8月2013

中国版:痛みをともなう構造改革の影響

生活

 習近平・李克強体制に移行後、経済面ではあまり良い報道が伝わってこ

ない。「没問題(問題ない)」と経済担当責任者の李克強総理は、ことある

ごとに発言するが、中国に縁のある人は、中国人のいう「没問題」がいか

に「有問題」を意味することかと雄弁に語ってくれることだろう。



このところ、中国との貿易高の多い日本だけでなく、国際機関などが積

極的に、中国の経済構造改革への期待と不安を表明している。

サブプライムローン禍やリーマンショック禍以後、世界経済はひとり好

調な中国に期待し、事実その成長の恩恵に浴してきたことは紛れもない事

実である。それだけに、中国の景気後退や調整局面という情報には過度に

反応してしまうのもいたし方ないだろう。

シャドーバンキング問題の解決は簡単ではないが、「短期的には不良債

権金額が増えないように」は理に適っている。また、貸出金利の下限撤

廃も金融改革へのメッセージとしても効果的だったと思われる。李克強

総理の強い意志も伺われるのだが、巨大な体の心臓手術や輸血をおこなう

ようなものである。効果が出でるには時間がかかるし、痛みや出血も当然

である。



たとえば、不採算事業への貸しつけが多く、巨額の不良在庫に繋がって

いる鉄鋼産業、セメント産業や建築資材関連への資金供給のパイプが細る

こともいたし方ないと思われるが、裾野が広く雇用力も大きい産業なので

影響が大きいに違いない。これだけで、GDPを1%程度は押し下げてしま

うかも知れない。

鉄鋼産業が細れば、資源関係の輸入商社や輸送業界にも影響が避けられ

ないだろう。李総理の信用に値する指標である「鉄道輸送」、「電力消費量」

そして「銀行融資残高」にも影響は必死である。これもGDPを1%程度は

押し下げるだろう。

ここまでくれば、巨大産業周辺の雇用や付加価値生産のマイナス金額は

大きくなり、これもGDPを1%程度押し下げるや知れない。つまり、GDP

比で昨年実績のマイナス3%程度にはなってもおかしくなさそうだ。

仮に中国がそこまで成長率が落ち込んだ場合、鉄鋼や鉄鉱石の国際市況

が半額以下、原油価格も1バレル70ドル(現況では100ドル以上で買

付予約)になるという予想もある。そうなると資源国の経済も直撃されか

ねず、新興国の成長環境も激変させてしまう可能性もある。つまり、中国が

ハードランディグしなくても、影響を受ける国々がハードランディグして

しまいそうになりかねない。中国の経済政策は、世界経済を左右する経済政

策である。