銀箱に包まれた謎のタクバイとは

生活

 タクバイとは、バイク版タクシーである。年中バイクレースが行われているかのような光景が目に入るベトナムではもはや定番だが、中国のタクバイの趣向は少々特徴に面白さが感じられる。先日私が体験した話を元にご紹介したい。まずバイクは真ん中から後ろまで大きな銀箱に包まれており、銀箱の最後部に設置されてあるドアから入る。貯金箱の中に入ったような感覚に陥り戸惑いながらも、前方の椅子と見受けられるものを発見。腰を掛けようと、背を後ろにし座る。が、ドアが開いたままになっていることに気づき、「このまま出発しないでくれ」と願いながら慌てて外に出直し、今度はきっちりドアを閉める。鍵を閉め(かけ忘れて転び落ちても無論お客の自己責任)、運転手に「好(OK)」と言えばほどなく発進。

「ガラガラ……コトンコトン…」20kmほどの時速を考えれば、さほど遠い目的地には向いていないなと思いながら、目線のところに設置された小窓を通し景色を見ようとする。しかし後ろを向いているのでどんどん景色が離れていき、ドナドナを歌いたい衝動にかられながらも、どこか中国ならではの情緒が味わえる喜びに浸っている自分もいる。無事、この先は曲がれないという理由で目的地のかなり前に降ろされた私は、言われるままに10元を渡し、自動車型タクシーと変わりない金額に多少の後味の悪さを覚えながらタクバイ初経験を終えた。

あとから知ったことだが、この銀箱タクバイの増加とタクシーと変わらない価格の現状は、中国タクシー事情に大きく起因している。例えば北京、高速道路の増加など交通整備はかなり発展したが、それにも増して地方、果ては国外から集まる人々による都市部の圧倒的数が、渋滞問題に終止符を打たない。富裕化に連なった自家用車保有の増加も著しく、今では政府もナンバープレート取得を抽選としている。よって、空車のタクシーがなかなか無い。ひどい時には30分待つこともある。10数年前はワンメーター1元だったタクシーも今や倍となる2元の上、3元の税金が加算されるまでとなっており、今後も料金は高くなっていく見通しである。しかし、前述同様に富裕化によって、タクシー利用は減らない。運転手の本意ではない方角だと容赦なく断られるまでとなった。今や主導権は乗車客ではなく完全にタクシー側にある。そんな隙間をぬったタクバイは、ある意味国民の救世主のような存在だと言えるかもしれない。少なくとも、一度はタクバイにより助かったという出来事ができるかもしれない。



北京男人

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