現代転職事情

ビジネス

 物価の上昇に伴い、ブルーカラーも給料を増やすために必死である。しかし現状では会社側もすぐの昇給は難しく、それに我慢が続かない従業員も多い。ある中国人事務の一番の仕事は「求職サイトを徘徊すること」だと豪語している。同僚や上司にばれないよう、誰かの足音が聞こえたらワンタッチで仕事用画面に切り替わるよう工夫に一切の油断は無い。無論帰宅前にはその日の履歴を完全に消去することも怠らない。

私が北京にいる時、友人から、彼の知り合いの転職先を紹介してほしいという相談がきた。友人からの頼みということもあり、断れなかった私は、まず彼の適性を見て合った法人を紹介するつもりでいた。当日、友人と一緒にスターバックスに訪れた彼は、今どき珍しいさわやかな好青年だった。スーツにもしわが無く、ネクタイの結びも綺麗だった。挨拶も「こんなすごい方とお会いできて光栄です!」と流暢な日本語でハキハキとしている。友人からどういう風に紹介されたのか疑問に感じたが、ともかくそれはさて置き、どういった会社で働いていて、これからどういった会社に入りたいのかを質問した。

彼は自信満々で「日本向けアプリケーションの開発を行っていました。それを活かし今度は日系のIT会社でシステム開発をしたいです」と答えた。丁度IT会社を営む社長から業務拡大の相談を受けていたので、実に分かりやすく説明する彼に好感を抱いた私だが、紹介してもすぐ辞められては困るので一応転職理由を聞いてみた。相変わらず彼の説明は的確でわかりやすい。しかし興奮してしまったのか、最後に「転職先に恥をかかせるようなことはしません!なぜなら今の会社で入社初日からずっと準備してきました!」と言い放った。80後(1980年以降に生まれた人、現代中国人と言われ、団塊の世代との価値観のギャップが激しい)の典型的なケースである。やむなく私はその相談を見送らせてもらったが、彼は何が悪いのか分からないといった感じだった。

総論としてだが、現在の転職事情を見ると、実際転職を決断する前には、上司に昇給願いを連日のようにだしている場合が多い。実力主義を面々と出せるといった点は米国のスタイルと似ているかもしれない。転職面接に望む姿勢においても日本とは若干ことなる。転職希望先の面接担当から以前の職場を何故辞めたのかを問われると、給料が安かったから、と堂々と言う。何故当社を選んだのかという担当の質問へは勿論給料が高いからだと即答。その上、転職先が決まると速やかに辞職を提出し、その日の内に消え去ってしまう。そういったことにならないよう、今、会社は人事に一番の力を注いでいるが、その人事部の人間もいつ辞めるかわからない。

日系企業と日本語堪能で優秀な人材のマッチングはそうそう簡単にはいかないだろう。



北京男人

Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

« »