8月2013

有能な人材の海外流出が続く中国

生活

  汚職に手を染めた官吏が、妻や子を海外に移住させ、財産も映して、自分

だけが最後まで中国に残った官吏のことを「裸官」というが、国際的にも

広く知れ渡るくらいになっている。中国政府も黙って国外逃亡を見逃して

いるわけでもなく、国際手配をして裁判で汚職の事実が明らかにされては

いるが、後を絶たない。

権力者側にある官吏に富も集中する体制。官吏に副業を許す体制、さらに

はでな贈答や接待が慣習として残る中国で汚職の根絶は困難ではなかろうか。

 

ところで、「裸官」の海外流出ばかりでなく、人材の流出が続いている。

その大きな理由に中国の環境破壊、特に大気汚染や水質汚染、土壌汚染に

よる健康被害を懸念し、子どものために渡航を決意する中国人も多いと

いう。

子どもを理由にする場合は、健康問題ばかりでなく、太子党に見られる

ように共産党幹部や高級官僚の子弟でなければ、能力があっても世に問え

る機会に恵まれない中国社会へみぎりをつける渡航者も多いという。

 

中国の発展や豊かな暮らしを手にする人が増えれば増えるほど、中国

から国外に逃れる人々が多くなることは、皮肉なことのように思えてならな

い。「先富論」が「先渡論」に変わっているような世の動きである。

 

2010年には、34の国に50万8千人が移住している。

2000年に比較して45%増という。アメリカの2011年の移民受け

入れは、8万7千人で2000年より7万人増といわれる。海外流出の急

増は、中国の環境悪化や経済第一主義の国是に対する大きな皮肉である。

 

ひとりっ子政策により、子どもにかける期待も大きくなっているが、社

会保証制度の充実が期待できない。ますます、子どもに負担がかかる。

ひとりの子は、二人の親と四人の祖父母の期待を背負うことになる。

太子党の師弟は別にして、親とともに努力と才覚で未来を拓こうという

フロンテイアを見るかのように見える。

中国国内に滞在して仕事を行い、家族とともに暮らす人材の中には、

外国籍を取得済みの人々が多いようである。危機管理のようにも見えるし、

いつでも海外渡航を意識している人々である。

中国発展の計画には、華人らの帰国は予定されていたことだろうが、人

材の流出は予定されていなかったに違いない。