6月2013

景気後退でも人民元が切り下げられることはないのか

生活

 中国は、外貨を稼ぎ、外貨準備高を増やしながら、人民元の供給量を増やし

経済運営を行ってきた。若干の調整局面で僅かな値下がりすることがあったが、政府が実質的に為替を管理し、僅かづつ上昇基調を続けているとはいえ、基本的には上り調子一本である。

このような状況下で米国議会は苛立ち、たびたび強硬な態度を対中国で見せ

てきた。人民元は、東南アジアでは普通に流通する通貨であるが、国際通貨には未だなっていない。中国政府が、実質的に外国為替を管理できているのは、

逆説的にいえば、人民元が国際化していないからである。

 

ところで、人件費が高騰し、物価上昇は続く中国では、製造拠点としての魅力は少なくなりつつある(市場としての魅力は別として)。過日も述べたように

米国産業界の工場の米国内回帰の動きもある。

高度な経済成長が、中国で続いていたこれまでは、巨額の投機性資金が直接

的あるいは間接的に不動産開発資金などに投下され、さらに成長著しい分野にも潤沢に資金が投下されていた。だが、今は明らかに後退局面にある中国経済である。巨額な投機筋の資金は逃げることはないのだろうか?

現実的には、資金流出はあり得ることであるが、変動為替とはいえ実質的な

政府管理下に置かれていることが、ここしばらくは幸いするだろう。しかしながら、仮に人民元の切り下げが幾営業日か続く程度ならまだしも、切り下げ基調となれば、一気に事態が流出に傾き、歯止めが利かなくなる可能性がある。

また、アジア通貨危機の前夜までの様相を注視すると、通貨の暴落、浴びせ売りの直前までは、投機筋の巨額資金が流入一方だったことがわかる。いわば表面張力のような力が働くぎりぎりまでは、順調な金融経済の様相が続いたということである。これは、通貨危機の震源地タイに限らず、インドネシア、マレーシア、。韓国で同じようなことが言える。

 

さて、今後の中国人民元であるが、アベノミクスにより、きびしい影響が

あると予想できる。金融緩和により円安傾向は続くと思われるが、中国経済には、下方圧力となって働くことが予想される。そうなると中国政府としては人民元を本来切り下げたいところだが、切り下げれば米国から制裁が発動される可能性がある。中国に向かってきたホットマネーは香港経由で。流入全体の50%超えである。ほかの華人経済圏の資金も合わせるとグレーターチャイナマネーは相当な比率になる。それらの筋の資金は、不動産バブルの崩壊に至らないように支え、株価暴落も支えている。人民元を今後も小刻みに切り上げてゆくと対日本戦略で不利となる。しかし、切り下げる選択はできない。悩ましい。