中国は、外資の呼び戻しに成功できるか

生活

 中国国務院は、8月に入り全人代(全国人民代表大会)に対し、「上海な

どに『自由貿易試験区』を新設し、外国からの投資規制を緩和する法的な

処置」を取るよう求めた。

 

この意図するところは、外資の呼び戻しであるが、功を奏するかどうか注

目を集めそうである。国務院の想定する外資規制の緩和策として、「金融や

貿易のサービス業による投資規制を解除し、投資手続きの簡素化や人民元に

よる資本取引、金利の一部自由化」も織り込むようだ。「試験区」は、成功

体験を重ねて天津市や広東珠口方面に拡大させる目論みがある。

 

さて、中国は改革開放経済により高度経済成長時代には、「経済特区」を沿

海部に認め、投資と技術を呼び込み、「保税区」などから輸出攻勢を図り、

「世界の工場」としての地位を確立した。

しかし賃金高騰や労務紛争などの頻発などに嫌気の差した外資は、対中投

資意欲を後退させ、東南アジアや資源大国の南米やアフリカなどへの投資に

シフトしてきており、魅力を打ち出せるか真価が問われる。

 

中国の「世界の工場」化は、高度な製造業の集積ではなく、安価な労賃に

よる価格競争の勝利としてのあくまでも「世界の工場」であった。すでに、

東南アジアの優等生であるタイ国と平均労賃が同レベル(年7000ドル)

にあり、マレーシア、インドネシア。ベトナム、カンボジアなどを追い抜い

てしまっている。従業員教育やインフラ整備状況では、中国に一日の長があ

るが、新しい安価な労働力を供給できない中国が、投資を東南アジアに振り

向ける外資の関心を引き戻せなければ、やがて相対的な競争力も失う可能性

がある。13億人の市場は魅力的だが、「世界の工場」の地位の奪還は容易で

はない。

 

外資の対中投資は、実行ベースで対前年比でマイナス3.7%(中国商務

省)と発表されている。グレーターチャイナ(大中華圏)からの投資(福建

・広東等に出自が明らかな人々)ももともと香港や台湾経由で全体の50%

以上投資されてきているのだが、その数字もあわせてマイナス3.7%減は

穏かな話ではない。

経済政策の責任者である李克強総理は、持続的な中国の経済成長には外資

の投資が欠かせないとしているが、「世界の工場」の地位を再び手に入れなけ

れば成らないことを考えるとかなりハードルが高そうである。

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