9月2013

秋刀魚

生活

 東北で秋刀魚が水揚げされたというNEWSが届いた。この先、朝晩冷え込みもするだろうが、今しばらく日中は、地表に降り注ぐ日差しは強いままだろう。ところで蛇行する海流の乗って泳ぐ魚を追ってゆく漁は、水温に振りまわされ。秋の味覚が、どうのこうのというより、海流が漁場を遠ざけたり、為替変動の影響で経費がかさむ心配しながら出漁のようだ。燃料高になった場合、無理をして漁に出るとセリが苦境を慮ったような魚相場にもなる。遠慮なくこの先、さんまの塩焼きを安心して食べられるだろうか。

 

さんまは、「秋刀魚」と書くがあて文字である。釣り上げると光る太刀魚。

あて文字は、秋の太刀魚の意である。太刀魚と違い、秋刀魚はさほど長くはないが十分に脇差のような鋭い光を放つ。夏目漱石の「我輩は猫である」では、秋刀魚を「三馬」としている。深い意味があるのではなく、無造作にあて文字を作っただけのようだ。あて文字は、親しみを表す方法ということだろう。

メタボリック症候群の国民を心配するあまり、特定検診の受診率を上げることまで、国が小うるさく口を出すようになった。秋刀魚は、国が健康食として音頭をとっても良いくらい、栄養価の高い海洋資源である。良く知られてはいるが、秋刀魚に含まれるドコサヘキサエン酸は、悪玉コレステロールを減らし、脳細胞を活性化させる働きがある。また、エイコサヘンタエン酸は、血流をよくし、脳溢血や心筋梗塞などの予防に効果があるとされている。秋刀魚は、えさを食べて必要な栄養を取り込んだら、すぐに老廃物を排出してしまう。だから、はらわたを食べても変な臭みがなく、食通に言わせるとおいしい苦味が味わえるということらしい。

 

秋刀魚の刺身を食べるというのであれば、魚が揚がる港近くまで行かないと

なかなか食することが出来そうにない。しかし、普通に塩焼きを食べるのであれば、遠慮なく、いつでも食せるようであってほしい。漁師も心配ばかりもすていられない。船は出しても望む相場になってがほしい。漁に出た以上は、高値取引を望むが、原油高騰が起きれば消費者の財布を直撃し、生活は痩せ細る。原油高騰や為替変動、米国金融緩和縮小、シリア問題等為替や物価高騰が、どうなるかは視界は不良。国を預かる船長も見通しは厳しいに違いない。

落語「目黒のさんま」でお殿様は、「やっぱりさんまは、目黒に限る」と仰せだった。芝の浜であげた秋刀魚は、塩を振り、目黒あたりまで、歩いて小一時間ほど運び、焼いて食すると塩の効きも良く美味いと示唆している。日本経済も手間隙かけるべきことと、省くべきことをいかに仕分けるかが肝要であろう。それにしても、季節が届ける味覚は、誰にも気軽に味わえるように護りたい。