7月2013

平賀源内先生発案のあれ

生活

 今年の夏の土用の入りは、7月22日であった。土用は、夏ばかりが目立つが、ちゃんと春秋冬にもある。理由は、以前も書いたので簡単におさらいしておこう。東洋には、陰陽五行説という思想があり、宇宙の構成五大要素を木火土金水だとしている。五大要素は、それぞれ木は、春で青と東、火は、夏で赤と南、金は、秋で白と西、水は、冬で黒と北という具合に季節や色と方位をあてがわれた。土は、本来色でいえば黄で皇帝の色、そして定位置は中央なのだが、土のために、春夏秋冬の季節ごとにそれぞれ終わりから18日間を割いてあてがい土の用、つまり土用としたのである。立秋までは、ご利益がありそうである。

さて、土用のことだが、古来からの暦によると地軸がずれたり、地盤が緩むので、建設や地鎮祭などを行うべきではないとされてきた。事実、土用に地震が起きたことをあげれば枚挙に暇が無い。要するに。土用は、天変地異が起こりやすい。夏の土用波とて、地軸のぶれが波を大きく増幅させているに違いない。酷暑の土用の丑の日に、ウナギをたべると夏ばてしないと言い出したのは、エレキテルの平賀源内先生である。かように伺うとそのような気がしてくるが、

しっかりとした根拠があるのではなくて、ウナギ屋の親父に頼まれて書いた広告文案との説がある。さすがに源内先生である。風雪に耐えて、今日まで残る名コピーである。著作権使用料を支払うとすれば、天文学的な金額に上るに違いない。

そのウナギがご存知のとおりにピンチである。ご存知のとおり、うなぎはシラス(幼魚)をとって養殖するのが一般的であって、生態はほとんど解明されず、ごく最近、日本の研究者チームが、マリワナ海溝の某所で、日本うなぎの産卵場と特定したばかりである。生態が、わからないままうなぎの消費が拡大し、うなぎの消費は、生産一方であった中国の消費まで喚起してしまい。シラスの調達は、欧州産が一般的となった。今度は、その欧州産うなぎのシラスの輸出にストップがかかった。水産資源も枯渇を危惧するが為の処置である。シラスが出荷されなくなっても、うなぎの出荷前の2年齢と1年齢のうなぎが養殖されているので影響が出るのは、2年後だとお偉方は説明している。このままでは、まちがいなく食することができ無くなるのであろう。ひつまぶし、真蒸し、蒲焼、白焼きの筏が食することができなくなるのは、実に耐え難い。気取った店にゆくと、座敷に上がってから捌いて蒸す。そして、じっくりと焼きに入る。散々にひもじい思いをしてからありつける。

鉱業資源が、ほとんど無くて、国土が狭くて、人口は減少する一方。さらに、水産資源まで枯渇すれば、どうなるのだろう。いっそ、手に入らない資源を渇望するより、明るく食習慣を変えてみようか。でも、うなぎは食したい。

ウナギばかりか、今度はクロマグロも危ないという。日本人は業が深い。

中国が堅持する高速鉄道建設、経済成長、物価安定目標

生活

 先ごろ、無期懲役判決の下りた元鉄道相劉志運死刑囚。判決には多くの人

民の不満が表明されているが、3月に解体が発表されて隆盛を誇った鉄道部

の落日の象徴のようでもある。

鉄道部解体は、汚職の温床とされてきた既得権益を本気になってつぶすと

いう中国首脳の姿勢を明確にしている。また、国営鉄道の解体は、保有と

経営も含め、権益の集中を避けて好ましい運営形態を模索するものとなる。

日本における国有鉄道の解体とJRグループの誕生~各旅客鉄道会社なら

びに貨物鉄道会社の誕生を思い浮かべるとよいかもしれない。

 

地方政府や第3セクター方式事業で、不採算と認識されていながらも不動

産開発投資を盛んに行ってきたツケが、景気後退や調整局面に差しかかって

きたといわれ始めてきたその最中に回ってきた。また、公共投資による不採

算事業が問題視されている最中に償還原資問題が蔽い被さってきた。

にもかかわらず、新体制でも高速鉄道建設は継続すると発表された。

中国新幹線事故の原因究明や安全対策について、遺族や人民が納得している

とはいいがたいにもかかわらずである。

 

経済政策の最高責任者である李克強総理は、シャドーバンキング問題を先

頭に、経済問題の重石になる懸念解決になんら支障がないという口調で、相

もかわらず高度成長7%半ば以上の維持と前年比高3.5%以内の物価上昇率

の達成目標を発表した。いわんとするのは、目標達成のためには財政出動も

迷わず行う覚悟であり、景気と物価の両国目標を達成するという悲壮な覚悟

である。

 

さて、中国の貨幣供給量は5年前の2倍。GDP 比で見ると米国の1.4倍

日本の2倍ということである。シャドーバンキングの理財商品等の大量償還

が続くとされているなか、大量の不良債権化によって資金は枯渇する可能性

はある。仮に返済に苦しむ企業や業界救済のために、今後も貨幣供給量を増

やすとすれば、結果、物価を押し上げ高騰に繋がる可能性が強くなる。

そもそも中国経済の局面が困難に向かいあっているのは、不採算を省みず

過剰投資した重厚長大産業への投資をはじめ、返済利息さえ生まない不動産

投資や受益者負担にも繋がらない公共投資の結末である。借金の付け替えを

しようとしても、原資の大本である米ドル(米国債)の金融緩和が年内にも

本格化しようとしている。中国首脳の思い描くような公共投資環境は遠退く

ばかりである。進むも退くも茨の道が広がっている様相である。

新興国や資源大国も受難?米国金融緩和縮小政策

生活

米国の金融緩和政策は、出口戦略(特に縮小開始時期や期間など)が難し

いといわれてきた。このことはアベノミクスで経済の上昇機運をつかみたい

日本の当局も注目していることである。

米国の年内の金融緩和は織り込み済みという見方が体制を占めているのか、

内政干渉を嫌う政治大国の中国が、金融緩和縮小に対して反対を表明すると

いうことが先ごろあった。

輸出貿易を過去30年間、外貨獲得のために国を挙げて奨励し、外貨準備

高1位を堅持し(4兆3千億ドル)、巨額の米国債を保有し、見合った金額

の中国国債を発行し、政府系金融機関に買い取らせ、それを原資に公共投資

や基幹産業への投資などを間断なく行ってきた。世界同時不況にも見舞われ

た時期もあり、やむをえない事情もあったが採算や受益者負担も無視せざる

得なかった事情もあったようだ。米国の金融緩和縮小政策に限らず、経済循

環は上昇期も後退期もある。それが短期の場合もあれば長期の場合もある。

為政者は、運にも恵まれたいと念願しているはずであるが、思いもよらぬ

逆風に見舞われることがある。

 

朴政権も近く正念場を迎えるかも知れない。貿易収支が改善し、半期で史

上最大の黒字(主原因は資源部品の値下がり)の経済報告があったのだが、

米国の金融緩和縮小のさきがけ機運なのか、韓国を支える多くの外国資本

金融機関の資金の引き上げや投資ファンドの引き上げ傾向が明らかになった。

韓国の大手金融機関や大手上場企業は、IMFとの協定により市場開放政策

により完全に外国資本に支配されている。韓国の外貨準備高のうち)95%

は流動性の低い運用のため、緊急時の資金手当てには期待が出来ない。

外国資本の動向しだいでは、株式の売り浴びせや通過の売り浴びせの悪夢

がよみがえる可能性がある。1997年のアジア通貨危機以来、経済体質の改善に取り組んできた諸国も未だ道半ばである。縮小時期によっては、通貨危機以来の局面にぶつかりそうである。

 

中国は、これまで資源調達のため、アフリカや南米、豪州に投資を行って

きた。それが米国の金融緩和縮小機運から世界中で資金が引き上げられ始め、

米国に向き始めている。そのために、中国も余裕がなくなってきている。

米国は、世界最大の経済大国にして、基軸通貨ドルを発効できる国である。     たとえ財政破綻しても、外貨を獲得しないと支払いにお窮する国と異なる。

穿った言い方をすれば、国内問題に取り組めばよいだけである。

外貨準備高の意味、それの質の高さを維持する必要性を再認識させられる。 

韓国の貿易収支改善で経済危機回避はなるか

生活

  アベノミクスにより、2013年初からウォン高円安の傾向が続き、輸出

依存の高い韓国経済は、相対的に対日競争力低下を引き起こし、貿易収支の

旗色がこれまで良くなかった。さらに、ここのところ輸出先としては全体金

額の25%相当にあたる中国の景気後退観測から、悲観的な空気が強くなっ

ていた。

 

ところで、先のロシアでのG20(主要20ヶ国蔵相中央銀行総裁会議)開

幕直前に、韓国の貿易収支による大幅黒字達成の報道があった。

発表によると、半期の「素材・部品」輸出入収支の黒字が、483億ドル

を達成したということである。この数字は、全体の貿易黒字金額196億ド

ルの実に2.5倍にもあたる金額である。半期では史上最高額の黒字に関係者

は、ことのほか歓喜に沸いているようだ。

その理由の第一は、アベノミクスによる相対的なウォン高基調により、長

期に貿易実績が減少することが予想できることであった。

しかしながら今回の大幅黒字は、韓国経済の回復力を示すような性格を

帯びていない。なぜなら、483億ドルの達成された黒字のうち、70%近

くは単に素材の値下がりによるものとされているからである。

関係者によれば、輸入消費の大きい原油の相場は、1バレル当たり年間平均

で107ドルで推移する予想を立てているが、現在は1バレル当たり103

ドルと予想を下回っており、輸出入収支でかなり助けられている。

 

さて、米国の大幅金融緩和縮小、海外ドル投資の米国回帰が予想される

なか、現実に欧米の金融機関、金融サービス業を中心に業務の縮小、店舗の

廃止、駐在員の本国転勤などが続いている。言うは易しではあるが、輸出

競争力は国際為替状況に左右されることが多く、通貨の力に加えて技術開

発力やブランド力を持ち合わせるようにしなければ、韓国の苦境は変わら

ない。また、外資系金融機関や投資家やファンドに支配されたままでは、

実現利益も素通りして韓国国内に長く留まることはない。苦しくても長期

的に体質改善を図ることは肝要である。

ただし、国家財政規模と同等金額にまで拡大した家計借入の実態に照ら

し合わせると、租税回避行為や雇用創出で貢献しない大手財閥企業を支援

するより、本来は経済民主化を推進すべきである。ただ、名目的GDPなど

経済指標を示して実績を示すには、大手財閥主体の政策が見栄えが良いこ

とだろう。内需拡大を財政健全化を図らないければ、いつになっても通貨

危機の悪夢にさいなまれ続けることだろう。

中国の内需拡大と付加価値創出

生活

 現在も中国の潜在的な経済成長力には、依然として大きなものがある。

他方、このたびの経済調整局面、あるいは景気後退局面は、中国の生産年齢

人口が大きく減少しはじめる前に起きたということになる。中国首脳陣の見

込みよりかなり早いはずである。

日本円にして800兆円規模のGDPの創出をしていわれている中国。

経済統計は、かなり不正確で水増しされていると指摘する声もあるが、概ね

正確だと受けとめて仮定した場合、推計になってしまうが、凡そ400兆

円規模の不動産関係で生み出されたGDPがあると考えられている。「世界の

工場」と比喩されてきた中国ではあるが、工業生産などで生み出される付加

価値は想像するよりはるかに低い。

 

理由のひとつは、政府の主導する産業が長大重厚に偏っており、大手金融

機関の融資もそれら産業に偏っている。加えて、党幹部や官僚もそれら産業

の業界団体の役員を務め、利害調整に積極的にかかわる代弁者のようでもあ

る。さらに彼等の存在は、バブル経済のプロモーターのようでもある。

ふたつめ理由は、安価な労働力を求めて進出してきた外国資本と異なり、

研究開発投資に中国系企業は熱心ではなく、外資系企業の中国企業に対する

技術移転に期待する傾向が強く、付加価値創造に弱い産業構造のままである。

つまり、巨大市場に期待して居座る外資系企業は依然として多いが、中

国系企業で付加価値創出の強みをもつ、国際競争力高い企業は明らかに少

ないということである。

 

すでに中国の労務費は、東南アジア諸国と太刀打ちできるレベルになく、

外資系企業工場の中国撤退と東南アジア等への転進はかなり増えると思われ る。中国政府が、貸し出し金利の下限規制撤廃を決めて、金融自由化に向けて

踏み出したとみなされているが、中小零細企業、個人事業主に留まらず、これまで融資対象としてこなかった産業やいわゆるベンチャー企業への融資も整備

に期待したいところである。

 

上海証券市場の株式指数も過去最高時点からすれば、3分の1以下である。

日本に置き換えると、日経平均3万8千円台だった株式が1万3千円を切っていたようなものである。金融不安が払拭されないと、本格的な株価上昇が遠退いてしまう。当然、中産階級3億人の消費マインドも冷え込むことになるだろう。内需拡大が中国の経済安定化の基礎になるのも明らかである。今、付加価値創造産業への積極投資と消費者訴求力の高い商品の研究開発を勧めたい。

中国の金融サービス業発展の可能性

生活

 中国のシャドーバンキング(影の銀行)の存在は、いまや世界の関心事で

あり、先のG20でも注目を浴びていたこともあり、中国の貸し出し金利の下限撤廃発表が金融自由化への加速度的変化をもたらすのではという希望的な観測にもつながった。



シャドーバンキングのうち、回収不能に陥りそうな、あるいは不良債権化

している不動産開発投資や地方政府の公共投資は論外であるが、中国政府系の

大銀行は国有企業向けにしか実質融資をしないため、中小の金融機関が零細企業や個人事業主に融資するものもシャドーバンキングに類することになる。

そういう観点から推計すると中国の金融の60%以上がシャドーバンキングによって支えられているということになるという。



この60%は地下経済そのものとも地下金融とも言い換えられるが、ようするに日本でいえば公庫が担ってきた金融サービスや信用組合、信用金庫、地方

銀行、ノンバンク、古くは無尽講、頼母子講のような機能をもっている。

大規模な景気後退が起きても、また新しい産業の芽が生まれてきても金融

のニーズが小さくなることはありえない。

シャドーバンキング問題が大きく取り上げられて以降、中国で日本韓国の消費者金融の専門家を招いて研究会がおこなわれていたが、中国当局者も金融の

自由化に向けては、消費者金融も含めた金融サービス業の育成に取り組むべき

よい時宜ではなかろうか。



米国の出口戦略については、金融緩和縮小の時期、ドル資金の米国本土回帰の時期について盛んに新興国が気をもんでいる。新興国は、とくにアジア通貨危機を乗り切ってきたといえども、必要資金の多くを短期借入でで外国資本から調達するという体質から脱しきれていない。

同様に中国も貿易で米ドルを稼ぎ、それで米国債を買い入れ、さらに似合い

の国債を発行、大手金融機関に買い取らせてきた。ある意味中国は、米ドル本位制である。中国にとっても資金の枯渇につながりかねない深刻な問題である。

金融緩和の縮小に米国が動けば、資金不足からくる悪影響は、中国の民間企業、特に中小零細企業や個人事業主に資金調達の困難という形での重石がのしかかってくることだろう。

内需拡大という課題のためにも、中産階級の3億人ともいわれる人々の消費拡大も視野に入れて、金融サービス業の育成に乗り出してみても良いのではと考えるのだが、いかがなものだろうか。

中国の産業就労構造転換に期待

生活

7月19日中国政府発表の貸し出し金利の下限撤廃の政策発表の効果については、劇的には成果を期待できないという見方が大方である。しかしながら、シャドーバンキング(影の銀行)問題でも指摘を受けている民間金融機関や

ノンバンクなどの金融サービス業の育成の契機になることに期待したい。



さて、中国の産業就労構造に眼を転じたい。

中国の経済躍進が始まった1980年代の産業就労構造について、過去の統計を見ると、凡そ第1次産業の就労が、全体の30%程度。さらに第2次産業就労が同40%半ば、第3次産業就労が20%半ば程度であった。

2010年時点の統計によると、第1次産業の就労は、全体比で10%台、

第2次産業の同比で30%台前半、第3次産業同比が40%台半ばとされている。地道に産業構造の変革が遂げられ、就労人口構成も変化を遂げているのは確かである。

ところで、不動産開発投資や公共投資をエンジンにして驀進してきた中国は、

前出投資と同様、過剰投資、過剰生産、過剰在庫が指摘されている長大重厚産業への投資などから大きく転換すべき時期に差しかかっている。

シャドーバンキング問題が、世界的に不安をかき立てているさなか、中国当局者は雇用ベースで計算すると世界で1400万人の雇用を新たに生み出し、対世界経済で20%の貢献をしていると誇った。

問題は、中国の付加価値生産の低さである。不動産開発投資などには積極的な中国ではあるが、研究開発投資は対GDP比が低すぎて話題にされず、中国に進出する外資企業に頼ったままである。GDPの計算方法が付加価値生産方式にあらためられることになったが、今後正確な算出と報告がなされたら、中国人民の失望をかうばかりだろう。ここのところ、労務費は急騰してきているが、

付加価値生産から見るといびつな高騰である。今後、日系進出企業等が内陸への転出を図りながら、産業ロボットによる工場操業を本格化させると雇用能力のある企業からも多くの失業者が生まれるや知れない。

 

中国は、1997年のアジア金融危機や2008年リーマンショック後も財政出動で危機を乗り切った。それによって、いち早く経済をV字回復させ、世界に大きく貢献したことは明らかである。今後は、生産年齢人口が急激に減少することもあり、不効率な産業就労の転換を図り、第3次産業を新たなフロンテイアとして水平を拓くべきである。米国はGDP比で第3次産業の付加価値生産が70%相当、日本の同比は60%程度である。中国は、多く見積っても30%には届かないようだ。内需創造や就労機会創出からも注目すべきである。

 



 

中国の金融政策は、効果があがるか?

生活

 7月19日、中国政府は金融政策に一歩踏み込み、貸し出し金利の引き下げ

を決めた。荒銭(市中資金不足)にさらされている民間金融機関にとっては調達コストが下がることは大きな恩恵になることは確かである。

ただし、金融政策全般にわたる中国政府の方向性が指し示されておらず、今回の施策の効果は、首脳陣が期待するほどには挙がらない可能性もある。

 

ところで、7月19日にはデトロイト市の破産申し立てのニュースが飛び込んできた、自動車産業で栄えた都市のことでもあり、大きな話題になっている。

手続き上、自動車労組らの年金支給減額につながるような手続の違法性が認められそうなので、為政者の描く姿で整理ができないかもしれない。

さて、デトロイトの財政破綻と整理の問題が、たとえ栄華を極めても永続的にそれを維持することの困難さと、時代の趨勢や現実的な対応に遅れが出れば、

大きな公共自治体や国家といえども退場を迫られることを示しており、逆接的にいえば米国社会の健全性が示されているかのようだ。先に、1929年の世界恐慌のことも取り上げたが、当時も自動車の都デトロイトも地に堕ちてしまった。言い方を換えれば、社会が健全であればこそ生き残れないものは斃れ、そして再生もするということだろう。

 

話は変わる。

中国のひとり頭のGDP額は、発表された統計に基づけば凡そ6,000米ドル程度である。先進国のひとり頭のGDP額は、40,000米ドル以上なので単純に比較すると中国は現況6分の1以下である。北京や上海、広州の三大都市圏や沿海部の大都市を見る限り、先進国との差を感じさせられることはないと思うが、西部内陸部の生活水準は、中国の先進地域に比較して、相当な開きがあるということである。言い方を換えれば、中国には無限のフロンテイアがあるということである。中国人民もその多くが豊かさにふれて、購買意欲を高め、さらには消費者としての確かな眼を持ちつつある。金融政策や経済政策が適切に施策されていけば、かなり大きな景気後退があっても、また長期低迷があっても必ず健全な姿で再生することだろう。

直近のPMI(製造業購買担当者指数)などをみれば、需要を無視した資材の過剰生産、過剰在庫、過剰投資は明らかである。これらの先頭に立つ指導者は、

経済成長率絶対主義で走ってきたエリートたちである。経済の仕組みの再生とともに、評価方法も再考する時期に差しかかっているに違いない。

投資ブームのミャンマーの労務費は、中国の6分の1程度という。ミャンマーなど今後成長の見込まれる国々に先んじて次のステージを目指すべきである。

中国経済は、失速ではなく調整局面という認識

生活

 先の7月17日に、アジア開発銀行(ADB)総裁の中尾武彦氏が記者会見に臨み、中国経済に対する見識を示した。その要旨は、”中国政府が、経済成長の見通しを対前年GDP比7.5%と下方修正したのは、「経済失速ではない」というもの。これは、「輸出入の減速や金融引き締めの表れ」であって、短期的には問題にならないというものであった。

ただし、注文もしっかりとついていて、「経済成長は大事だが、消費を喚起し、

不動産や民間設備投資に偏らずバランスの取れた成長を期待する」とのこと。

直近の統計によると6月期の中国新規住宅価格は、前年比で6.8%の上昇を

遂げている。また、2000年以降昨年までの中国におけるひとり頭の所得は、

4倍に伸びている。金融行政や公共投資政策を上手く誘導できれば、豊かになった人民の強い購買意欲を喚起することによって、内需を拡大することは可能

であろう。中国の中産階級人口は、3億人程度といわれている。この層の消費

を喚起できれば、かなりの経済成長に寄与できるに違いない。

 

さて、中尾武彦ADB総裁の「中国経済失速否定」の見識に反して、グローバル企業の動きはかなり素早い。つまり、中国経済の変化に即応して、投資リスク分散を早々と行っている。

まず、中国の景気後退に影響を受けやすい国や地域への投資を伸びしろの大きいインドネシアなどの東南アジアの国や地域に振り換えている。また、中国経済の減速で落ち込む売り上げ分を景気回復基調の米国や消費の底固い欧州向けに振り換えるなどグローバル企業のシフト変更が見られる。

またグローバルな金融サービス企業である証券や銀行、投資会社なども投資先の振り替えを大きく行っている。

 

これらのことを踏まえると、短期的には中国人民の強い購買意欲に支えられ、

中国国内における消費需要は短期的には、依然強含みと思われる。他方、米国、欧州、日本などのグローバル金融サービス企業群は、中国都区内から投資を

継続的に引き上げる基調にある。このことによって、中国国内で実施されている金融引き締め策とが相乗的に影響を与え合うと、資金不足から苦境に陥る中国内の民間企業が続出する可能性は否定できまい。

米国は、金融緩和政策が功を奏し、経済は回復基調が明らかであり、いわゆる出口戦略を標榜している。いずれにせよ、資金は成長する新興国から米欧日

に向かい始めるに違いない。そうなると、1998年のアジア通貨危機のときのように旺盛な資金需要を外資に頼っている新興国は、急激な資金引き上げによって、途端の苦しみに陥るのではと危惧される。いかがなものだろうか。

中国は、経済を体質改善できるのか?

生活

先に中国の現状について、「貧血症の巨人」のようだと小職は形容した。

あるいは、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしそうだとも表現した。ようするに

巨体を健やかに保つのに、必要な栄養や酸素を運ぶ血液(資金)が不足して

いる。また、若く成長期にあった頃の食事を取り続け、心臓に脂肪がつき、

血液(資金)を送る機能が落ちて、血管に弾力がなくなり血圧もあがり心配

な症状も現れている。生活習慣病の対策と同じように、食事療法などにより適切に体質改善を図る必要がある。日々、綿密な計画したがって行動すること、

それができなければ、重篤な状態に陥ることだけは確かである。



中国の経済成長が、対前年GDP比が10%以上と発表されていた時期は、市中から調達した資金を地方政府やその第三セクター事業方式による「不動産開発事業」に投資しても、次から次にキャピタル・ゲインを目論む富裕層から資金を調達できたので、高利回り保証によって仕立てた理財商品によって調達しても、皆、バスに乗り遅れまいという雰囲気で満ち溢れていたようで、満期の返済原資のことまでは、大方、慎重にシュミレーションされていなかったようだ。そして中央政府も、サブプライム禍、リーマンショックに耐えて、景気回復に4兆人民元の財政出動を行い、V字回復を世界でいち早くして見せたが、

公共投資をおこなった先は、ほとんどが採算の取れない高速鉄道や新幹線建設、そして高速道路網などの整備事業であって、一部利害関係者に利益恩恵を与える以外では、今日、財政出動にともなう債権の償還、あるいは長期債務返済という重荷になって現政権に圧し掛かっている。これまでできていた、つけかえ

も資金調達が至難である。

一党独裁政権にあるため、最悪は徳政令のような形で乗り切ることは可能ではあるが、財産を失った人民の怒りの矛先の向きによって、現体制の維持は困難になるやしれない。あるいは、香港を経由して流入してきた華僑系(グレーター・チャイナ)の資金の信を失うかも知れない。さらには、国際的な資金の信を失い、さらに窮地に陥る可能性もなきにしもあらずである。

ただ、経済に循環があるので、河川が干えあがることも洪水が起きてしまう

ことも自然なことである。万人が堪えられる旱魃状態ですむのか、あるいは津波のように押し流すようなことになるのか。それは、為政者の考え次第である。



中国国内で起きて資金不足に十分に政府首脳が、すべて応えてしまえば、愛も変わらず不動産開発や公共事業や不採算の重厚長大産業に資金投下の流れが

続くことだろう。資金の流れの堰き止め方変えるだけで、思いもよらない副作用もおきかねない。厳しい批判や窮乏に耐えて体質改善が図れるだろうか?。

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