人民高対米ドル基調は、いつまで続くか

生活

 ここのところ、中国人民元の対ドルが目覚しい。比較的わかりやすい2つの理由がある。ひとつは、米国の財政の崖問題でデフォルト騒ぎが大きく影響し、

人民元上昇に働くということ。もうひとつは、米国金融緩和縮小政策、いわゆる出口政策の見通しから再び外資の資本流入が始まると見られていることである。

最も明らかな原因は、米国自体の相対的な力が落ちてきていることにあるに違いない。米国は、かつて本コラムで基軸通貨について取り上げたときにも詳しく述べたが、1970年代以降、金本位制を廃止している。

ほとんどの国では、財務省が紙幣や硬貨を発行しているが、米国はFRB(連邦準備理事会)といういわば民間によってドルが印刷されている。

また、発展途上国や新興国は自国通貨保護の意識が働くのだろうが、金本位制に対する信仰にも強い意識が働いている。

乱暴な言い方をすれば、米国は自国の論理やFRBの理事会の都合で、金に

交換できるというような価値など度外視して米ドルの増刷を行う可能性が強い。

反面、金好きの華人圏では、只管、資産の増加に伴って金が買い込まれている。中国人民元は、国際通貨として決済金額が第9位にあるが、今後、決済の

金額が順調に伸びれば、金本位制的な国際通貨として信任を得てゆくかもしれない。

 

さて、経済分野では圧倒的に中国大陸と一体化しつつある台湾であるが、世界的にも大きな外貨準備高を誇っている。その外貨準備高への人民元の比率を

ここのところ当局者が、戦略的に増やしてきている。

米国の財政の崖問題が、根本解決の程遠く、米国政府が情けないことに、デフォルト(債務不履行)を起こす可能性を否定できないこともあり、危険負担を行ってゆく必要がある。

またアジア圏で中国人民元の決済利用が伸びてきており、外貨準備高への取り入れは、外貨による支払い手段という本来の目的にもかなってきている。

 

ところで、相対的に存在感を増しつつある中国人民元のプレゼンスは、一方的に高まってきているかというとそうではない。資金流入が続いても、不毛な不動産開発や不採算製造産業に資金投下される体質が変わらず、シャドーバンキングによる不良債権規模が不明瞭で、その償却には日本や米国の経済危機以上の長い期間を要すると目されているからである。

客説的にいえば、真に世界経済の付託に応えられる国際基軸通貨が見当たらないのであって、消去法で中国人民元が現在買われているということになる。

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