7月2013

国際基軸通貨

生活

 先に中国金融当局の首脳が2040年には、中国人民元が国際基軸通貨になるという見解をもっていると紹介した。国際基軸通貨となりうるには、はたしてどのような条件が必要であろうか。

 

まず、国際基軸通貨として歴史上、最初に認識されたのは英国のポンドである。産業革命にいち早く成功し、元祖世界の工場となり、世界中に工業製品を輸出し、また原材料の輸入を行い、その規模が大きくなるに従い、ポンド建ての決済を行うことが最も自然で効率的だったために、初めての国際基軸通貨にになった。その後、第一次世界大戦後から米国の相対的な力が増してゆき、超大国化するにしたがい米国ドルの通貨価値が増し、ニューヨークの金融・証券市場の発展とともに、信頼が寄せられ今日に至っている。

国際基軸通貨は、経済力だけでなく政治力や軍事力も大きく、実質、覇権国家の通貨という側面がある。したがって、決済手段だけでなく、外貨準備通貨や資産運用、危機管理などの手段としても用いられている。

米ドルは、世界貿易の決済のおよそ50%、外貨準備の約60%、外貨建て国際債の約50%で用いられており、国際基軸通貨の名に実にふさわしい。

 

さて、国際基軸通貨が、単に経済規模だけでなく、政治や軍事の分野でも力を発揮されているものということであれば、現況では米ドルに続いては、ユーロがそれに近い位置にあると思われる。ただ悩ましいのは、ユーロ通貨圏に経済破綻懸念のある国が数カ国あるために、通貨への信任を守るために、EU加盟国の意思をいかに図り、また守り、さらにユーロ通貨圏から脱退させるかという問題である。国際基軸通貨は、決済利用実績、国際債発効実績、外貨準備実績、資産運用実績のあるもののことをさすが、特定通貨への一極集中は有用である半面、危機管理上、特定通貨の暴落が世界恐慌を引き起こす可能性もあり、相反する因子を内包している。

 

ところで中国人民元の国際基軸通貨の可能性であるが、世界貿易に対する規模や東南アジアから始まった人民建て決済が順調に拡がれば、政治大国軍事大国でもあり、可能性を広げてゆくことだろう。ただし、国際基軸通貨となれば、

米国が財政赤字を大きく膨らましても、自国通貨で国際取引ができて、為替変動リスクもなく、対外的に破産状態に陥っても国際通貨基金や世界銀行から構造調整を強いられることもないので、仮に国際基軸通貨になると世界経済への安定に対する責任を負うと同時に唯一無二の恩恵を得られる。米国も簡単には譲れまい。