6月2013

中国と日本における高度経済成長期の相違点

生活

 1980年代から鄧小平国家主席による改革開放経済への大転換やその後、

朱鎔基総理、温家宝総理に引き継がれた改革路線の賜物で、年率にして10%近くのGDP比経済成長を果たし、2010年にはそれまで長く世界第二位のGDPを誇った日本を追い抜いた。それ以後、輸出入総額は世界最大となり、輸入総額では世界第二位となった。経済改革や近代化の面では、躍進を遂げてきた中国であるが、日本の経済成長期とどこが違うのか相違点を明らかにしてみたい。

まず、経済成長の質の問題である。輸出入総額では世界最大の国となった中国ではあるが、あまりにも人口が多いため一人頭の所得は、4000ドル超でしかない。この数字は、発展途上国並の数字である。

今後、日本と同等の一人頭の所得に追いつくためには、今後、さらに数十年の月日を要するという見立てもある。

 

中国と日本の経済成長期における相違点のひとつは、「所得格差」である。

中国における改革開放経済の最大の負の財産は、「所得格差」が拡大する一方であるということである。中国では、生産年齢人口の移動は、(農民戸籍の)民工が担ってきた。都市戸籍に変わることができるのは、わずかな数のエリートであり、ほとんどの民工が非正規雇用者として、社会保証面も含めた差別的な扱いを受けながら中国経済を支えてきた。いわば、政治的に制度的に格差縮小は阻まれていた面もある。農業従事者は、ある意味切り捨てられている。

他方、日本の場合、本来農業従事者が中国同様に大きな人口を占めていたが、

地方の農業従事者から都市労働者への移動がスムースに行われ、その結果、都市労働者となった者の所得水準は高まり、所得格差が縮小し、社会保証制度の発展も大きく支えた。今後、中国は和階社会実現のために、都市における雇用を拡大する方針を打ち出しているが、住宅政策に目を転じると、海外投機筋や地方債によって調達された資金が不動産バブルを産んでおり、阻害要因になる可能性が大きい。

さて、所得格差に続いては、「政策差別」を取り上げたい。中国においては、基幹産業は国営企業の大企業である。民間企業は、基本的に中小零細企業である。輸出など外貨獲得につながる大企業には、各種の優遇制度があり、資金調達面では、圧倒的な差別を民間中小企業は受けている。

日本の場合、人口の9割以上が中小零細企業に従事しており、中小零細企業の育成助長が、国の大きな政策の柱である。金融制度も行き届いており、社会保証制度も行き届いている。日本が、もっとも世界で成功した社会主義国家と言われる所以である。