新興国マレーシアの経済通信簿

生活

 マレーシアは、マハティール元首相の提唱したルック・イースト政策に見られるように、多民族国家の問題を内包しつつも国家を発展させ、2013年の

スイスの世界経済フォーラムの国際競争力ランキングでは、11位を付けている(2位シンガポール、7位香港、9位日本)。

1997年のアジア通貨危機までは、マレーシアは新興国にありがちな経常赤字

体質国家であった。当時、IMF(国際通貨基金)は、支援と引き換えにIMFの

シナリオ通りに従うことを求めたが、時のマハティール首相は、従うどころか、

徹底的にIMFの主張とことごとく反対の政策を取った。この点、韓国とは真反対である。

 

韓国は後に経済復活へと向かったが、大手企業の外資への売却、財閥事業の解体整理など、かなりの犠牲を強いられたのは事実であって、このこともあっては輸出力は強くても経済体質が改善できず、構造改革は進まないという状況にある。

 

さて、話をマレーシアに戻すことにする。1997年のアジア通貨危機以後、マハティール元首相の指示の下、経常収支の改善に真剣に取り組んだ成果もあり、

以後黒字体質に変わった。現在もGDP比計算で5%超の黒字である。

 

マレーシアの経常収支では、パーム油製品、原油並びに石油製品の輸出、LNG(液化ガス)等の天然資源の輸出がかなり貢献していることが明らかである。輸出構成を見ると1位電機電子製品34%、2位パーム油製品12%、3位

LNG7.2%、原油4.6%石油製品4.2%が主たる輸出品である(2010年統計)。輸入品では、電気機械13.1%、鉱物燃料11.8%が上位を占める。加工貿易による付加価値生産も大きいことが伺える。

 

ただ、問題がないということではない。2000年以降、いわゆる「中進国の罠」に陥っているといわれて久しい。また、多民族国家の抱える固有の問題があり、マレー由来の人々の各種優遇問題、人種問題と重なるように鮮やかに浮かびあがる経済格差問題が深刻化しつつある。格差問題の指標となるジニ係数が、4.0であり、インドネシアなどとも共通した社会的不安要素になりつつある。政権は交代してはいるが、マハティールの政策を概ね引き継いでおり、比較的安定している。工業化には、かなり思い切った取り組みがあり、国民車プロトンの開発は、新興国の産業政策のよい事例としてみることができる。

国際競争力を活かし、中進国の罠から抜け出してもらいたいものである。

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