11月2013

鍋料理がおいしい季節に

生活

 思うに世界中が幸せに包まれる時間というのは、実に短いように思えてならない。順境のときにも紛争は世界各地で起こり、経済禍にも意外な形で巻き込まれる。今もきっと、澹たる思いで空を見上げる人々でいっぱいだろう。

急傾斜を上ってきた中国人民も経済に暗雲が垂れ込め、さらにPM2.5禍

にも襲われ、勇気を持って夢を描けるような事情でもなくなってきたようだ。

日本でもバブル経済が崩壊した平成のはじめ、日本全体が背中を丸めて内向きになって暮らしていたように思われた。

当時、都内一等地に一坪で億万の土地を所有する資産家が、続出し相続税資産税対策で思い切った開発行為を手がけ、バブルの崩壊によって、1時間当たり数十万円という支払利息の発生する状態に陥られたことを覚えている。現実問題として、完済できる見込みはなく、立ちはだかる現実に苦悶し、自らの人生そのものを否定するかのように投げやりな状態に陥っていた人もいた。

経済的な敗者になっても、人生の敗者であると誰が決めつけられるだろうか。

一時的な敗北は誰にでもあるものだ。真の勝敗は、人生を全うするまで勝負はわからない。いわんや経済には循環がある。永遠の強者など存在しまい。

 

ところで、今冬を一層寒くさせそうなのが食品偽装である。

名門百貨店、名門ホテルの偽装が次から次に出てきたが、当初はご表示で乗り切ろうとしていた節があり、寒々しかった。

次から次に、お詫びの記者会見をみていると、良識とかはなくなったのかと

思わずにいられない。少なくとも、名声を誇っていたであろうこれらの企業は、

すでに一流でもなければ、名門でもない。もはや地に落ちたに等しい。

おせち料理の注文を取り扱うシーズンになってきたが、消費者の不信感を払拭できないと予想して注文をもあわせる企業も出てきた。賢明なのか狡猾なのか。かつて平成のはじめの経済低迷期、冬の暖房費を節約し、企業戦士らの家庭回帰志向が高まり、土鍋や鍋物用の食材が飛ぶように売れた。メデイアは、盛んに鍋物の調理方法やお値打ち情報を発信した。家庭を顧みることなく働きづめだった一家の柱が、家族団らんの時を得て、経済活動以外に家庭での共通の価値観を醸成した。また、地域活動もするようになり、家族と旅行や長期の計画を立てたりすることなども見受けられた。「失われた20年」時代に、実は多くの日本人が、かけがえのない財産を築いていたようだ。

さて、現在の経済危機では、比較的損失が小さいといわれる日本、欧米が傷んだ分だけ、日本の対外的な負担が国際的相対的な期待で増える。産業のコメといわれた鉄も需要が一気に冷え込むことだろう。あまった粗鋼を使って鉄鍋をつくり、世界に向かって家族団らん型メニューの発信も面白いかもしれない。