11月2013

サントリーホールのこと。バリアフリーのこと。

生活

 サントリーホールがリニューアルされてから6年になる。

さて、そのリニューアルの内容なのだが、目玉はバリアフリー化と大型液晶ビジョンであった。当時のフジサンケイビジネスアイ紙の9月1日付記事によれば25億円の予算をかけたと書いてある。さすがにサントリーさんだが、民間企業のメセナ投資としては特筆すべきである。財政が厳しいご時勢だが、財政規模の大きい文化振興予算のとれる自治体でも容易でない投資を民間の事業が実践している。サントリー社の財団法人だからできることなのか。否定はしないが、それは正解に遠いと思う。財団の基本財産は、額に汗して稼ぎ、税金を納めたあとの蓄積である。必死に努力をして、非上場の株であろうと企業価値を高め、その果実を基本財産に拠出したに他ならないのである。

 

最近、福祉関係の仕事をしている知人にあることを頼まれた。ひとつは、交代で365日24時間、身を粉にして働くスタッフとその家族が、安全で安心、安価でいつでも利用できる温泉旅館ホテルの提携。もうひとつは、費用がかかってもいいから温泉につれていってほしいという要介護の方を受け入れてくれる温泉旅館ホテルのルート開発であった。北は、北海道から南は九州までの範囲で探してよいということだったので探していた。ふたつめの宿題は、結論として完全受入可能なところと受入可能な応対をするという温泉旅館が、全部で15件ということであった。いかがだろうか、これを聞いて多いとお考えの方はおいでだろうか。お金に糸目をつけないということでなく、普通に気軽に利用したいものである。人は、誰でも年をとると体の機能が衰える。つまり、人は長生きをすれば例外なくハンディキャッパーになるのだ。要介護の人は、一人では温泉にゆかれない。当然、介助者が同行するのだ。客単価も高くなる。この超高齢化国家において、いまだに受け入れが少ない有様は情けなく腹立

たしい。

 

6年前のその年、チャイコフスキー音楽コンクールは、日本人として晴れがましい思いをした。バイオリンの神尾真由子さんが、諏訪内晶子さん以来の優勝を見事飾ったのだ。その彼女は、当時アントニオ・ストラヴァリの作った300年ほど前の名器を使用していた。6000万円ほどだったと記憶している。その名器は、サントリー社所有のもので、才能をいち早く見出した同社が無償で貸与したものである。これは、深い芸術への造詣と眼力の必要な究極のメセナかもしれない。

話をもどそう。無償ではなく、応分の負担をして健やかな心身を自助努力で保とうという人々は多い。官も民も、財政・経営に血を通わせてほしいものだ。