6月2013

夜空が彩る景色

生活

 近年は、気温の変化や草花の様子で季節の移り変わりを測ることが難しい。

どれもこれも、地球温暖化が原因だとして決めつけてしまうのには抵抗があ

る。しかし遠因としては、もはや避けがたいところに来ていることだろう。

さて、気温の変化や草花の様子で季節の移り変わりを測ることが難しいと

すれば、これに代わるものには何があるだろうか。身近なところでは、空模

様。

梅雨空から炎暑の夏、秋暑厳しき候に変わっても、熱のこもったような暑さは、続くことだろう。しかし、風の向きは東風に始まり、南風、西風、北風へ

移ってゆく。雲は、時に気温の急激な変化と水蒸気上昇で積乱雲を立ち上げ、集中豪雨をもたらせもする。が、普段は驚くほど静かで、薄く白くたなびく雲が流れてゆくだけである。空を見る限り、いつもの景色そのものである。

空のさらに上に広がる宇宙は、たゆまず時計の刻む進みのよう。確実に星らを暗黒の空間で運行させている。夜空で起きる事象は、地球温暖化などに左右されることなく、心地良く時のうつろいにしたがう天模様。そして、期待で埋まる輝く星らの構図。

 

ところで、夏の星座と冬の星座は、がらりと様子が違って趣がある。

また、眺める地点の緯度や地軸の傾きもあるから、その場所ならではの見方も生まれる。天文学は、欧州で発達したこともあり、星座もギリシャ神話から生まれたものばかり。動物になぞらえた星座などは、日本人の感性からすると説得力に無理があるように思う。しかしながら、北極星とその周りを彩る星や星座については、その感慨には洋の東西を問わないものがあるように思う。

北辰、北極星は北半球に住まう人々らの精神的な支柱のような存在。古代から季節の移り変わりによらず、いつもそこにある輝く星として存在した。帝王らは、自らの星として民らに信仰させた。教養人らには、ぶれない存在として崇められた。北斗七星は、日本人にとって身近な星座であり、暮らしを彩る星でもあった。七つ星、四三星、ひしゃく星とその異名も身近なものである。佐渡あたりでは、鉤星とも言われたようだ。佐渡あたりでは、囲炉裏で用いる自在鉤のように夜空にかかって見えていたようだ。

人気寝台特急と同じ名前のカシオペア。W型の5つ星を瀬戸内の香川県観音寺あたりの漁師らが見ると、錨のように見えたようでイカリ星といわれてきた。双子座のカストール・ボックスの二星は、甲乙つけがたいほど同じような明るさで並び輝くので、フタツ星。この名前は、あちらこちらで定着している。変わったところでは、愛媛県でカニノメ、壱岐地方ではカレイノメと呼んできたようだ。時に先人に思いを馳せ、晴れた夜空の景色を楽しんでみてはどうか。