李克強総理の前に立ちはだかるもの

生活

全国人民代表者会議(全人代)が、ようやく閉幕となった。

中国に赴任していたときの3月のイメージに、じつにこの長い(全人代)会議と国際婦人デーの印象が強く残っている。

今回の全人代で印象に残るものは、環境関連議案に有効投票数の2割を超える否決があったことである。否決に票を投じた代表らは、農民やいわば社会の

底辺にあって、経済発展に伴って報われていないという不満を持つ層である。

全人代で、この層の代表は全体の14%程度を占めるということである。

多くは、商工業や不動産開発など多くの既得権益で富を増殖させてきた層の代表である。もし、人口に比して、代表者を頭割りして選出したら、先に議決した8:2の比率が、全く反対になりかねないことだろう。

現実的には、それは近未来には起こりえないことかも知れないが、為政者は今後は、よくよく社会の不満分子のことに気配りすることだろう。

 

さて、李克強総理が全人代後の記者会見で、覚悟と方針を語っているのでふれておきたい。李総理は、特に取り組むべき問題として、「腐敗」、「環境問題」、

「所得格差」を取り上げている。この三つの問題は、実に複雑に絡みあっていて解決は容易ではあるまい。たとえば、「地方の高級官吏が権力に任せ、農民から農地を奪い、不動産開発に当たっては、大きな負担を伴う環境対策を行わず、不動産プロモーターのような役割を駆使して巨万の富を得る」といったような具合である。

かつての時代に、中国共産党が農民戸籍と都市戸籍をも設けたのは、過去に食料増産の失敗や飢饉などから多くの餓死者を出してしまったという忸怩たる反省に立ってのことだと理解している。

農民をいたずらに差別するのではなく、農民に国家を支えてもらうがための方策だったはずである。しかし現状では、農民を第二公民化し、窮地に追い込んでいるようにも思える。農民が、都市戸籍を得るには大学を出て、ハードルの高い考査をクリアしてゆかねばならない。越えるに越えられない絶望の壁である。そのような境涯におかれた農民らの土地を取り上げ、巨万の富を得ようとする官吏が多く存在するのだが、公務に身を置いているとはいえまい。

ところで、このような既得権益の横暴は許されないと、李総理は思い切って踏み込んで改革して見せると言い切っている。共産党の高級官吏自体が社会にあって特別な階層にある。国務院総理をはじめ、閣僚の出身母体と同じといえなくもない。そこに斬り込むというのだが、容易でないことは明らかである。

改革をしなければ、体制が持たないという自覚もあろう。前門の虎、後門の

狼のようであるが、救いがあるのは、李総理の深い認識と覚悟の言葉である。

Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark

« »