9月2013

”世界の工場”でなくなっても、世界最大級消費市場

生活

 ジェトロ(日本貿易振興機構)は、去る9月9日、昨年の尖閣諸島国有化を機におきた反日デモから1年後の日本企業における中国ビジネスの変化について行った実態調査(8月実施)を発表した。

 

1月時点での前回調査に比べ、中国ビジネス上のリスクについて「人件費の高騰」をあげる企業が17.8ポイント上昇し、55.3%に達し、首位の「政情リスク」(55.5%)とほぼ並んだ。中国事業の「縮小や撤退を検討している」との回答は、前回の7.3%から7.7%と微増だったが、「生産コストなどの製造面で劣る」(52.0%)が理由のトップで、前回の首位だった「カントリーリスクの高さ」(32.0%)を上回った。

 

結果、日中関係の悪化と相まって製造拠点のコストの低い労働集約産業を中心に東南アジアに移管する動きが加速した。1月から6月までの日本企業の中国向け投資が前年同期比で3割落ち込む一方、東南アジアへの投資金額は約2倍に増えており、生産拠点の「脱中国化」が鮮明になったとしている。

 

昨年9月中旬以降の「中国ビジネスリスクが高まった」との回答は、今年1月時点よりも17.6%低下したが、52.2%と依然として高水準だった。

注目すべきは、日本製品の買い控えの影響について「7割が影響がある」

と回答(反日デモ後解約され、受注が無く制約できない状況等)。

また、中国の景気減速、ぜいたく禁止令による取締りの影響も大きいことが判明(事業環境も大きく変化)。

新しい事業の可能性や展開については、「拡充、新規ビジネスを検討中」と回答した企業は、前回より2.6%増の60.7%、依然として中国市場に対する期待は大きい。

GDP比成長を第一に、投資主導の経済運営により環境が劣悪となった中国で、環境汚染対策向け環境技術や日本をはるかに上回る速度で超高齢化社会に突入する中国で需要の大きな介護周辺のビジネスの商機が広まっているとも

報告されている。

 

安定して供給される安価な労働力の提供が見込めない中国は、「世界の工場」

の地位を保てなくなっている。他方、豊かな暮らしへの渇望は強く、中産階級を中心に旺盛な消費意欲がある。生産拠点としてではなく、消費市場として商機を得てゆくかが大きな問題である。依然として中国との関係改善は見えず、また尖閣問題で先鋭化を緩めない中国とのカントリーリスクは大きい。