8月2013

中国の経済成長減速は、良い影響もある

生活

2013年に入り、中国が世界を驚かせたのは、PM2.5禍ではなかろうか?

要するに「経済効率優先」、「不十分な環境対策」が前面に現れていると思わ

れるが、背景にあるものはGDP比成長率を向上させることに有利な分野へ

の投資、官主体の経済発展に寄与する投資ということではなかろうか?。

官主体、党主導の投資であれば、環境破壊への対応や周辺で生活する人民

への配慮は不十分であったと言われても仕方あるまい。

 

ところで官主体党主導の投資とは、不動産投資であり、採算を度外視した

産業への投資に偏っていたといわざるを得ない。

中国の富裕層とは、まぎれもなく殆どが地方を含み高級官吏または地方も

含む共産党幹部である。不動産開発投資によってキャピタル・ゲインを享受

し、あるいは国や地域を代表する重厚長大産業企業への投資により、周辺の

利権で潤った人々である。

産み出された富には大きな偏りがあり、全体から見れば巨万の富が僅かな

数の人々に集中してしまい、世界で最も大きな格差を生む社会になってしま

った。所得の大きい最上位都市生活者の10%の層の所得は、最下位10%

の生活者の所得の平均で23倍であるという統計もある。格差を示す統計数値

にジニ係数があるが、暴動の起きる可能性の高い途上国で危惧される2.0

にほぼ近いといわれている。投資のスピードを緩めず、投資分野を熟慮せず、

債権回収状況を精査することをしなければ、格差がいよいよ拡大し、社会

不安を大きくする一方であるに違いない。

GDP比成長速度の減速を機会に、様々な政策を見直すことは、国土の均衡

や社会福祉の実現のためには良い機会になるや知れない。

 

先ごろ、止まらない高速鉄道網建設と高速道路網建設のことを書いた。

沿海の大都市に比べ、西部内陸部の都市のインフラ整備は、十分とはいえな

い。格差は、都市戸籍者と農民戸籍者に留まらず、都市と都市、地域と地域、

まで及んで拡がる一方である。親が苦労して子を大学卒業させても内定者

が30%程度に留まる。医療保険制度も十分ではなく、重病者がいる家庭

が破産するのは日常の風景である。年金制度も育たず、親の扶養を子の義

務化する法案で凌げるものでもない。

先の金融改革宣言によって、社会の血液循環に明るい日差しも見えてき

そうである(金利下限撤廃)。成長速度の減速は、社会的弱者へも視線が

届きやすい速度に違いない。速度の切り替えが、これまで以上に成長の質

の転換を期待させ、社会的な弱者に希望の光が当たるようにと願いたい。