7月2013

結婚とは、国語辞典のようなものである

生活

  ジュンブライドシーズンもひと段落着いた。めでたい席に呼ばれるのは実に楽しい。結婚式も披露宴も、意味があってさまざまな形式にこだわっているのだとは理解している。挨拶では、オチが見てとれるのに恐ろしく長い話をする人。祝辞の途中で、頭が真っ白になって顔面蒼白になり立ち往生している人をよく見かける。どうして良いのやらと、こちらまで具合が悪くなる。

めでたい席で、あろうことか、同じネタ話をお先に上手にされて、焦りのあまり支離滅裂になる人。あがり症で、覚えてきたことを肝心なところで話を忘れてしまう人。あってはならないことだが、本当によく見かける。ところで、小生が生まれて初めて披露宴の司会を引き受けたのは、学生時代に結婚した学友に頼まれてのことだった。冠婚葬祭の解説本を何度何度も読み、忌み嫌われることのない言葉で司会進行のシナリオをルーズリーフノートに綴った。この作業をしたのは、後から削除も追加もしやすいだろうと思ってのことだった。実際、後で役立った。

 

新郎新婦と打ち合わせをするたびに、耳に入れたくない情報が入ってきた。

普段はおとなしいのに、酒乱の気がある身内の話。酒量が増えてくると、司会や進行を無視してもカラオケを歌いだす身内の話。酒が増えると、暑い暑いと言い出し、裸になりたがる身内の話。気持ちが重く暗くなるような話のオンパレードである。「おい、どうやって不埒な行状を止めたらいいんだ!?」「そんなのは、放し飼いにしないでくれよ!」とも言いたい。が、縁起にさわるようなことはいえない。そこで、対応策をつくり、当日出席の学友らにマニュアルを配り協力を頼んだ。出席の学友は、自分以外に6名いた。酒で正体不明の御仁がでても、2人一組で3人までは対処できる。忠臣蔵の討ち入りと同じだ。ルーズリーフノートには、見出しをつけて、怪しげな御仁が暴れだしたときの申し開きや、会場から連れ出してほしいときの合言葉・隠語などを予め決めておいて用意していた。マニュアルは、使いたく無かったが、結果的に十二分に使ってしまった。酔いに任せて暴れる裸踊りおじさんやカラオケ狂おじさんなどは、披露宴会場ステージの緞帳の裏で押さえ込み、白いネクタイで縛って拘束。うるさく騒ぐ人には、徳利を口に入れて無理に飲まし、タオルで口を押さもした。過ぎた話しだが、お祝いの席に免じていただけるものと信じている。

さて、さまざまな披露宴スピーチ集を読む機会があったが、心に残るものがある。早稲田大学文学部教授が、教え子の披露宴でスピーチしたくだりである。「結婚は、国語辞典のようなものです。なぜなら“あ”愛に始まり、“わ”“ん”

腕力に終わるからです。そして、“あ”から“わ”“ん”までの間のすべてが結婚生活なのです」と。実に、洒脱な云いであるが口にするには勇気がいる。