日本は途上国なのか。OECD加盟国最低の人口比率医師数

生活

 社会保障問題に政局が大いに揺れた夏もやがて逝き、この秋から冬は、医師・看護師不足の悲惨な実態で寒気に襲われそうだ。妊婦が、産気づいてから受け入れ先がなく、たらい回しされ死産したという話は極端な話ではない。たとえば、過去に問題のあった奈良県は、無医村地域でもなければ後発の開拓地でもない。全国的規模で慢性的な医師不足や看護師不足から、今後もこのような悲惨な事態が起きる可能性はある。少子高齢化が叫ばれ、内閣に少子化対策の大臣がいてもこの有様。行政の無作為なのだろうか。

事は、さほど簡単なことではなさそうである。

まず、国立病院や国立大学付属病院が看護基準を充たせないような状況がある。

つまり、もともと厚生労働省や文部科学省のお膝元で、医学看護学教育養成機関が、医師や看護師を医療サービスに必要な員数を容易に確保できないでいる。

何かの間違いではと、思われるかもしれないが、中央官庁の直接の指導を受ける機関が、悲しいくらい情けない状況にある。

先進国と中進国によって構成されているOECD加盟30カ国中、人口比でみる医師数は最下位である。厚生行政は、なにをしていたのだろうか。これまでも年金の間違いだらけの支給計算や使い込み損失補填、カラ出張による裏金作り、厚生施設への不毛な投資、不祥事のもみ消しに忙しかったのだろうか。

ODA(政府開発援助)の予算を目の上のこぶのように、ヒステリックに削減を迫る市民や国会議員も多かったが、すでに最盛期に比してほぼ半減。特筆すべき国際貢献国家でもなくなった。それどころか、医療支援をするために国費留学生を受け入れていた国々に対して、日本の医師免許を取得させてしばらくお礼奉公してはもらえないかと相談すべきかもしれない。

他方、歯科医師の開業医院数は、すでにコンビニエンスストアを凌ぎ、ワーキングプアを生み出している。医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士の養成に関しては、医療行政失策どころか無策状態ではなかったのではなかろうか。

 

地方分権が叫ばれて久しい。中央の役人は、机上で統計資料相手の行政プランを練るだけなのだろうか。一時期、医師数が飽和状態に迫るようなことが唱えられたことがあった。実態は、都市部に医師や開業医院が集中するだけのことであって、慢性的な医師不足の悩みから一度も解放されないできた自治体も

多い。実態に目を向けず、医療の質のために人材配置を見直す看護医療サービスの基準を変えれば、弱いところにしわ寄せは来るに違いない。研修医にその研修先を自由に選ばせるとすれば、便利で快適な研修期間が望めるところに集中するのは当然だろう。憲法は、最低限の健康的で文化的な生活を保障している。医療行政が、こんなお粗末では与野党のどちらでも国民の生命を護れまい。

(鹿)

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