8月2013

米国金融緩和政策縮小に反対するIMFラガルト専務理事の発言

生活

 ここのところ、世界の関心事といえば米国の金融緩和政策(QE3)縮小と

それによって生じる世界経済への影響であろう。

IMFのラガルト専務理事は、FRB(米国連邦準備理事会)の金融緩和政策の早期縮小には明確に「急いで出口戦略実施をしなくても良い」と発言している。これは、明らかに新興国への配慮をもとめた発言である。

アメリカ、カナダとNAFTA(北米自由貿易協定)を結ぶメキシコのカルフラ中央銀行総裁も「出口予測可能な情報を発信、提供してくれることが望ましい」とも発言している。国際金融に情報担保で挑もうとしてかのようにも伺える。

 

さて、いつかは出口を決めなければ成らないのだが、世界に多大な影響を及ぼすといって超大国米国の金融政策に、IMFの専務理事が牽制目的や要望を意図して発言をしたとしても、その影響を仮に緻密に計算していたとしても、国際金融市場はすでの出口間近といった行動に出ている。時計の針を少しでも戻せるものだろうか?



世界的な視野に立てば、経済発展のために現在は新興国の景気減速に繋がらないような先進国の経済政策が求められる。ただ、金融緩和政策が長く続くと

資金のだぶつきによる国内経済の副作用が出ることも事実である。概して、資金は大資本や富裕層に集中し、投資が産業育成ではなく、不動産に向かえばバブルも生み出してしまう。

あるいは、あまった資金が新興国に向かい、経済を活況に向かわせてきたのだが、長期の金融緩和政策期間により、恩恵を受けてきたはずであるにもかかわらず、縮小に向かおうとすると干渉されては、面白いはずもない相手が独立した米国の中央銀行であればなおさらである。

 

新興国としてはアメリカや日本、EUなど経済が上向いた先進国に頼るだけでなく、効果的な経済政策を積極的にとってもらいたいところである。

まず、新興国はあらためて自国の外国為替市場の柔軟な運営を担保すべきである。一時的な通貨安などにより、株式安や債権安に繋がるような弱含みの市場運営ではいつまでたっても不安定な国力でしかない。また、資本移動の自由の担保は、投資家にとって大きな魅力である。いくら大きな未開の市場があっても都合主義の規制を敷く国に経済繁栄が半永久的にもたらせられるとは人知られない。新興国は、とかく不安定な金融情勢になりがちであるが、資本移動の保証、金融政策そして外国為替のトリレンマのバランスにかかっている。

 

米国金融緩和縮小策に堪えられるか中国

生活

 物事には始まりと終わりがつきものである。米国の金融緩和政策(QE3)も当然に出口(縮小開始時期)を求めて、2013年から真剣に模索をして

いた。中国政府もFRBの出口戦略のことは、国内経済への影響が多大なこともあり、早い段階から反対を表明してきた。

一国の経済政策に干渉していると受け取るかは別にして、インフレ基調が明らかな中国にとって、米国の金融緩和縮小は、日欧の金融緩和縮小にもつながりかねないと不安の種になることだろう。

中国は、現在GDP比で200%というとてつもない貨幣流通量を供給している。景気浮揚が必要な局面で、ひたすら人民元を印刷して供給してきた。そのため、インフレ基調となり物価上昇が続き、購買力平価に置き換えずとも、中国の物価のほうが明らかに米国よりも高いというものが多くなっている。しかもGDPは米国の3分の1程度でしかないのにである。

米国のQE(金融緩和)縮小政策が明らかになれば、資金流出は間違いなく

起きる。そうなれば、金利上昇に伴い物価もさらに上昇することだろう。

中国においては、適正とおもわれる貨幣流通量をはるかに超えて供給している。また、為替操作による経済実態にそぐわない人民元の過少評価、さらに実質的に市場で流通している通貨量にミスマッチが重なり、実態として物価押し上げ圧力として働いている。

 

インフレ経済化で重税を課して、市場から貨幣を吸い上げ、適宜適切に分配するという経済政策もあるが、このような方向には政策が成らないようだ。

中国が、重税傾向にあるのは確かではある。製品に対する税支出比率に調査によれば、中国の税負担率は、対米国4.17倍、日本3.76倍、EU2.33倍とのことである。中国においては、財政的な配慮がなされていない地方

債務が増え続け不良債権化しつつある。財政収入は、近年増え続け伸び率が20%ともいわれる。政策が大胆に変更されていかなければ、インフレもスタグフレーション(好景気感のない物価インフレ)禍からぬけられなくなるだろう。あるいは狂乱物価に陥る可能性も無きにしもあらずであろう。

先に中国人民銀行が不動産バブル退治のために、金融引き締め策を選択していたが、金融機関の資金不足が深刻なため、一時的にせよ緩めた。李克強国務院総理は金融政策の下限を雇用の確保とし、上限をインフレの阻止と打ち出した。国内の自律的な経済運営の厳しさに加え、国際的な景気後退や金融政策の

変更に対応しながら、堪えてゆくことは至難の業である。世界一の外貨準備高を誇る中国ではあるが、実は見かけよりも数段中身が劣ることが明らかである。

自然界で洪水が起きるように経済禍も起きて当然の中国。堪えられるか?。

新興国は持ち堪えられか?今夏の通貨安。

生活

 8月も半ばを過ぎて、新興国の通貨安が拡がってきている。それぞれに背景が異なるが、共通する事象から派生している。根本原因は、もともと新興国の

「経常赤字体質」による。「世界の経常収支は、ゼロサムである。つまり、経常黒字の総計と経常赤字の総計は常に等しい」。新興国は、経常赤字体質が強く、

足りない支払いの手当てに外資などの短期債務等でまかなってきた過去がある。

1997年の通貨危機のときは、米国ドルに対して高値感のあった新興国、最初はタイバーツが売り込まれ、次第に周辺国に延焼が広いがった。外資による資金流出が止らなくなり、通貨安が同時に株式債権安を引きおこし、いわゆるトリプル安に陥る新興国が続いた。その後、韓国ウォンの通貨危機まで広がり

IMF(国際通貨基金)や先進国の協調によって、新興国の経済危機を回避した。

今回はどうか?。通貨安のゆくえは見通せないが、FRB(連邦準備理事会)

によるQE3(QE:金融緩和策)の出口戦略にともなう金融緩和縮小の見通しから、資金流出が新興国で一気に始まり、通貨安を引き起こしている。

 

各国概況を見ると以下のようなことが明らかである。

・比較的石油で好況の続くマレーシアも債務残高が増加基調に明らかにある。

・インドネシアは、1996年以来の通貨安に向かいつつある、明らかに財

政と経常の双子の赤字に陥っている。重症である。

・優等生のタイもGDPも第2四半期が0.3%程度マイナスとなった。

・トルコの通過リラも通貨安基調にある。資金流出のため物価が上昇し、耐

久財が直近で9%程度上昇している。

・アフリカの優等生アフリカから資金流出が続き、国内物価が上昇傾向にある。

・インドのルピー安が、最安値を記録している。資金流出が止まらない。

 

さて、新興国の通貨安だが、1997年当時と何が異なるのだろうか?

ほとんどの国も財政改革の途上であるが、明らかに違うのはほとんどの国が、債務を「ドル建て短期借り入れに1997年当時頼っていた」ことの反省を踏まえ、「自国通貨建ての長期債務による借り入れ」に切り替えてきているため、

急激な「売り浴びせ」に対する免疫力を向上させている。

とはいえ、国際的な信任を得るには、長期の発展と改革を要するに違いない。

自国通貨を価格競争を有利にさるために意図的に為替操作したりすることよりも、自国の財政改革を通した国力本位の競争に移るべきである。また、経済指標としては、まずは雇用創出の力を注ぐべきである。雇用創出のためには、産業の育成が必要である。新興国は、長期の計画が未だ不十分である。

中国経済発展に内需拡大。消費喚起に富の再分配

生活

 胡錦涛前国家主席は、国家スローガンとして「和諧社会」を説いた。

和諧を説かねばならなくなったのは、世界一になってしまった「格差社会」に

起因することは否定できないところである。

GDPをはじめとする経済統計の信憑性がぐらついてはしまったが、過去

20年30年の大躍進は目覚しいもので、それ自体はこの先の歴史でも評価

されるに違いない。問題は、中国における富の再分配である。



世界の国々では、GDPの平均58%が国民の所得になるといわれている。

そして、米、日、独、などの先進国ではGDP比で70%が国民の所得になるとされる。中国は、25%程度であるとされる。問題は、その比率差の富がどこにゆくかである。社会主義の国らしく、社会福祉に支出が当てられると思いきやそうではない。

たとえば国家財政42%を米国が社会福祉に支出しているのに対し、中国は8%に過ぎない。GDPは米国の3分の1程度に過ぎない中国であれば、弱く貧しい人々は多く、支出比率が高くても不思議ではない。



中国の場合は、ようするに行政支出に偏るのである。行政機構の維持や官吏

の給与、関係団体、参加組織の維持管理費用などの支出が割り当てられる。そして、何よりも共産党の維持のための支出は最も優先されるものである。

たとえば、人民解放軍や武装警察、これらの組織は共産党を守るためにあるといってよい。現実、中央軍事委員会は共産党と政府にあるが、共産党の軍事委員会の主席が上位である。



さて経済成長で稼得された富は、前出のとおり共産党維持や行政支出のために優先分配されてゆく。もともと、限られた富裕層の人々が大きな消費を生み出していたが、贅沢禁止令により不動産はおろか、高級腕時計や宝飾品の市場が冷え込んでいる。重陽の節句(旧暦の9月9日)の公費による「月餅」の購入を習近平主席は厳しく禁じており、個人消費は贈答シーズンも上向きそうにない。また、中国の景気後退が否めず、消費マインドが冷え込んでいる。中産階級の人口が、3億人もいるといわれているが、持続的な経済が発展のためには、「内需拡大」が欠かせないことは中国政府も認識している。経済発展で稼得した富を腐敗官僚に使わせても溜め込むか海外流出になるくらいである。ならば、中産階級以下に幅広く富を分配させ、消費支出させ、内需を喚起させてはどうだろうか。共産党幹部や官吏の意識が発展の阻害要因になりかねないと思えてならない。景気は消費が寄与する。大型債務による投資では限りがある。

中国からの資金流出と偽外資企業の対中投資

生活

 中国経済政策の責任者である李克強国務院総理が、中国の安定した持続的な

経済発展には外資による投資と技術導入が不可欠であるとの認識を持ち、現実に外資呼び込みを行う施策を打ち出していることは評価されるべきことである。

中国経済の60%を支えるのは、民間の中小零細企業であるが、事業発展のために不可欠な金融サービスは、これらの事業者は大手国有銀行から受けられない。事業資金さえも親戚縁者から集めるか影の銀行(シャドーバンキング)に頼るしかないのが実情である。生命線の金融が細いせいなのか、あるいは

経営力やモラルに問題があるのかわからないが、中国では設立後3年以内に50%の企業が消滅するといわれている(計画倒産の企業も含まれると思われる)。

 

過日、中国大手銀行のATM(自動受支払機)が故障のために稼動しなかった報道があった。資金不足の銀行の追い詰められた姿だともいわれている。来年二月頃まで「理財商品」の返済満期期限が集中するといわれているが、事態を好転させることは容易ではない。

 

さて、ここのところの醜聞で、汚職官吏だけでなく中国国家建設に功労のあった八家の大物太子党までもが、大量の資金を海外に持ち出していると言う驚愕の事実がある。単位が1000億とか1兆とかいう金額である。普通は、持ち出し不可能であるが、大物太子党子弟は、共産党幹部や官僚を容易く買収して持ち出しができるようだ。たとえば、実際の10倍、100倍単位の貿易決済資金の名目などを立てて容易く持ち出されるとされる。取り締まる官吏が見逃すばかりが手伝えば、いとも容易いことは理解できる。

ところで持ち出された資金だが、マネーロンダリングされて再び「外資」として中国に投資されることが少なくないようだ。それら資金が、ホットマネーとなり、これまで不動産開発資金などにも投下されていたようだ。

それらの持ち出された資金が年間で1兆ドルにも及ぶとボイス・オブ・アメリカ(VOA)は伝えている。2011年4120億ドル、2012年1兆ドル、2013年は1兆2000ドルを超える見込みだと。

 

中国から資金が流出し、偽外資企業を設立後外資として資金が還流する。それらは、汚職官僚らにより税制優遇され、あるいは国有銀行や国有企業との不毛な取引でさらに太り、さらに資金を流出させるとまでいわれている。中国が、

二重三重の痛手を蒙るのだが、人間にたとえれば流血が止らない状態である。

外資の誘致に成功しても、虚偽の取引を繰り返し、中国の富を食い物にする企業が増えれば、深刻な被害をもたらしかねない。中国の腐敗は根深い。

中国は、外資の呼び戻しに成功できるか

生活

 中国国務院は、8月に入り全人代(全国人民代表大会)に対し、「上海な

どに『自由貿易試験区』を新設し、外国からの投資規制を緩和する法的な

処置」を取るよう求めた。

 

この意図するところは、外資の呼び戻しであるが、功を奏するかどうか注

目を集めそうである。国務院の想定する外資規制の緩和策として、「金融や

貿易のサービス業による投資規制を解除し、投資手続きの簡素化や人民元に

よる資本取引、金利の一部自由化」も織り込むようだ。「試験区」は、成功

体験を重ねて天津市や広東珠口方面に拡大させる目論みがある。

 

さて、中国は改革開放経済により高度経済成長時代には、「経済特区」を沿

海部に認め、投資と技術を呼び込み、「保税区」などから輸出攻勢を図り、

「世界の工場」としての地位を確立した。

しかし賃金高騰や労務紛争などの頻発などに嫌気の差した外資は、対中投

資意欲を後退させ、東南アジアや資源大国の南米やアフリカなどへの投資に

シフトしてきており、魅力を打ち出せるか真価が問われる。

 

中国の「世界の工場」化は、高度な製造業の集積ではなく、安価な労賃に

よる価格競争の勝利としてのあくまでも「世界の工場」であった。すでに、

東南アジアの優等生であるタイ国と平均労賃が同レベル(年7000ドル)

にあり、マレーシア、インドネシア。ベトナム、カンボジアなどを追い抜い

てしまっている。従業員教育やインフラ整備状況では、中国に一日の長があ

るが、新しい安価な労働力を供給できない中国が、投資を東南アジアに振り

向ける外資の関心を引き戻せなければ、やがて相対的な競争力も失う可能性

がある。13億人の市場は魅力的だが、「世界の工場」の地位の奪還は容易で

はない。

 

外資の対中投資は、実行ベースで対前年比でマイナス3.7%(中国商務

省)と発表されている。グレーターチャイナ(大中華圏)からの投資(福建

・広東等に出自が明らかな人々)ももともと香港や台湾経由で全体の50%

以上投資されてきているのだが、その数字もあわせてマイナス3.7%減は

穏かな話ではない。

経済政策の責任者である李克強総理は、持続的な中国の経済成長には外資

の投資が欠かせないとしているが、「世界の工場」の地位を再び手に入れなけ

れば成らないことを考えるとかなりハードルが高そうである。

中国の経済発展は、環境破壊と帳尻が合うのか

生活

 記憶にいまだ新しい四川大震災は、被災者の心の傷が癒えないままだと思わ れる。その傷が癒えないうちに、再度襲われた先の地震は、環境災難ともいわれている。本来、地震が多発する地域なのだから、十分に対策をしてしかるべきという考えの人民も多く住まっている。かの震災犠牲者が7万人とのことで、

神戸震災の10倍以上である。

ところで、その大震災の時、犠牲になった児童らの保護者やこれに同情する人々が声をあげた。「多くの児童が圧死した原因を当時追究」しようとして刑事犯にされた人がいた「おから(豆腐滓)工事」が原因だとして追究しようとして、事実はどうであろうと、扇動した罪に問われていた。

為政者にしては、「耐震工事を施しているのに、強度が保てないことがおかしい」とか、「工事を業者に斡旋した党幹部が袖の下を請求したので手抜きされた」

という主張は認め難いものである。かといって、刑事犯に同情が集まるのも不都合である。結局、お互いの面子が保てるところで手を打つしかなくなる。

四川は、本来「天賦の国」といわれる。自然が豊かで地味も豊か、多くの人民を養うことができるところである、四川省と直轄市になるまで四川省に属していた重慶市を合わせると、ほぼ日本と同じ人口になる。上海から長江を3000キロ遡ったところに、1億人を優に超す人民の胃袋を満たすところがあるのだ、驚きである。



中国では近年、支流域が100万平方キロメートルを越す河川が100本以上も消失したという。世界平均で、ひとり頭の飲料水源が4割に満たないという水不足の中国では一大事である。他方、洪水で人命を犠牲にすることも多い

ことは皮肉である。洪水は、三狭ダムの影響や排出二酸化炭素などとも深い関係があるとされているため、「環境災難」ではないかという声も多くあがる。

中国全体の経済発展は、過去20年を見てもすさまじいものがある。

ただ、GDPが成長しても不動産開発投資や過剰生産に向かう不毛な投資を行い潤うのは、一部関係者に過ぎない。金融システムが不十分な中国では、経済発展ささえる経済規模の6割を占める民間融資が国有大銀行から実施されていない。結局、国有大銀行から国有企業に融資され、手数料が乗せられて迂回融資されていたり(国有企業の本業より収益が高い)、いわゆる「影の銀行」から

「理財商品」の企画によって原資をつくり融資実施されることになる。

国際決済銀行の基準に照らしても、IMF(国際通貨基金)の見解にもそぐわない金融政策、経済政策を行い、環境保全を行うことなく、環境破壊を続ける

経済開発であれば、経済成長以上の損失が発生しないものだろうか。経済発展

と環境破壊とは帳尻が合うのだろうか。答えは明確なような気がするのだが。

中国経済回復を阻害する不均衡要因と持続成長困難な社会

生活

 2013年も半ばを過ぎて、年初から不安視されてきた中国経済に明らかな後退が見られるようになってきた。当たり前のことであるが、中国は社会主義市場経済であり、共産党が運営管理する経済である。このことは、期待する側がらは、あらゆる手段方法を動員し、「なんとか持ちこたえてくれるに違いない」と

思われるようである。反面、現実主義的な側からすると明らかに問題があっても、「膿が噴出しない」ことをかえって不安に思うようである。

 

中国は、資金不足といわれながらも世界中の貨幣通貨量M2のおよそ50%を流通させているといわれる。金額にしておよそ26兆人民元、日本円にして

400兆円程度だと思われる。貨幣通貨量が一気に増えたのは、温家宝総理時代

の2009年以降である(資金不足はいわゆる「影の銀行」債権問題に繋がる)。

中国経済は、不均衡な情勢のために後退局面からの脱却を困難だとする見方がある。中国は、米国の3分の1程度のGDPであるのに対して、M2は米国の1.5倍もある。為政者の運用が悪ければ、インフレに陥るがはたしてそのとおりである。消費者物価の高騰や特に不動産価格の高騰を見れば、それが誰の眼にも明らかである。

 

中国経済の不均衡要素、あるいは運用悪とはいかがなものだろうか?。

中国では、現在、死語になっているかもしれないが「鉄碗」というものがあった。喰いっぱぐれのない公務員や既得権益に関係するものたちのことを揶揄した言い方である。市場経済が発展しているかのように見えても、既得権益は旧態依然として変わらず。共産党幹部が抑えている。そのため、共産党幹部やその周辺にいたる関係支出はいまでも丸抱えのようである。さらに、共産党幹部が代表を勤めるような職業団体、協会の関係支出も丸抱えである。さらに、様々な公務を行う機関については、他の国々では3段階(国・都道府県・市町村)程度の構造であるのに対して中国は7段階程度にも及ぶといわれる。これら社会負担の重さは想像に難くない。既得権益の象徴であるエネルギー関連の国有企業には、共産党幹部の子弟が将来の幹部候補として送りこまれ、経営の近代化や合理化どころか、将来の自分たちのために事業が創出されるため、客観的にみてかえってコスト高になるといわれている。金融政策は、独立した機関が行うように見えるが、ようするに共産党が運営管理している。内需拡大を行うことが中国の未来を磐石にするといわれているが、現実的には9億の農民は経済苦を抱え、一握りの共産党幹部に富が集中している。富の再分配が適切に出来れば、需要を喚起し、消費をおこし、発展に寄与するがそれが出来ないために、持続可能な経済成長にも期待できない絶望的な空気も充満している。

中国の成長戦略と環境保護は相容れないもの

生活

 今や、広く知られていることであるが、中国の官吏や党幹部の評価は、「

党利党略に基づく思想教育でもなければ、多くの予算執行を伴う社会保障制

度の企画立案力にもよらない」。”対GDP比に占める成長率”が評価の基

準である。



財政、特に地方財政が逼迫しているが、地方政府には予算の割り当てがな

いことも現実である。そうなると、出世を望む官吏らは、無理をして原資を

つくることに懸命になる。GDP比で成長を眼に見えた形で実現するには、

不動産開発投資と公共事業投資が手っ取り早いことになる。

開発は、多くの農民の土地を取り上げ、山野を切り拓き行うが護るべき

環境の重要性を認識する官吏は多いはずだ。が、評価されないことをおこな

う官吏は殆ど皆無である。石炭掘削を行う国有企業やそれを燃やし発電する

エネルギー関連国有企業。PM2.5の大気汚染に関する深刻さに気がついては

いるが、環境保護や環境保全に関する評価は前出のようになされないので、

改善されるような雰囲気も感じられない。

 

先日取り上げた米国のWEBサイトの例をあげるまでも無く、『中国の経済

成長は、ほかに類を見ないクレイジーなものを生み出している』のは事実で

ある。内需を支えるという3億人の人口と同じ3億人が、安全な飲料水を飲

めないでいる。化学工場近くの河川は紅く染まり、穀倉地帯はカド二ウム汚

染で作物が口に出来ないといわれている。また黄砂に現象によって地表が削

られ農地が奪われている。1980年代から心配されていた内蒙古からの砂

漠化は、食い止めることができずに、北京市郊外は砂漠に接している。生存

環境が劣悪化する中で、真に安全な飲料水や食糧を口にできるのは全体の

3%程度という声もあるが、大げさではないように思う。

 

それでも、環境保全の動きや環境保護の動きが大きくならない。

やはり、「腐敗」が問題なのだろうか?中国の億万長者の90%は、中国共産

党の子弟だといわれている(太子党)。一般的に官吏が、「灰色収入」を得て

いることもよく知られている。「紅包(袖の下)」もありふれたことばのひと

つである。汚職官吏らは、家族を海外に移住させ、財産を海外に移し、独り

残って海外移住のタイミングを見計らう「裸官」ということばも耳慣れたこ

とばになっている。富を得て海外移住を目論む官吏が数十万人から100万人

程度も潜在するといわれるが、後々まで中国に生きる気持ちがない官吏に、

人民の生活に思いは行かず、環境保護、環境保全は相容れないものとなろう。

発展成長の中国と後退縮小の中国

生活

 盛んにチャイナ・リスクやチャイナ・ショックについて、世界中のメデイア

が懸念を伝えるようになってきた。中国政府の発表する経済統計は、いまや宛てにならないと世界中が認識してはいる。それでも、この10年間に「新しく世界で生まれた雇用の20%に貢献」と「世界の貿易総量の20%の経済規模」ということに関しては、多くが認めるところである。したがって、「世界の5分の1を占める中国」という言い方をしても認められることだろう。発展成長の

中国の存在感である。では、この先はどうなることだろうか?

「保八」~GDP比成長率を毎年8%以上に保つこと。これは現実的に達成できないようになってしまった。結果、対中国投資に魅力を感じなくなった外国資本が引き上げを行っている。先進国のほとんどが、中国投資を南米やアフリカ

の「未来の世界の工場」に振り向けはじめている。「世界の工場」は、安価に供給できる労働力があってのことであったが、賃金が東南アジアの優等生「タイ国」と同程度になってしまい、世界の工場も名乗りにくくなっている。インフラ整備に伴い、チャイナプラス1は、現実に進捗しており、JETROの見解によれば、尖閣問題、反日暴動以降、日本の対中国直接投資が減り、その投資金額に上乗せされた形で東南アジアへの直接投資が上向いているという。客観的には後退縮小の中国である。

 

過日、中国の多くの銀行のATM機が故障のために稼動しなかった。

中国の金融引き締めの覚悟とも受け止められていたが、現実をいかに捉えたら

よいのだろうか?たとえば、リーマンショック後の世界は世界同時不況を覚悟したが、一時的な困難はあったが中国は、4兆人民元という規模で財政出動を行い。早々と成長軌道に戻り、V字回復を見せ世界を驚かせた。

シャドーバンキングで悪名を馳せた「理財商品」の集中償還が、来春二月ごろまで続き、全体の8割程度になるという見方を専門家筋はしている。かような状況では、リーマンショック後のような財政出動は出来にくい。

 

仮に財政出動を行うとすれば、景気が成長軌道にならない限り、人民元を中国人民銀行が大幅発行するのであるから、狂乱物価のハイパーインフレがおきかねない。少なくともインフレで苦しめられることは確実である。反対に金融引き締め策に走れば、デフレ禍が起きて、日本が辿ったような達成感のないデフレとの長い月日を過ごさねばならないかも知れない。チャイナ。ショックが起きた場合、世界経済の20%を補う力があればよいのであるが、米国は成長軌道に戻ってきている。EUも一部経済大国が地おから強く回復してきた。日本もプラス成長は確実である。後は、新興国の成長しだいということであろう。

« 古い記事