自助自立自強こそを支援

生活

 アメリカの第二国歌とまで言われる「アメージンググレース」。2005年11月6日に亡くなった本田美奈子さんが、生前大切に歌ってきたため、ずいぶんと日本でも親しまれている。だが、曲の背景にあるものは哀しい。後に牧師に転職して神に許しを請うたとされる作詞者ジョン・ニュートンは、かつてアフリカで奴隷貿易に手を染めていた人間である。神は、奴隷貿易船を降りて、非人道的行為を反省し、勉学に勤しみ、聖職者に転職し奴隷解放運動や社会貢献を行ったジョン・ニュートンを祝福したかもしれない。だが、アフリカでは奴隷貿易全盛時代に、欧米列強の手先となった力の強い部族が弱い部族を襲い、まとめて奴隷船に売り飛ばしていた史実もあり、いまだに部族間の憎しみは癒えず、和解が進んでいるとは言いがたい。奴隷貿易では、黒人らは家畜以下の扱いで、薄暗い奴隷船に押し込められていたため、病気などで命を落とす者が後を絶たなかった。現在に至るまで、奴隷として黒人をさらった国々で、先祖が拉致され、奴隷にされた被害者である彼らに対する偏見や差別がなくならないことを思えば、言いようのない無力感が漂う。



アメリカテレビ映画で一世を風靡した「ROOTS」という作品があった。主人公の「キンタクンテ」のことを覚えていらっしゃる方も多いだろう。彼は、北アフリカの海岸から船で奥地まで遡れるガンビア川のほとりから連れてこられた黒人を祖先に持っていた。英国人らは、奥地深く川の支流を分け入り黒人らを拉致してきたのだ。小職が関わる団体の活動家が、ガンビアで奨学金制度を運営している。また日本の水墨画を普及啓蒙する活動により、能力開発された彼らの墨画が日本で評価されている。結果、奨学金以外に筆の力で学資獲得も可能となる。そのことが大いに彼ら自身の励みとなっている。ところで、ガンビア川のほとりに印象深い像が立っている。それは、女児が父親にひれ伏し、学ぶ許しを請う像である。

読み書きや計算の教育は、可能性の扉を拓く尊い事業である。以前ご紹介の垣見一雅氏は、支援者とともにネパール国で2万人の子供たちに読み書き計算の教育支援を達成した。在日ネパール大使は、報告会で2万人の未来を切り開いた壮大な事業と賛辞を惜しまなかった。さて、ガンビアに話を戻す、少年らの一番人気職業はプロサッカー選手である。米国のNGOが奨学生として招いた少年が、サッカーに有能でプロ選手になった。ガンビアでは、サッカーボールでさえ不足しているのに。先ごろ、ガンビアから帰国した方は、同国へサッカーボールをお土産にしたという。やがて、そのボールを追いかける少年らから豊かな才能も生まれるかもしれない。ささやかでも、人の幸福や人生を豊かにする手伝いのために自助自立自強を援けられることは多い。

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