「グローバル化は、人々の祈りに応えたか」

生活

 旧暦の七月七日のことである(2012年は、8月24日)。

中国では、旧暦の七月七日に牽牛と織姫を引き合わせることができるのは、夥しい数のカササギという鳥が年に一度、宙に橋を架けるからという故事による。

1980年代半ば以降の中国首脳部主導で改革開放路線の推進がなされ、その後の経済発展は目覚しく、沿海部の都市群は、内陸や西部からの出稼ぎ労働者の人口を呑み込んできた。その数は、年に千万の単位となっている。経済的な理由から強いられる出稼ぎは、婚姻関係や恋人同士にある男女を引き離し、年に一度は引き合わせるという故事から「七夕婚」(カササギ婚)なる言葉を生んだ。中国全土で、例外なき一人っ子政策が強いられている以上、七夕婚が引き起こすさまざまな家庭的な不幸は容易に想像できよう。

本来、社会や経済は、人を幸せにするためにある。

我々の推し進める国連支援活動も、活動を通して世界の人々を幸せにしたいという切なる願いや祈りからの自然な発露である。食料や医療支援などのように緊急性のあるものは別にして、本来の支援は自立を助けるためにある。したがって経済支援は、貧困がもたらす不幸から人々を解放する目的がある。教育支援は、人々の持つ潜在能力を開花させて未来を切り開くためにある。

 

中国の経済発展は目覚しいものがあるが、負の財産も多く背負う様子が見て取れる。当初、中国は世界の工場を標榜し、外資誘致を積極的に打ち出し、優遇税制や廉価な労働力で経済のエンジンをフル稼働させてきた。結果、外貨準備高は日本をはるかに凌ぎ世界一となった。もはや、途上国とはいい難い。

晴れがましい栄冠の一方で、急速な経済発展は深刻な環境破壊を生み出す。

その被害は、毎年GDP(国内総生産)の10%に達するという統計発表もあるほどである。全国の河川の70%は汚染され、農民のうち3億人は清浄な飲料水が無く、都市住民のうち4億人は、かなり汚染された空気を吸って暮らしており、国土の3分の1は、慢性的な酸性雨の被害下にあるという。統計によると、沿海部の25%の水質は、中程度ないし重度の汚染。近海部では55%の水質が標準に達していないという。

中国が、世界を相手に経済戦争に打ち勝った製品が、洪水のように流れてゆく。中国自体は、確かに経済発展で潤った。だが、都市住民は物価上昇圧力と厳しい生活環境にさらされて不安の中にいる。他方、農民は経済発展の中、蔑視され、出稼ぎ圧力にさらされている。そして、多くの労働者が劣悪な労働環境を強いられ不幸だという。民衆の為政者を見る目が厳しくなるさなか、グローバル化、中国語では全球化と書くが、人の幸せのために果たしてどんな意味があるのだろうか。あらためて問うてみたい。

(鹿)

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