6月2013

インターネット広告とネオン広告と五月闇

生活

 この先の旧暦の五月は、夜が特に暗い。雨が降っていない日でも、梅雨時ということもあって、もともと月を拝める回数が少ない。雨が落ちてこなくても、空がどんよりとしていて月あかりを拝めないということである。いわゆる五月闇(さつきやみ)である。

 

旧暦の5月28日は、日本三大敵討ちの「曽我物語」の五郎・十郎兄弟が富士の巻き狩りで、父河津三郎の敵である工藤祐経を討とうと誓った日から十八年の艱難辛苦の末に、夜討ちをかけて思いを果たした日である。曽我兄弟を助けた張本人は、五月闇に違いない。

歌舞伎でも人気の曽我物は、日本人特有の判官びいきや筋の良さ、役者、舞台背景が相まって傑作となった。この後も忠臣蔵や荒木又右衛門とともに語り継がれる不滅の芝居である。

 

さて、すこし寂しい話を少し。

その昔、支店経済で潤った博多。その象徴的なものが、九州最大の歓楽街中州の夜に目立ったネオン広告だった。たしかに往時は、橋の上に立ってネオン広告を見ていると夜を忘れさせるほど明るかった。

ここのところ企業広告は、閲覧者の情報分析データの揃う、そして各種分析が可能なインターネット広告重視となり、ネオン広告が激減しているとのことである。ネオン管を操り、ビルの屋上で工事をしてきた幾万の職人やそれを支える道具や材料をつくる幾万の職人たち。彼らに五月闇は、いっそう暗く感じられよう。ところで、インターネット広告は、素人でも簡単に作りよく、コストがかからない。確かに便利ではあるが、広告制作のある種デフレーション局面だと思えてもくる。友人知人のブログにナショナルブランドのロゴが貼り付けてあっても、なんらの不思議さもなく違和感も無い。便利だが、経済的には何かを後退させてはいまいか。

 

ところで、バイオエタノールが脚光があびて、その原料であり、かつ家畜飼料の代表格でもトウモロコシ相場が急騰し、さらには、さとうきびが買い占められたりした。このことで、日本経済が大打撃を受けた。他方、アベノミクスにより、本格的な農業分野へのてこ入れで、生産性が飛躍的に高まる可能性が強まっており、復権も期待できそうである。わが国食料自給率は、カロリーベースで低値安定の40%程度。その理由に、農業生産の低い付加価値があった。これ先、向日葵も車を動かすクリーンエネルギーに成り得る。五月闇の中、目を凝らして見るべきものは多い。