7月2013

カササギ婚のこと

生活

 中国では1990年代初めころから、改革開放経済政策が一段と成功裏に進められて、農村からの出稼ぎ労働者が広東省や沿海地域の都市の特別経済区に

押し寄せていた。このときから、民工と呼ばれる出稼ぎ労働者の存在は、中国経済発展に欠かせないものとなっていった。

貧しい地域から出稼ぎに出かける若い男女が、結婚しても行き来に経済的な負担負担がかかるので、年に一度程度しか会えないことから、「カササギ婚(

七夕婚)」とよばれる婚姻形態が中国大陸で広く認知されるようになっていた。

あれから二十幾星霜。

それら牽牛と織姫らは、幸せに暮らしていることだろうか。

労働者の賃金が、広東省を中心に高騰し、3年から5年で2倍にもなったところもあると聞いている。他方、国営企業が雇用を支えていたころと異なり、自らのたくわえやローンで住宅を確保しなければならない労働者は、不動産投資のあおりを受けて苦しんできている。

 

「房隷」(マンション奴隷の意味)なることばも定着していたが、今は陳腐化しているだろうか?ひとにぎりの富裕層を別にすれば、住宅を手に入れることは難儀なことである。親や親戚から頭金を借りられても、爪に火を点すような暮らしを完済するまでするしかなく、子どもが生まれれば教育投資もまた上乗せでかかる。自虐的にしても「房隷」とは、なんとも悲しい云い様である。

それでも、日本の高度経済成長期がそうであったように、その日暮らしのような思いをしていても、この先がきっとよくなるという確信があれば、頑張れるものである。社会全体が、そのような熱病におかされているうちは、房隷といわれようが平気でいられるはずである。

 

しかしながら、天の川をさえぎるように暗雲も立ちこめはじめている。

いや、シャドーバンキングの大きさによっては、天の川の視界不良だけではすまなそうである。

中国の推計GDPが800兆円とされるが、仮にこの数字が正しいとした場合、

シャドーバンキングで不良債権化しそうな金額が30%相当の240兆円という予想から、50%超の400兆円という予想まである。米国のリーマンショク相当に膨れる可能性もある。日本の失われた10年、20年はGDP総額の7%相当額の不良債権処理に伴う受難の時代であった(先進国の地位を失わなかった努力を国際的には評価する声もある)。習体制が、日本の総量規制のような対応に頼らず、ソフトランデイングできれば幸いである。

中国の牽牛織姫らの幸せを祈らずにいられない。