7月2013

中国経済は、失速ではなく調整局面という認識

生活

 先の7月17日に、アジア開発銀行(ADB)総裁の中尾武彦氏が記者会見に臨み、中国経済に対する見識を示した。その要旨は、”中国政府が、経済成長の見通しを対前年GDP比7.5%と下方修正したのは、「経済失速ではない」というもの。これは、「輸出入の減速や金融引き締めの表れ」であって、短期的には問題にならないというものであった。

ただし、注文もしっかりとついていて、「経済成長は大事だが、消費を喚起し、

不動産や民間設備投資に偏らずバランスの取れた成長を期待する」とのこと。

直近の統計によると6月期の中国新規住宅価格は、前年比で6.8%の上昇を

遂げている。また、2000年以降昨年までの中国におけるひとり頭の所得は、

4倍に伸びている。金融行政や公共投資政策を上手く誘導できれば、豊かになった人民の強い購買意欲を喚起することによって、内需を拡大することは可能

であろう。中国の中産階級人口は、3億人程度といわれている。この層の消費

を喚起できれば、かなりの経済成長に寄与できるに違いない。

 

さて、中尾武彦ADB総裁の「中国経済失速否定」の見識に反して、グローバル企業の動きはかなり素早い。つまり、中国経済の変化に即応して、投資リスク分散を早々と行っている。

まず、中国の景気後退に影響を受けやすい国や地域への投資を伸びしろの大きいインドネシアなどの東南アジアの国や地域に振り換えている。また、中国経済の減速で落ち込む売り上げ分を景気回復基調の米国や消費の底固い欧州向けに振り換えるなどグローバル企業のシフト変更が見られる。

またグローバルな金融サービス企業である証券や銀行、投資会社なども投資先の振り替えを大きく行っている。

 

これらのことを踏まえると、短期的には中国人民の強い購買意欲に支えられ、

中国国内における消費需要は短期的には、依然強含みと思われる。他方、米国、欧州、日本などのグローバル金融サービス企業群は、中国都区内から投資を

継続的に引き上げる基調にある。このことによって、中国国内で実施されている金融引き締め策とが相乗的に影響を与え合うと、資金不足から苦境に陥る中国内の民間企業が続出する可能性は否定できまい。

米国は、金融緩和政策が功を奏し、経済は回復基調が明らかであり、いわゆる出口戦略を標榜している。いずれにせよ、資金は成長する新興国から米欧日

に向かい始めるに違いない。そうなると、1998年のアジア通貨危機のときのように旺盛な資金需要を外資に頼っている新興国は、急激な資金引き上げによって、途端の苦しみに陥るのではと危惧される。いかがなものだろうか。