6月2013

中国都市化政策の課題

生活

 前温家宝国務院総理ならびに現李強克国務院総理が、力を入れて推進を図ってきているのが「都市化政策」である。都市化に力を入れる理由とは何か。

端的に行って、国家の安定のために必要ということであろう。

「保八」と呼ばれる”対GDP比成長率8%は、どんな状況であっても死守せよ”という悲痛な目標がこれまであった。社会の安寧と平和のためには高い経済成長がどんな時にでも望まれるということであった。

 

西部内陸部の成長やインフラ投資を考えれば、まだまだ相当な経済成長を期待され、かつ望まれると思われるが、長期に高度経済成長を継続すること自体困難なことである。現実的に、国家の安寧と平和のために何をなすべきかを思索した結果が、「都市化」ということであろう。

「都市化」とは、どういうことかといえば、農村戸籍の労働者を前提に考えられており、まずは「就業」ということである。続いて、定住することを前提に「住居」の提供。そして、安定した給与所得者に付与される「社会保障」ということになるだろう。

農村戸籍者は、都市戸籍者にくらべ能力開発の機会や訓練の機会に恵まれていない場合が多い。就労訓練や就業支援は制度として必要である。あるいは、マイクロファイナンスを用いた企業支援も有効だろう。ところで、大都市近郊の農村戸籍者と西部内陸部等の農村戸籍者の扱いを同じにするのだろうか。戸籍制度改革には、困難がありそうである。農民工として働くものと都市戸籍勤労者の社会保障内容の同一化が望まれて当然である。

注目したい事柄である。農民戸籍者の戸籍変更や労働者の社会保障問題以前に横たわる問題がある。たとえば、歴然としていることだが、農民戸籍者への就労への「差別」である。この差別は、農民戸籍者が良質な教育機会を享受できなかったことが大方の理由であり、解決は国家事業として行うべき性格の問題である。また、都市戸籍の勤労者は社会保障制度を享受しているのだが、農村戸籍者には、社会保障制度で守られていない。その代わり、その生活の糧をすべて生み出す源である農地があるようなものである。したがって農民の農地似たい尾する執着は強く大きい。他方、規模しい生活から発生した耕作放棄地も大きい。

反面、地方政府が、農地を一方的に接収し、開発を行ってきた事例も数え切れないが、今後、農民戸籍者に就業の機会や住居、社会保障を与えるのであれば、同時に農村集団所有農地と国有地になっている都市の土地の交換や利用のあり方も掘り下げて検討を要するところである。「都市化」は必然だが、巨額に上るコスト負担をいかに賦課してゆくことだろうか。