11月2013

共感は、社会を動かすという実感

生活

 本コラムで6年前のサントリーホールのリニューアルとバリアフリーの話しを書いた。そして、文中で要介護の家族を温泉宿に連れ出したい家族の思い。かたや、要介護のお客様(介護職の人にとっての)を温泉宿にお連れしたいという職業人の思い。それを受け入れる宿がないと大いに大いにぼやいた。

このことが、功を奏し温泉旅館業者に変化がでてきていることを今回は紹介したい。

重度の要介護の家族に代わり、あるいは福祉サービスで身を粉にして働く方々の家族の思いを受けて、なんとか受け入れてくれる温泉宿はないものかと知人、友人に徹底的に相談してみた。結果、交渉を代行してくださった企業が

あった。結果として、シルバースターの要介護の方を受け入れる宿として審査基準を充たした宿が3箇所。受け入れに伴い、普通のお客様同様のサービスを提供しますという宿が15箇所であった。この話を感動もあり、あちらこちらで話をしていたら、それらの施設にアクセスが急増し、代行会社のほうも要介護の人々を受け入れる温泉宿のカテゴリーで検索エンジンの上位6番手までになった。利用に応じて費用の負担はあるが、これも社会的な弱者を支援することにもなると確信した。まさか温泉の検索ジャンルで上位に来る社会貢献のアイデアが生まれるとは思いもしなかった。代行サービス会社もジャンルわけが多少異なる検索エンジンで、要介護者受け入れ温泉宿の情報提供が功を奏し、その部門の上位3位になったと伺った。驚きである。

 

その昔、ぼやき漫才が一世を風靡した。笑える話が基本的に多いのだが、時には、なるほど当時が、すぐさま抗議行動を起こそうかと思わせるようなトピックスもあった。そのぼやき漫才のキメ台詞、「責任者出て来~い!」は、お約束の的外れな物言いもあったが、権力者に抗戦する笑いの狼煙のようでもあり、子供たちの口々まで伝播していった。そこに、関西特有の被虐的な笑いもあったのだろうが、なによりも共感が大きく横たわっていたのだと思う。それが、時に理不尽に抵抗する波となり、ささやかな庶民の不満が、うねりとなって人々の心に伝播したのだろうと信じている。皆、年をとれば、やがて要介護者になる。少子高齢化の社会とは、要介護の方々の社会参加を助けなければ、成り立たない社会をも意味する。少子高齢化社会の土台を支えてゆくのは、若い世代の方であり、これからのご苦労に敬意と感謝を捧げねばなるまい。他方、敗戦した小資源国をここまで豊かにするために、文字通り身を粉にして働いてきた高齢者の方々がいる。巨額の税金を投入する話しではなく、市民による要介護者受け入れ温泉旅館ネットワーク構想の話である。どうぞ、これらの温泉が増えることに同意の皆様は、ご一緒に「受け入れ温泉旅館ふやせ!」とぼやいていただきたい。手を上げてくださる宿がいくつも出てくるに違いない。まだまだ、世の中捨てたもんじゃない。「責任者、出てこ~い」大いにぼやこう。