6月2013

人民元の国際化に向けてのトリレンマ

生活

 先の5月24日、中国国務院常務会議が、「金利と為替レートの市場改革を確実に実施すること」と「人民元建て資本項目の兌換自由化の操作方案を提起すること」を発表した。この先、中国人民元の国際化を推進するためには、困難を伴う基盤づくりが迫られる。

過日、国際金融のトリレンマついて本コラムで取り上げた。

国際金融政策において、以下の3つの政策を同時に実現することが出来ないというものである。

・為替の安定(固定相場制)

・独立した金融政策

・自由な資本移動

 

日本の場合、自由な資本の移動を制度的に保証し、独立した金融政策を実施しているため、自らを利するような為替の安定が図れず、超円高の長く苦しい時期を耐えてきた。

中国の場合は、為替の安定を重点化し(管理フロート制)、中国人民銀行(中央銀行)による金融政策を自由に確保するために、外国との資本移動に制限を加えてきた。それを前出のように「人民元建て資本項目の兌換自由化」に舵を切るというが、簡単なことではなさそうだ。

人民元を管理フロート制の元におくがために中国は、外国為替市場と金融市場で金利平価が働くために、偏った政策運営を行うと価格決定システムが欠陥を生み信頼性を損いかねない。そのため、外貨の買い入れオペレーテイングに偏りはしたが施策を行い両市場を運営してきた。

 

仮に為替市場の自由化と資本項目の兌換自由化を実現するとなると、急な資本の流出に備えて制限を行えば、民間の対外投資や中国国内で短・中期で経常項目の黒字を積極的に相殺することを図らねば、中国人民銀行はさらに外貨準備高を増やし続けることになり、金融政策の効率は低下する。

資本流出を制限し、為替市場の多用な運営が出来なければ、さらに為替野で変動幅を調節できる自由度が損なうことになれば、為替制度自体が機能不全に陥る可能性がある。

資本項目の兌換自由化を促進し、資本が流入流出両方向から健全に機能させ、国際収支上で自律調整機能が働き、さらには為替レートの市場化推進を図ることは、結果として市場化に尽力しないと実現できないことである。

国際金融のトリレンマに向き合う中国の本気度はいかがなものであろうか。

並大抵の洗礼では、済まされそうにはないようである。