

ただし、四兆人民元規模の投資は、有利子負債の負担や投資収益性について

精査されることもなく、とくに地方政府や第三セクター方式で実施されていた

ようである。これらの問題が、めぐりめぐって銀行間取引決済や金融商品の満期償還にともなう返済原資の不足を引き起こす可能性が大きくなってきた。

早めに対処して、取り急ぎ借り換えなどの手続きを行って危機を回避する方法も理屈の上ではあるが、問題はその規模がよくわからないということである。

中国の金融の信用が破綻すると、世界中からの投資を仰ぐ中国の経済の大きさや世界市場の牽引役である中国の病巣は、恐慌の引き金にもなりかねない。

中国、英国と通貨スワップ協定締結

生活

 先の6月23日、中国の中央銀行である中国人民銀行が、英国中央銀行であるイングランド銀行との間で人民元とポンドの通貨交換(スワップ)協定を6月22日に締結したと発表した。

 

中国にとっては、EUは米国同様に最重要の貿易相手であり、国際通貨ポンドを有する英国(名目GDP世界6位)とのスワップ協定は、人民元の国際化に向けても大きな前進になりそうである。また、仏国(名目GDP世界5位)もスワップ協定締結を検討しており、さらに人民元の国際的な影響力が高まる

ことだろう。

 

さて、中国の名目GDPは、2012年の統計で8兆2千270億ドル規模とされており、これに対し英国は2兆4千400億ドル規模である。

スワップ協定では、中国が2千億人民元(約3兆日本円)、英国が2千億ポンド(約3兆日本円)を限度額設定を行い、期限3年で締結し双方合意によって更新を行うこともできるという内容。

 

ところで、ロンドンの金融市場は世界でも最重要市場のひとつである。

かつて、経済、金融の分野で世界を席捲、植民地を世界中にもっていたころは、

女王陛下の英国は日が沈まないと形容されていた。

現在でも、ロンドンの金融市場や保険市場の信用や蓄積された運営ノウハウは抜群で圧倒的な存在感がある。

 

英国は、世界的に影響力を大きくしている人民元を取り込んで、さらに英国金融市場の活性化を行う目論見だろうが、極めて上手く目標を達成することだろう。

 

中国人民銀行首脳の見通しとして、中国は国際化を今後も推進してゆくようで、2040年ごろには人民元が米国ドルにとって代わり、世界で最重要の基軸通貨になり得ると見解を示している。

確かに、国際的な通貨の流通量や決済実績が高まることによって、国際通貨としての地位も自然と高まることだろう。しかしながら、国際基軸通貨となるためには、支払うべき対価も大きい。

人民元及び中国政府の金融政策が、真に資本兌換取引の自由化を果たせるかどうか?。また、国際的な自由貿易ルールを遵守できる体制に移行してゆくのかどうか?今後の変化を見守りたい。

夜空が彩る景色

生活

 近年は、気温の変化や草花の様子で季節の移り変わりを測ることが難しい。

どれもこれも、地球温暖化が原因だとして決めつけてしまうのには抵抗があ

る。しかし遠因としては、もはや避けがたいところに来ていることだろう。

さて、気温の変化や草花の様子で季節の移り変わりを測ることが難しいと

すれば、これに代わるものには何があるだろうか。身近なところでは、空模

様。

梅雨空から炎暑の夏、秋暑厳しき候に変わっても、熱のこもったような暑さは、続くことだろう。しかし、風の向きは東風に始まり、南風、西風、北風へ

移ってゆく。雲は、時に気温の急激な変化と水蒸気上昇で積乱雲を立ち上げ、集中豪雨をもたらせもする。が、普段は驚くほど静かで、薄く白くたなびく雲が流れてゆくだけである。空を見る限り、いつもの景色そのものである。

空のさらに上に広がる宇宙は、たゆまず時計の刻む進みのよう。確実に星らを暗黒の空間で運行させている。夜空で起きる事象は、地球温暖化などに左右されることなく、心地良く時のうつろいにしたがう天模様。そして、期待で埋まる輝く星らの構図。

 

ところで、夏の星座と冬の星座は、がらりと様子が違って趣がある。

また、眺める地点の緯度や地軸の傾きもあるから、その場所ならではの見方も生まれる。天文学は、欧州で発達したこともあり、星座もギリシャ神話から生まれたものばかり。動物になぞらえた星座などは、日本人の感性からすると説得力に無理があるように思う。しかしながら、北極星とその周りを彩る星や星座については、その感慨には洋の東西を問わないものがあるように思う。

北辰、北極星は北半球に住まう人々らの精神的な支柱のような存在。古代から季節の移り変わりによらず、いつもそこにある輝く星として存在した。帝王らは、自らの星として民らに信仰させた。教養人らには、ぶれない存在として崇められた。北斗七星は、日本人にとって身近な星座であり、暮らしを彩る星でもあった。七つ星、四三星、ひしゃく星とその異名も身近なものである。佐渡あたりでは、鉤星とも言われたようだ。佐渡あたりでは、囲炉裏で用いる自在鉤のように夜空にかかって見えていたようだ。

人気寝台特急と同じ名前のカシオペア。W型の5つ星を瀬戸内の香川県観音寺あたりの漁師らが見ると、錨のように見えたようでイカリ星といわれてきた。双子座のカストール・ボックスの二星は、甲乙つけがたいほど同じような明るさで並び輝くので、フタツ星。この名前は、あちらこちらで定着している。変わったところでは、愛媛県でカニノメ、壱岐地方ではカレイノメと呼んできたようだ。時に先人に思いを馳せ、晴れた夜空の景色を楽しんでみてはどうか。

日中韓三カ国FTAもTPPと平行して交渉すべき

生活

 TPP(環太平洋包括的経済連携)について、日中の立場を原則的な利益と

恩恵、そして支払わねばならない犠牲について数回ふれてきた。

TPPは、実質的経済的な規模や影響を考えると日米のFTA(自由貿易協定)だと思われる。日本が米国から得るものも大きいが、日本が米国に与えるものも相当に大きいことは確かである(ただし、シミュレーション段階であって、実際に発効してみないと利益恩恵や損失犠牲の大きさを測れないが)。

 

韓国は、中国に対する貿易輸出依存度が極めて大きい。常識的に考えて隣国

との貿易が盛んになり、相互依存を高めてゆくことは地域安全保障の観点からも基本的には望ましいことである。

韓国は、中国とのFTA交渉を日本にかなり先んじて進めている。

安全保障上は、米国の核の傘の下にあるが、貿易輸出の面からは中国の傘の下にあるようなものである(韓国上場企業の資本的支配や金融機関の支配は、明らかに米国一辺倒であるが)。

 

日中韓三カ国FTAの締結に向けては、基本的に当事者国は同意しているが、

領海問題や歴史認識問題で度々今後も対中対韓交渉が座礁を繰り返す可能性がある。三カ国FTAで基本的なルールを当初から組み立ててゆくべきところ、

中韓二ヶ国のFTA交渉の枠組みを押し付けられるようなことがあれば、不利益も大きくなることが予想できる。



相対的に影響力は小さくなったとしても、相変わらず中国は世界の工場であり続けることは明らかである。また、潜在的な市場としても、現実の貿易取引額にしても、日本にとっての最大の市場は米国ではなく、中国である。また何より、地理的な条件は圧倒的に有利である。

したがって、日本はTPP交渉と同時平行に日中韓三カ国FTA、もしくは

対中FTA交渉を進めるべきである。

 

貿易統計によるとTPPの参加表明している国々の対全輸出入金額比は、およそ25%である。そのうち対米輸出入はおおよそ50%超の12.7%である。

他方、中国は一国で全貿易輸出入金額比で20.7%を占めている。

日本最大の貿易相手国である。なんとしても中国を巻き込んだFTAを日本は

早期締結すべきである。これまでのところ、対全世界市場で日本にとって韓国は価格競争力で適う相手ではなかった。FTAで市場開発力をつけたいところいである。そして、中国にとっても本来、重要な魅力的な貿易相手国である。

TPPに台湾が、もし参加すると表明したら

生活

 仮の話で全く恐縮な話なのだが、台湾がもしTPPに参加したいと申し出たら、

どのようなことが予想されるだろうか?

もちろん台湾は、ひとつの中国の下にあり、地域に過ぎない。

しかしTPPは、国や地域を対象にしており、理屈の上では台湾は参加可能で

ある。加えて、台湾自身がTPP加盟に参加意欲があり、中国自身は、国際的な

場で台湾の参加を反対するということができない。

 

台湾は、第二次世界端戦後、日本から多くの社会資本や制度を引き継ぎ、台湾にもともと住まってきた人々(全体の2%)と中国大陸から移り住んだ人々(広東福建にルーツがある住民85%。両省以外の出身が13%)が、農業や

水産業のような第一次産業から鉱工業にいたるまで、台湾という器の中にある人々によって発展させてきた。

その点、自由貿易基地として発展してはきたが、90年代半ばに変換されるまで英国の植民地にあった香港とは、大いに性格が異なる。

 

台湾は、日本最西端の与那国島の近くにある大きな島とか、中国大陸沿岸から近い豊かな島という程度の認識では、十分に実力を把握できないことだろう。

日本が総督府を構えていた時代から、日本本土にある重化学工業の殖産振興が行われていたので、製鉄業や建設業にいたるまで実力を早くから蓄えていたのである。

1980年代には、外貨準備高が世界でも上位にすでにあった。常にNIESの優等生として、半導体製造業を早くから発展させてきている。

1997年のアジア通貨危機でも、日本と似たような力のある中小企業が経済を支え、早期に持ち直した。その点、大企業頼りの韓国経済の体質との違いを鮮明にしてみせた。

 

台湾は、米日とも良好な関係にあり、他方、華僑ネットワークにより、米日や中国、東南アジアの仲立ちを行って、グレーターチャイナの一翼も担っている。TPPに参加するメリットとしては、はるかに台湾のほうが中国本土よりも

利益恩恵を大きく享受できそうである。

さて、中国のTPP参加であるが、世界的な包括的経済連携にルールづくりから参加して、経済大国としてのプレゼンスを示すという大きな果実を得られる一方、2001年当時のような中国のWTO加盟時のように、なし崩し的に参加国から譲歩を引き出すことは困難だろう。相当の犠牲も覚悟せねばなるまい。

中国、台湾は、いかなる戦略を展開するか見ものである。

FTA大国韓国とTPP

生活

 FTA(自由貿易協定)大国の韓国は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)

に熱心に取り組むのではないかと考える方も多いと思われるが、日本をはる

かに凌ぐ数の国々と既にFTAを発効または締結しており、意外と韓国にとっ

てはメリットが小さいと考えられるのではなかろうか。

 

FTAは、物品の関税及びその他の制限的通商規則やサービス貿易の障壁等

の撤廃を内容とするGATT(関税及び貿易に関する一般協定24条および5

条)にて定義される協定である。

韓国は、GDP比100%以上を輸出貿易に依存しており、FTA締結は基本

的に輸出競争力を高める効果がある。農業分野では、食糧安全保障の視点か

ら問題もあるが、とにかく大統領のリーダーシップで締結を様々な国と行っ

ている。それらの国や地域は、チリ、シンガポール、ASEAN、EFTA(欧州

自由貿易連合、EU、ペルーが発効済みで、米国が締結済みである。

韓国は、引き続きアジア太平洋地域の国や地域とのFTA締結を志向してお

り、その意味ではTPP参加は利益恩恵はさほどないかもしれない。

 

また、うがった言い方をすれば、TPPは米国がアジア太平洋の国や地域に

市場開放を迫る踏み絵のようなものに感じられる。

韓国は、ある意味1997年の通貨危機後、IMF(国際通貨基金)と世界

銀行主導により、救済を受ける代わりに徹底的に市場を開放せざるを得なか

った。そのため大手金融機関が実質外資(米国)に支配され、大手財閥企業

も支配されている(サムスンは、発効済み株式総数の56%程度、優先株の

80%を外資に支配されているとされる)。GDPが、およそ1兆3千億ドル

程度とみなされるが、そのうち50%以上をサムスンとLGが稼いでいる。

配当は、米国の投資家を潤すが高い部品や工作機械は日本から輸入し、工

場はグローバル化し、納税や雇用には経済的な規模に似合う貢献をしていな

い。韓国発祥の多くの財閥は、韓国より外資に貢献している。

韓国の保有する資産は、すでに国よりも民間所有が多いが、外資金融機関

からの借り入れが多くほとんどが短期債務である。

外貨準備高3千数百億ドルのうち、長期の外国債運用と長期投資があわせ

て全体の96%程度で即換金できるものは僅か4%程度である(日本は9

4%が即換金可能)。ことさら、くどいように書いてしまったが、米国が考

える理想的な市場開放策を志向するならば、もっとも米国の望むように開放

されているのが韓国であるといえるのではなかろうか?。したがってさほど、

韓国のTPPについての関心や話題は上ることがないと思われる。

中国の不動産急騰の可能性

生活

このところ、再び中国の不動産急騰に懸念が寄せられている。

理由の第一は、先進国の超金融緩和政策によってだぶついた資金が、中国の

不動産市場に流れ込むと予想する専門家筋が多いことによる。さらに、中

国国内で行き場を求めている投機マネーが存在していることにもよる。

 

中国のGDPは、過去5年で2倍に増えたと温家宝元総理は、3月の全人代

での報告でふれた。さらにそのGDPの2倍の金額に通貨供給量が達している

といわれている。米国の場合、通貨供給量が増えすぎると問題が生じるとの

ことで、GDPの70%を限度に規律が設けられているという。日本も通貨供

給量を2倍に増やそうとしているが、日本が金融緩和策に大幅に踏み出そう

とした時点で中国は、日本の通貨供給量の1.4倍程度の供給量に達している。

購買力平価で考えると、洪水のような勢いのある供給量に感じられる。

 

余剰資金が、極端な形で不動産に向かうと予想される理由のひとつが、「公

費倹約令」である。先の全人代でも、公費の支出が官僚や共産党幹部の汚職

の温床にもなっていると厳しく人民からも指摘を受けていた。事実、人民解

放軍の幹部車両などは、ほとんど高級外車であり、全人代の代議員の公用車

もその多くが高級外車であると指摘を受けていた。政権の信任にも大きく影

響すると考えられている。

そのため、極端な公費倹約令が敷かれ、市況に影響が出て、経済に明らか

にマイナスの影響が出ているとされても緩まる気配はない。

 

そうなると、中国国内に滞留する投機マネーは、この先の需要を見込み、

建築資材の買占めやそれら資材の原材料調達に向かうかもしれない。

あるいは、これまでどおり地方政府や第三セクター方式による不動産開発

事業等に資金が向かう可能性もあるだろう。

世界市場で行き場を求めている投機マネーが再び、中国国内に流れ込み、

キャピタル・ゲイン目的で不動産投資を行う事業者のもとに向かうことも考

えられる。中央政府は、単身者の2つめの居住用不動産の購入を禁じるとし

ているが、どれだけ規制できるものか定かではない。

今は、不動産投資にホットマネーが流れ込む心配がなされているが、不動

産の高騰は、すべてのコストを押し上げる働きがあるので、狂乱物価に繋が

る可能性も排除できない。また、不良債権化してしまう巨額の不動産融資金

額の頻繁な発生や借替えられなくなる融資案件の多発化も予想できる。

不動産市場の動向に注視したい。

中国にとって、TPP参加は困難

生活

 先ごろ中国は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対して、参加を検討するという関心表明を行った。中国にとって、アジア太平洋地域における一定のプレゼンスを確保したいということもあり、関心を示すというより無視が出来ないということが実情に近いと思われる。



TPPの参加希望国12カ国のGDP総額の世界全体比は、およそ4割、貿易輸出入金額は3割とみなされている。参加希望国にすれば、中国という経済大国に参加してもらえれば、さらに地域経済連携の価値が高まると考える立場にあるように思えそうだが、ことは単純な理解では上手く行かないようだ。

 

まず、自由貿易や資本の自由移動に対する価値感を共通に認識しているか?という問いに対して、中国がかたくなに自国通貨の管理フロート制度で、外替相場を一定に範囲でオペレーションしている以上、国際金融のトリレンマである「為替相場の自由」「独立した金融政策」「自由な資本移動」のうち、どうしても「自由な資本移動」の選択はしにくいところである。

もちろん、長期的には自由な資本移動を保証する方向に政策を向かわせると国務院は公式に発表してはいるが。短中期で達成できそうなことではない。

 

中国は、OECD(経済開発協力機構)に加盟できていない。正式には、審査

前の段階と考えて良いだろう。BRICSでは、ロシアが2007年に加盟審査申請を行っているが、未来のパートナー扱いである。BRICSのほかの国々、インド、インドネシア、南アフリカ、ブラジルは中国と同じで本格審査以前である。

中国は経済の規模において魅力のある市場であり貿易立国であるが、世界的なルールを遂行する力としては、現況では期待されているとはいい難い。

 

小職は、中国がWTO(世界貿易機構)加盟と国際会計基準の導入を行うという時期に、国際協力としてその研修の実施のため、長く派遣されていたことがある。その時期に、大変苦労したことがあった。例えば、国際的規約や約束事

の遵守意識が希薄であることである。「批准はしたが、遵守するかどうかは決めてない」という発言が公式の場でも平気で行われていたのである。

WTO加盟時に果たしておくべき約束事が曖昧にされ、加盟後、全体の利益のために行動するという意識も低いと現在でもみなされているようだ。

TPP加盟を表明すれば、米国を初めとする参加予定国は、WTO加盟の時のような中国の態度を許さないことだろう。また、中国にしても本音でいえば、自国の主張が思いのままにならないような経済連携は魅力がないことだろう。

アジア地域経済連携の特色を考える

生活

 TPP(環太平洋包括的経済連携)に関する記事が、交渉の進展ばかりでなく、

日本国民の当事者意識の高まりや金融・保険サービスや農業分野への関心の高まりとともに、頻繁に目に触れるようになってきた。

東アジア諸国の日本、中国、韓国、シンガポール、香港、台湾にASEAN加盟国のGDP合計は、2010年時点での対世界シェアは、23%程度であった。

遡ること1965年時点での同比率は、9%程度となるので、45年間で凡そ2.5倍に成長したことになる。

 

東アジアの国々は日本を除くと、もともと食料や原材料等第一次産品を先進工業国に輸出し、工業製品を輸入する垂直型分業、植民地型の貿易を行ってきた。その後の発展は、東アジアの国々の人々の勤勉さや貯蓄習慣や技術導入に対する国を挙げての取り組みが実り、やがてNIES(韓国、シンガポール、香港、台湾)を台頭させ、工業化を進め、輸出入も次第に工業製品中心となってきた。これにより水平型分業に移った。

当初、垂直型分業時代は、圧倒的に欧米諸国を相手にした貿易が盛んであったが、工業化以降は、東アジア地域内での貿易が盛んになり、投資も域内に盛んに行われるようになった。地域経済連携は、いわば必然だったといえる。

北米(NAFTA)、EUに東アジア、日中韓が世界の極を形成していることは紛れもない事実ではあるが、NAFTAの経済統合やEUの経済金融統合を目指す動きに比べれば、単に地域集団化したに過ぎないレベルである。

 

1980年代以降の中国の改革開放経済政策は、かなり広範な消費経済を拡大させたため、第三次産業の発展をもたらし、東アジア地域の経済発展にも大きく寄与した。未だ様々な制度や政治的な影響を欧米から強く受けているので、日中韓の地域経済連携へのかかわり方しだいによって、東アジア地域経済の発

展の伸びしろも大きく変わってくる可能性もある。



東アジア地域は、経済規模や人口規模から見ても、非常に可能性のある魅力的な地域である。反面、日中韓三カ国当事者に横たわる諸問題や日中韓FTA交渉が難航し、進捗が図れなくなり、アジアの経済連携交渉に影を落とすようなことになれば、他地域との地域間競争において不利益となる可能性も排除できなくなる。域内経済連携交渉の進捗とともに、他地域の経済連携の進捗も気になるところである。経済に環境や食糧、エネルギーの問題を含めて考えることが当然のことのようになって久しくなった。さらに統合された経済地域連携が、当然のことのように考えられるようになるだろうか。

TPPは、世界経済のひとつの再編なのか

生活

 先ごろ中国が、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に、関心を表明したことにより、参加の可否によらず、いよいよ経済地域統合への関心が高まる。

アジアを中心に見ると、ASEAN+3(日中韓)の東アジア経済連携協定と日中韓FTAが注目を浴びているが、中国の台頭により、その影響力そのままに加盟する地域経済連携の価値さえも変えてしまう可能性がある。

たとえばTPPの交渉スタートでは、2006年当時、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国からスタートしている。その後、アメリカ、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルー、さらにメキシコ、カナダそして日本が参加する。NAFTA (北米自由貿易協定)の米加墨の3カ国の加盟や貿易大国シンガポール、ASEAN大国のベトナム、マレーシア、資源大国のブルネイ、農業・資源大国の豪州、南米チリ、ペルーに加え、日本の参加はTPPの地域連携経済協定の価値を大きく高めることになる。

 

中国としては、自国を利する交渉を重ねて、地域経済連携の盟主に収まりたいところだが、TPPの発展は、自国の参加機会の表明の可否判断に加え、自国

が中心になれないような協定を利することはしたくないというジレンマは見え隠れする。

 

ふりかえると第二次世界大戦後、圧倒的な力を誇ったアメリカの地位が、時代の変遷とともに相対的に弱くなり、敗戦国の再興、発展途上国の成長、EUの拡大、新興国の台頭などにより、地域経済連携が出来上がる下地は作られてきたように思われる。その間、中南米の金融・通貨危機、アジア金融。通貨危機は起きたが、IMF(国際通貨基金)や世界銀行を中心とする支援システムや多国間支援など様々な国際金融秩序構築を試みてきている。

 

1990年代に入りEU の域内統一通貨、欧州中央銀行金融政策一元化もあり、安全保障や司法、行政の分野にまで統合が深化してきている。南欧経済不安等も問題にされているが、地域連携経済協定の模範となっていることは確かである。

南米ではMERCOSUR(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)

アフリカではCOMESA(東・南アフリカ共同市場19カ国)・中米5カ国・CACM・カリブ共同体。15カ国・GCCアラブ湾岸6カ国という具合に多様な地域経済連携が展開されている。かつてのG7は、G20に模様替えしており、

世界経済構造変化に対応すべく、規模の利益・分業の利益を求め、地域経済連携が再編されているともみなされよう。

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