9月2013

中国のバブル退治は困難なのか?住宅そして翡翠

生活

 李克強国務院総理が、旗振り役になって取り組む不動産開発投資の行き過ぎを抑制しようと試みる政策運営ではある。抑制政策の一方、都市部に流入する農民工の住宅を作り、都市化を進め、さらに都市戸籍を与えて雇用を安定させ、経済成長を再び上昇させようともしている。

 

日本のバブル経済崩壊時期の状況をはるかに超えていると発言する有識者もあるが、専門家も日に日に膨らむバブルの後追い報道を眼にして立ち尽くすばかりである。バブルが膨らむことは、気になるだろうが現実には景気回復のために、目をつぶらざるを得ないとするところではかなろうか。

 

2013年9月18日、中国国家統計局の発表によれば、対前月比で全国の主要70都市のうち、住宅価格の上昇があったのは、そのうちの実に69都市だったと発表された。上昇率は、北京19.3%、広州市19.0%、上海18.5%である。ここのところ、景気後退の話題が中心であり、景気回復に繋がるるな起爆剤が必要とされていることは事実である。

ただ、不動産バブルによる景気刺激も大きな避けられない深刻な問題に直面している。地方政府による債務問題である。

 

中国工商銀行の元大株主であり、悉く株を売却して撤退したゴールドマンサックス証券の直近の見解によると、地方政府の不良債権額は、18.6兆人民元(297兆日本円)のぼるとしている。この見立ては、中国政府公式発表の

実に34倍の大きさである。またモルガン・スタンレー証券は、この金額を上回る21兆元(GDP比で40%程度)であると見立てている。

 

中国中央政府や著名なコンサルタント会社などもそろって、PMI指数(購買担当者指数)が、持ち直し景気回復基調だと主張しているが(50.2に改善)、

いかにも6ヶ月ぶりの好材料だとされているが、景気回復傾向の発表をにわかに信じがたいとする見方も多い。

 

実は、ここのところ以前に増して「翡翠」の価格が高騰してきている。生活必需品でもなく、明らかに投資目的が強いのだが、中国人は「金」同様に「翡翠」に対する。価値観に独特のものを持ち合わせている。問題は、「金」などと異なり、世界共通の価値の共有や「宝石」以外にも、工業製品のための高付加価値材料というものがない。つまり価格が崩れれば損失が極めて大きい。バブル崩壊直前まで、狂乱高騰のあらゆる投資に奔走した日本を見るようでもある。

旧暦の9月9日(10月13日)重陽の節句の贈答儀礼は?

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 陽数の最大が「九」。その「九」の重なる九月九日こそは、華人にとって尊ぶべき重陽の節句である。旧来より、この日は「月餅」を送る習慣があった。

かねてよりお世話になった方に礼を尽くそうとするのだから、本来、とても

結構なことだと思われる。

 

しかしながら、1980年代以来、改革開放経済をひた走りに走ってきた中国もかなり豊かになってきたので、「月餅」の「餡の中身」がかなり高級化してしまった。

南のほうにゆくほど、月餅は比較的大きなものを贈る習慣があるようだ。

日本で見られるような掌におさまるものではなく、両手で持つような大きさは普通であって、バースデイケーキやウエデイングケーキのような大きさのもの

に街中の贈答扱い店にゆけばお眼にかかれることだろう。

 

もともと、面子を重んじる国である。

それなりに社会的な地位の高い人には、高級酒のほか月餅の中の特製餡に嗜好

を凝らすのが普通である。最近では、餡の中をくりぬいて宝飾品や高級腕時計、

金塊を仕込むことも珍しくなくなってきた。

 

さて重陽の節句に贈答品をいただく人々もかように餡の中身を争われても不都合が出てきた。贈答の月餅の餡子でひと財産を稼げるのは、ほとんど共産党の幹部や地方政府の高級官吏がである。おおっぴらにかねての厚情交誼に対して礼を尽くされたと釈明のしようのないおくらいの餡である。

 

「和諧」を説いた胡元主席ではあったが、社会格差を拡げる一方の10年だった。習主席は、腐敗官吏の摘発と根絶に懸命だが、高級な餡の廃絶にまで漕ぎつけるだろうか?むしろ、行過ぎた摘発が経済を悪化させるという見方がある。

中国では、経済成長によって得られた富は、ほとんど一握りの人々たちに集中していることが知られている。習主席のおふれで「「ぜいたく禁止令」が始まったが、それ以後、高級レストランでの宴会が激減、したがって高級酒や高級食材の消費が落ち込んでいる。需要の激変によって、品物によっては価格も下落、崩壊傾向に陥っているようだ。高級酒で知られる中国最大のマオタイの株価も下落している。高級時計の輸入も激減している。2012年の高級時計の世界の輸出先として一番と二番だった香港と中国が、前年比11.1%と18.7%の減少に見舞われている。中国のぜいたく品市場は、官製需要で支えられていたから仕方ないとして笑って済まされなさそうな状況である。

シャドーバンキングの破綻、不良債権処理の影響

生活

 9月に入り、中国の経済政策責任者の李克強総理、そして中国中央銀行である

中国人民銀行周小川総裁の積極的な発言が目立っていた。

李克強総理は、これ以上のバブル経済の膨張を食い止めようと、不動産投資や金融引き締めに懸命であるが、長く利権に浴してきた共産党や高級官吏の抵抗はすさまじく、そして厳しい。また、農工民を都市化政策によって、都市部に安定居住させる政策推進を図る李克強総理に、不動産開発に一貫性がないとして国有系メデイアまでもが鋭く反発している。

つまり、李克強総理の説く、いわゆるリコノミクスの抱える問題や矛盾が先鋭化し、長期経済の安定の見通しや持続可能な経済開発を鵜呑みにできない雰囲気が漂っているかのように思える。また、周小川総裁の説く、民間金融機関の創設や小口金融会社、消費者金融会社の創設や保険などの総合金融サービス会社の創設、運用に関しては、それを享受する多くの人民の利益恩恵に鑑みて、あまりにも反応が悪い。

 

先にロシアで開催されたG20でも、シャドーバンキングの国際的な監視の重要性において合意されたが、中国のシャドーバンキングにおいて一番の問題は、

規模や実態がつかめていないということである。中国のGDPが800兆日本円

程度とみなされているが、シャドーバンキングの規模は、その50%の400兆円規模でないかと推量する機関もある。シャドーバンキングでは、金融行政によって業務に制限が加えられている金融機関が、本業の融資とは別に信託会社などと企画した「理財商品」をかなり広範に売り出してきた。様々な制限のある本業と異なるので、与信業務も厳しくなく、担保の見極めも人的保証も緩みがちである。これが、どうやら日本でも対岸の火事では済まされそうにない。中国に進出する日系企業のうち1万社程度が合弁会社であるが、預金の管理などは中国側の会社が行っており、資金運用にはかなり理財商品が用いられているようである。シャドーバンキングを用いて資金調達しているのは、地方政府や系列のセクターである。本年も6月以降、満期償還期を迎えていたものがあったが、本格化するのは今後2015年以降とされる。焦げ付いたとき、弁済能力がない地方政府に不良債権処理ができるはずはない。結局、中央政府が処理を行う場合、巨額に上る外貨準備高の取り崩し、つまり米国債の売却による国際経済や国際金融の影響、さらには信用収縮による中国経済の成長鈍化による負の伝播が起きるだろうとされている。中国の輸出は加工貿易が本質であるので、衝撃は予想より小さいとする見方もあるが、世界規模で貿易立国のGDPを1%~4%程度の間で押し下げるという見方がある。日本も1%代後半の影響がありそうで、全治に年の単位がかかりそうだと見込まれる。痛手は大きい。

アセアン主要5か国の中でも好調なフィリッピン

生活

 チャイナリスクが唱えられるようになり、日系企業では対中投資の減額分にさらに上載せをして、チャイナプラスワンの投資が盛んにアセアン諸国に向けて行われている。

フィリッピンは、経常黒字国である。

2013年の第二四半期(4月から6月)の統計によると経常黒字のGDP比は、

2.9%の黒字であり、GDP比の成長率は7.5%に達している。

米国金融緩和政策縮小の予測やFRB(米国連邦準備理事会)の発表に神経質

な反応を新興国は見せており、インドやブラジルでは対ドル相場を7.6%程度下げているが、フィリッピンはその半分程度で踏ん張っている。

 

資源大国にして、国土も人口も大きなブラジルも自国通貨レアルの暴落を恐れ、4期連続利上げを行い、この9月に年利9%にまで達してしまった。ブラジルの消費者物価指数は、年換算で6.27%の上昇にあえいでいる。

ブラジルが利上げを行い高止まりさせるのは、自国からの資金流出を防ぐためにほかならない。ブラジルが極端な例とは言い切れず、アジアの優等生トルコも実は同様の経済政策を採っている。

新興国は、悉く左様に苦しんでいる。新興国は、もともと経常赤字体質の国々が殆どで、外債からの資金調達を行い短期で運用してきた国が殆どである。そのため、外資の引き上げがあると通貨の売り浴びせや株式の暴落、債権の暴落のいわゆるトリプル安に見舞われることが多かった。1997年のアジア通貨危機も例外ではなかった。外国からの投資を呼び込むに、外国為替市場を整備し、資本移動の自由を保障する必要があるが、引き上げの自由も保障することと同一である。

 

フィリッピンは、貿易においては体質的に輸入超過である。しかしながら、GDP成長比で2012 年は6.8%+であり、2013年は年換算にして7.5%+程度

度は確保できる見込みである。もともと、1960年代は、平均所得が日本についでアジアで第二位の立場にあったのだが、紆余曲折があり、伸び悩んでいた。

アセアンの主要5カ国(ほかは、インドネシア、タイ。マレーシア、ベトナム)のGDP成長比は、平均で5.6%とされるが、フィリッピンの好調は目立つ。フィリッピンでは、大学進学が教育学部と医学・看護学部に集中している。

英語を身につけているのは、実は一部の海外にわたる人々に多い。ご存知のようにフィリッピンの経済の安定に出稼ぎ者からの送金が相当に寄与している。

1000万人が送金を行っているが、2012年は前年比で6.4%+であり、2013年の1月から5月の海外送金は97億ドル。人材こそが国の資源である。

中国不動産バブル崩壊時期は予測できるか?

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 中国における9月期は、日本国の尖閣諸島国有化も含め、歴史的に抗日的な

記念日がいくつもあり、在中国日本公館や日系企業、邦人らに緊張を強いたことであろう。

しかしながら抗日記念日には、昨年とうってかわって理性的な行動が見られた。このことを軽々に対日外交に対するメッセージなどと論じるつもりは無いが、中央政府、中国共産党に変化が起きている可能性もあるだろう。

 

可能性のひとつに、抑制が効かないままに膨張し続けてきた不動産バブルの崩壊に備え、民衆扇動などの行動などを一切認めないとする中央の強い意志表示もあるのではないかと小職は考えている。

 

以前、本コラムでノーベル経済学賞受賞者でプリンストン大学経済学部のポール・クルーグマン教授が、現況の中国の「低消費・高投資経済」はポンジスキーム(一種の詐欺と断罪)と言い切っていることを紹介した。

漕ぐのをやめると倒れてしまうような自転車操業状態で、このまま万里の長城の壁に向かって全速力で衝突するような状態であると。不動産投資に使われる資金は、 もともとは人民の財産であり、政府の財産であるが、投下する人間に投資の成果に対する責任や回収の意識が希薄であり、いずれにしても多くの人民を傷つけてしまうというのが教授の意見である。

 

さて、2013年9月5日、新たな「地王」が生まれた。地王とは、不動産入札で一番高い金額で落札できた不動産投資家のことである。中国は、共産国であり、土地の所有が認められず使用権のみが与えられる。このたびの入札では、北京市の土地が1平方メートルあたり4.4万元。本年の北京市の土地の総収入は、664億元となり、GDPを超える金額になっている。全国平均に直しても1平方メートルあたり8,167元で、総額134兆元にも上るという。

この金額は、理屈のうえではアメリカの全ての土地を購入できる金額であるといわれている。

日本の不動産バブルの崩壊直前、不動産の取引価格は、実際の価値の376%であったといわれている。今回の不動産調査によって不動産価格が、現実的な価格をはるかに超えたものとなっていると指摘され、およそ300%から400%にいたると考えられている。資金不足から人民元を増刷する政策もありえるが、結局、狂乱物価を引き起こし、バブル崩壊後の立ち直りを遅くさせ、不動産投資会社や地方政府、第三セクターの破綻で、傷つくのは多くの人民である。いよいよ膨らんできた不動産バブルの崩壊はあるのか、そして、いつ来るのか。

 

国際競争力は高いが、家計債務が異常に大きい国。オランダ。

生活

 2013年9月17日、オランダの新国王はウィレム・アレクサンダー国王は、

オランダ国会における2014年政府予算提出に伴う演説を行った。

内容は、欧州債務危機による深刻な財政難を国民に直視するように訴えたものであり、国内に動揺が広がっている。「福祉国家よ、さらば」と衝撃的である。

・グローバル化や高齢化といった社会の進展により、わが国の労働市場や公

共サービスが、もはや時代の要請に即していない

・責任を負う事のできる人は、自分や周りの人々の暮らしに責任を負うこと

が求められている

 

2013年のスイス国際経済フォーラムによる国際競争力ランキングでは、8位

(2012年は5位)であり、小国ながら欧州第5位の経済規模を持つ国である。

天然ガスを産出し、エネルギー問題は安定している。風車に見られる低地の農地開発を行い、いまや米国、仏国、に次ぐ世界第3位の農業輸出国である。

古くから交通の要衝であるため、海運、陸運ともに発達し、国際経済都市の

アムステルダムとロッテルダムが幹線交通網の要所にある。これらのことが国際競争上もかなり有利に働いたはずである。小さな国土から国際的な大企業が輩出されている。ロイヤルダッチシェル、ユニリーバ、フィリィップスなどなじみのある企業がいくつもある。

さて、かくも国際競争力が高いオランダが、国王が悲観して国会演説で何ゆえ、福祉国家の看板をおろすような宣言をしなければならなかったかである。

オランダは、国際競争力に裏づけされた「可処分所得の高い国」である。

直近(4月~6月期)GDPも7四半期ぶりにプラス(1.1%)に転じている。問題は、欧州債務危機に端を発した不動産バブルの崩壊である。

この先のGDPは再びマイナスに(-3.7%~-3.9%)なると予想している。2014年の国家予算案では、軍隊などの公務員削減、社会保障費の圧縮~8000億日本円程度~の追加を織り込んでいる。

 

当然のことながら、緊縮財政については社会党などが反発し、また安全な経済構築のためには投資が必要とする有識者の声もある。バブル崩壊でいえば、オランダはチューリップの国際的な球根投機の崩壊の歴史を持っている、1980年代には、財政難からワーキングシェアの導入を図り、また非営利団体、非政府組織の活用による、介護システムを取り入れ、さらにはボランテイア・ポイント制度(人にボランテイア支援を行った時間分を確実に自分も受けられる)を導入した国である。どのように、国難を乗り越えてゆくのか注視したい。家計債務は、250%であり、スペインでさえも半分の125%に満たない。

新興国マレーシアの経済通信簿

生活

 マレーシアは、マハティール元首相の提唱したルック・イースト政策に見られるように、多民族国家の問題を内包しつつも国家を発展させ、2013年の

スイスの世界経済フォーラムの国際競争力ランキングでは、11位を付けている(2位シンガポール、7位香港、9位日本)。

1997年のアジア通貨危機までは、マレーシアは新興国にありがちな経常赤字

体質国家であった。当時、IMF(国際通貨基金)は、支援と引き換えにIMFの

シナリオ通りに従うことを求めたが、時のマハティール首相は、従うどころか、

徹底的にIMFの主張とことごとく反対の政策を取った。この点、韓国とは真反対である。

 

韓国は後に経済復活へと向かったが、大手企業の外資への売却、財閥事業の解体整理など、かなりの犠牲を強いられたのは事実であって、このこともあっては輸出力は強くても経済体質が改善できず、構造改革は進まないという状況にある。

 

さて、話をマレーシアに戻すことにする。1997年のアジア通貨危機以後、マハティール元首相の指示の下、経常収支の改善に真剣に取り組んだ成果もあり、

以後黒字体質に変わった。現在もGDP比計算で5%超の黒字である。

 

マレーシアの経常収支では、パーム油製品、原油並びに石油製品の輸出、LNG(液化ガス)等の天然資源の輸出がかなり貢献していることが明らかである。輸出構成を見ると1位電機電子製品34%、2位パーム油製品12%、3位

LNG7.2%、原油4.6%石油製品4.2%が主たる輸出品である(2010年統計)。輸入品では、電気機械13.1%、鉱物燃料11.8%が上位を占める。加工貿易による付加価値生産も大きいことが伺える。

 

ただ、問題がないということではない。2000年以降、いわゆる「中進国の罠」に陥っているといわれて久しい。また、多民族国家の抱える固有の問題があり、マレー由来の人々の各種優遇問題、人種問題と重なるように鮮やかに浮かびあがる経済格差問題が深刻化しつつある。格差問題の指標となるジニ係数が、4.0であり、インドネシアなどとも共通した社会的不安要素になりつつある。政権は交代してはいるが、マハティールの政策を概ね引き継いでおり、比較的安定している。工業化には、かなり思い切った取り組みがあり、国民車プロトンの開発は、新興国の産業政策のよい事例としてみることができる。

国際競争力を活かし、中進国の罠から抜け出してもらいたいものである。

国際競争力ということ

生活

 スイスの研究機関であるWEF (ダボス会議の開催で著名)が、2013年

の世界競争力ランキングを去る9月4日に発表した。

ランキングは、世界140の国と地域をインフラ、医療・教育、市場、マクロ経済環境等を調査し、国際競争力をランキングしたものである。

以下は、TOP10の国や地域だが、顔ぶれは2012と変わらず、TOP10の中で

4位から10位の間で変動が起きている。( )内の数字は2012年の順位である。

 

1位 スイス(1) 2位 シンガポール(2)3位 フィンランド(3)

4位 ドイツ(6) 5位 アメリカ(7)  6位 スウェーデン(4)

7位 香港(9)  8位 オランダ(5)  9位 日本(10)

10位 英国(8)



日本は、順位をひとつあげて9位であるが、強みとして技術革新、研究開発

に関する評価がとても高い、反面、国民が購入し対外的に迷惑をかける心配が

少ないはずの政府債務の多さがマイナスとして響き、調査対象140カ国中の

最下位の評価になっている。国債発行残高や財政赤字が改善すれば、WEFのランキングではかなりの高位置になることだろう。

 

さて、何かと外交上や経済問題で摩擦の多い中国、韓国のランキングを確認したい。中国は、前年と変わらず29位である。2008年のリーマンショック後5年、発生直後から世界経済に対する貢献の高さは否定できないところだが、何せ投資原資が借金だよりで、右肩あがりの高度経済成長期が永久に続くのであればまだしも、GDP成長経済本位に対しては厳しい評価である。

最も、国家財政における社会保障負担やいわゆるハコモノ行政以外の支出バランスの悪さなどが低評価に繋がっているようである。WEFの提唱する全てが、国際競争力であると言い切れないと考えるが、国際競争力は、TOP10の構成を見ても、GDPの大きさや財政規模では必ずしもないことが明らかである。

 

ところで韓国のことである。韓国は今回ランキング25位となった。昨年の19位から6つ順位を下げている。輸出競争力が近年、韓国ウォン安を背景に強かったが、マクロ経済環境、特に金融システムの脆弱さが指摘されている。

気になるところでは、輸出主導型経済で昨年全体の25%の比率まで高まっていた対中国輸出の貿易が、直近の調査で40%にまで高まったという。しかしながら中韓国蜜月時代にふさわしいとも喜んでいられない。なせなら、中国以外の国々との貿易が軒並み赤字という。韓国通貨危機は、あるのかないのか。

中国のレアアース(希土類)対日禁輸から3年

生活

 早いもので、平成22年9月7日に起きた尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件後、

中国が経済制裁処置として見なされる、レアアース禁輸から3年が経過した。

当時、日本側の衝撃は大きいものがあった。レアアースは、ハイブリッド車に欠かせず、高付加価値産出の工業製品にも欠かせないことから、日本経済に

対する影響が懸念されていた。

 

ところで、あれから3年。中国の対日希少資源輸出規制強化の成果はいかがなものであっただろうか?また、日本の受けた打撃の大きさはいかがなものであっただろうか?。

中国人にとって、命の次に大切な面子を保つために禁輸処置を行った対日レアアース輸出である。日本は、世界最大のレアアース産出、そして輸出国の中国からの実質的な禁輸により、中国からのレアアース調達を断念させられることとなった。

日本は、図らずも中国以外にレアアース調達先を求め、また周知のとおり再生技術を開発して廃車群を宝の山として採掘する道に進んだ。

 

さて、中国のシャドーバンキングの話に飛ぶ。唐突のようであるが、実はシャドーバンキングつまり信託企画会社の理財商品の投資対象の中に、世界的にも埋蔵量が最も大きいとされ、産出量の大きいレアアースがあったため、投資金額と産出量の大きなギャップが生まれた。

輸出減が、66%といわれ(9億6000万ドル~約900億日本円)、最大の産出量を誇った包鋼稀土社の株価も当時の3分の1程度の約480日本円程度である。

 

信越化学工業は、中国の実質対日レアアース禁輸以降、レアアース新製法

生産拠点をベトナムに設け、中国産以外の調達やリサイクル生産を行っている。

過去に生産されたハイブリッド車の廃車も今後多くなることが明らか。主な販売先の欧米日から回収できれば、有力な材料調達先になる。

 

その後、日本企業の奮闘により、レアアースの中国依存度は、2011年の輸入金額に占める割合が87.7%から2012年には60.4%まで減少。中国自体もレアアース輸出を全体で6割以上減らしたとされる。

 

中国は、対日禁輸によって面子を保ったかも知れないが(経済制裁を公式には認めず)、結果は、日本の省力、リサイクル力を高めるきっかけになった。

 

香港最大の長江実業集団の中国離れ

生活

香港最大の財閥である長江実業集団の中国離れに関心が集まっている。

長江実業集団は、遡る1ヶ月程度の間に次々と所有不動産や事業売却を青ついで行っていると各紙報道がなされている。

 

傘下大手スーパーの店舗や不動産など広州や上海を中心に、410億香港ドル(5,420億円相当)程度の資産売却を決めており、売却資金を欧州(英国やオーストリア)のエネルギー、インフラ関連事業への投資にシフトさせ、さらに拡大させる勢いである(広州上海の不動産売却で1000億円以上の売却収入が見込まれる)。

 

長江実業が、そもそも所有していた「百佳超市」は、香港、マカオをはじめ、

中国本土に300店舗程度を展開しており、日銭を稼ぎ出す有力な事業であった。しかしながら、香港。中国の不動産高騰により、店舗展開が困難になったり、収益を圧迫するといった状況に陥ったようである。

 

中国での事業は、香港系の最大財閥にとっても厳しいようである。

他方、長江実業集団が投資を拡大しつつある欧州では、欧州金融危機を受けてビジネスチャンスと捉え、移動通信事業会社、天然ガス供給会社などに投資、

すでに2兆4000億円程度の投資を行っている。

 

バブル崩壊懸念が大きくなりつつある中国から、香港最大の財閥が欧州事業に展開をする状況をいかに華人実業家らが見るか注目されるところである。

 

先日の中国人民銀行の周小川総裁の民間金融機関設立や金融サービスの充実拡大政策については、全くの異論は無かったが、三農改革(農民・農地・農業)

をはじめ、小企業向け融資の充実、金融商品開発、金融サービスの提供、売掛金担保融資、動産担保融資、自宅用住宅分譲購入ローン、銀行業金融機関の保障性住宅等の政策がもっと早期に行われていたならば、香港最大の財閥をもって高騰する不動産のために収益が圧迫され、事業売却や不動産売却を果敢に行う必要も無かったのではなかろうかとも推察する。

 

これまで、GDP比成長万能主義のような中国首脳の政策であったが、長江実業集団の欧州展開は、中国投資主導経済の限界を露呈させるに十分な事象である。不動産バブルが崩壊すれば、市中から一斉に資本の移動が一斉に起きることは明らかである。長江実業集団は、それを予測し先駆けているのであろうか?。

 

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